見出し画像

野呂エイシロウ著(2015)『なぜ一流の人は謝るのがうまいのか』SBクリエイティブ株式会社

謝るのが上手いのは一種の勝ち残り戦略だ

2015年にアマゾンで購入したまま、読まずに積んだままにしていた本をやっと読んだ… いつでも簡単に読めそうな本は、意外と読まずに置いておくことが多いのかも知れない。

本書は放送作家でコンサルタントの著者が、世渡りというか人間関係を円滑に対処するためには謝ることがうまくなることで、それを叶えることが可能であることを、簡単にまとめている本である。

謝ることで、仕事の結果を良い方に導き、成功に近くなり、敵を作らず、いい人と思われ、これは一つのずるい戦略でもあると説く。なかなかユニークで、本の分量も少ないために、簡単に読めてしまう。

本書では、仕事の評価を決めるのは成果だけではなく、不条理なことを言われても怒らなかったり、文句を言わずに対応することで、それらが評判となり伝わって、新たな仕事に繋がると理解している(p.28)。

また「雨が降るのも、ポストが赤いのも全部おまえのせい。そのつもりで世の中、生きていけば必ずいつか出世できるから」と著者のメンターから言われ衝撃をうけたエピソードは、良いも悪いも一度は自分でしっかりと受け止めて、それらのことを受け止めるくらいの度量をつけておくと、将来大きな事案が発生したとしても、堂々と対処できるという準備段階として、将来責任のある立場になる人は最低限心得ておかないとならないところかと思う。昨今はこの度量のない管理職や意思決定層が、自分に不都合なものの責任を他人になすりつける傾向が多いので、社会人になりたての人などは、最初から心得ていた方が生きる上でも楽になれると感じた次第。

いないのに存在感がある謝罪(p.112-113)のエピソードも面白い。謝り上手ほど優秀な人かも知れない。また、謝ることと同じように、素直さというのも重要な戦略だと思うが、素直に謝ることができるのはもはや才能なのかも知れない(p.141-143)。

また仕事のネタが出ない時の奥の手として、もし誰々だったら、この状態でどう考えるかという自分の尊敬する人の思考を拝借するというアイデアも面白い。

なるべく自分の周りに波風を立てずにスイスイ進んでいくには、謝ることにうまくなり、その場の責任を自分が受け止めるという肝っ玉が必要であり、それが今後の自分の人生にとって大きなメリットとなることを語ってくれている内容と理解した。ただし、その場の責任を受け止め続けて自分が麻痺してしまうまで頑張る必要はないだろう… あくまで謝ることは一つの物事を円滑に運ぶためのスキルと理解すると、謝ることも苦ではなくなるという点でユニークな考え方だと思った。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?