痛みについて勉強しなおす (7)---炎症について知っておくべきこと

痛みを考える上で重要なことは、我々の体の中では常に組織の「wear and tear(擦り切れ、消耗、損傷)」が起こっていて、それに応じて体の中の修復システムが働いているということ。それをより理解することで、組織の修復には何が必要なのか(例えば休養、動くこと、栄養、薬、手術など)がわかる。またこの「wear and tear(損傷)→修復」は筋、腱、靭帯などの軟部組織だけでなく、内臓(腎臓、肝臓など)の組織でも同様に起こっている。大雑把に修復システムを書くと、組織の損傷→炎症→免疫細胞の流入→細胞の再生→瘢痕化→(元の状態にできるだけ近い状態で)組織が再生。このとき2つのことが修復のスピードに関わっていて、それは①血流量と②動き、休養、栄養など組織の修復に必要なこと。

ここで重要なことは一旦修復過程が終了してしまうと、もうその修復過程は始まらないということ。例えば、皮膚を切った場合、すぐに修復過程がはじまり、そしてそれが終わってしまうともう一度修復過程は始まらない。だから過去に足首捻挫した時に、十分な栄養、休養、動きなどがなかった場合、修復過程は終わった(治った)のに関節が腫れたままの状態があったりする(不全治癒)。他にも肩関節の靭帯が切れた状態で修復過程は終わってしまったケースなども考えられる。

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