箱庭師の部屋

箱庭師。なんでも徒然なるまま…。酒や、酒もってこい!東京都山奥在住。

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  • 私のお気に入り

    ステキな記事を集めています。

  • 関西人がゆく

    関西人(奈良県出身)の私が、そぞろに歩いた世間の細道。

  • 【短編】 灯台の詩

    一話あたり140字。全6話。カクヨムコン「短編」に出品予定。

  • 【箱庭】 叫び再び 〜遥かなるミルキーウェイ〜 《連載中》

    孤高の科学者、猫を愛する少女、そして麻呂……。運命が交錯する。 一話あたり140字。全12話。電車の待ち時間に、激推し!

  • #20字小説

    20字の作品集です。 バスの待ち時間に、激推し!

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【桃太郎】 第一話「ドンブラコ」

 ——時は、平安……。  武蔵国の奥多摩、雲取山の麓の集落。そこから徒歩で半刻(一時間)ほど行くと、その小屋に辿り着く。  住み人は、熊一とヨネの老夫婦であった。  二人には子が無かった。  だからと言うわけではないが、何となく童の声の絶えない集落に居づらくなって、この人里離れた場所に移り住んできた。  それから二十年ほど経つ。  その日……。  初春のその日は、冷気が肌を心地よく撫でる快晴であった……。  雪解け水が、小川のせせらぎを賑わしている、清々しい朝。  老夫婦

    • 【短編小説】 思い出は宝石のように輝いて、砂上の楼閣のように脆く儚い。そして君が歌い、世界は色付く。

       師走。  皆さまごきげんよう。  さて、今回は、ある文芸コンテストをパトロールしていたときに、なんと終末の世界に迷い込みました。そんな物語をご紹介いたします。  *  *  *  謎の侵略者に追い詰められた人類。残された時間は、わずか三日となります。  路地裏で蹲る男がいました。名は「紅蓮の軌跡」ウッドレイ。白髪は伸び切り、纏う服はボロボロ。一見して浮浪者です。彼はかつて、人類の救世主といわれた戦士でした。そんな彼に悲劇が襲います。恋人リーメイを侵略者に惨殺されてしまう

      • 【連載小説】 星降堂の魔女の弟子

         すっかり年の瀬です。  皆さまごきげんよう。  さて、今回は、ある文芸コンテストをパトロールした時に出会った少年のお話です。 (以下、著者のあらすじより)  僕は空。光星 空。小学五年生。  実は僕、魔法使いになりたくて、毎日魔法の勉強をしてたんだ。  今日もむずかしい魔法を試して、でもうまくいかなくて。がっかりした気分を直そうと、コンビニにおかしを買いに行った……はずなんだ。  コンビニがあったはずの場所。そこにあったのはキラキラの魔法具屋さん。  そして店員さんは、

        • 【短編小説】 神様、私に勇気をください!

           師走。  皆さまごきげんよう。  さて、今回は、ある文芸コンテストをパトロールしていたとき出会った少女の物語をご紹介いたします。  その少女の小さな胸には闘志が宿っていました。  なお、紹介させていただくにあたって、作者の許可を得ています。  全編、759文字です。  作 神崎ライ氏  私にはもう時間がない。この思い、何とか伝えたいけれど……  物心ついた時からずっと一緒だった。幼馴染み(アイツ)がいなくなるなんて考えたこともなかった。  いつもと同じように一緒

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        【桃太郎】 第一話「ドンブラコ」

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        • 【箱庭】 叫び再び 〜遥かなるミルキーウェイ〜 《連載中》
          12本
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        • 【箱庭(単作)】 #140字 《更新中》
          3本

        記事

          【連載小説】 歪みの旋律~わたしが愛を知るまでのレッスン~

           すっかり年の瀬です。  皆さまごきげんよう。  さて、今回も、ある文芸コンテストをパトロールしていたときに、出会った女性をご紹介いたします。  彼女は、双子の姉が亡くなって二年、時が止まったように生きてきました。  姉と、その彼氏に身も心も縛られていたのです。  そこに音楽教室を主宰する男が現れます。彼女は、以前バイオリンを弾いていましたが、姉の死でそれを遠ざけていたのです。  果たしてこの出会いは、彼女の時を動かすのでしょうか。  私がとても更新を楽しみにしている連載小

          【連載小説】 歪みの旋律~わたしが愛を知るまでのレッスン~

          【連載小説】 大嫌いな先生のお試し妻になったら、謎に甘い生活がはじまりました

           すっかり年の瀬です。  皆さまごきげんよう。  さて、今回は、ある文芸コンテストをパトロールした後に、今、ファンタジー界をざわつかせている二人と食事をしました。とてもアクの強い二人でした。  こちらの方々です。  モジャ髪で、神経質の教師   ユガリノス    特技は、嫌味。  桃色天パで、ちょっとおバカな彼の教え子   ノアナ    特技は、寝坊、ゴキブリ叩き……。  なんとこの二人が、お試し夫婦生活をしていると聞いて、のけぞりました!  随所で、作者のユーモアセンス

          【連載小説】 大嫌いな先生のお試し妻になったら、謎に甘い生活がはじまりました

          【連載小説】 売れない画家とピアニスト

           すっかり年の瀬です。  皆さまごきげんよう。  さて、今回も、ある文芸コンテストをパトロールしていたときに出会った小説をご紹介します。  著者のあらすじより 「プロのピアニストを目指し、フレデリック国際ピアノコンクール優勝を目指す水無瀬ゆきと、画家として個展を開くことを夢見る来栖大悟がおりなす大人の愛の物語。二人はお互いの夢の実現に向け、お互い手をとり励ましあい一歩ずつ前に進んでいくのですが……「プロのピアニストを目指し、フレデリック国際ピアノコンクール優勝を目指す水無瀬

          【連載小説】 売れない画家とピアニスト

          【短編小説】 遠距離家族

           師走。  皆さまごきげんよう。  さて、今回は、ある文芸コンテストをパトロールしていたとき(またかよ)に、ああ、こんな家族のカタチも素敵だな、と心を打った短編小説をご紹介いたします。 「埋めたいと願った距離。しかし、時間はそれを許さなかった……」  なお、紹介させていただくにあたって、作者の許可を得ています。  全編、5,732文字です。  作 下東良雄氏  ――都心某所・高層ビル内のオフィス  黒いスーツをビシッと着たひとりの女性が広いオフィスを颯爽と歩いている

          【短編小説】 遠距離家族

          【連載小説】 九十九物語 第一話 「椿の下には」

           高いシャンパンボトルを見て「ああ、やっちゃった」なんて思わない。少なくとも、今だけは。思うとすれば、ひとり寂しくベッドに入った後か、すっかり少なくなってしまった口座の残高を見たときだろう。私――佐々木百花はそう思って、一度深呼吸した。  シャンパンなんて今まで一度も飲んだことがない。きっと私には飲んだところで価値なんてわからないだろうと思う。スーパーやコンビニで売っている、安い缶チューハイの方がずっと好きだ。だけど、彼の嬉しそうな笑顔が見られたんだからそれだけの価値はある

          【連載小説】 九十九物語 第一話 「椿の下には」

          【連載小説】 九十九物語 「プロローグ」

           すっかり年の瀬です。  皆さまごきげんよう。  さて、今回も、ある文芸コンテストをパトロールしていたときに、心を掴まれた連載小説をご紹介いたします。 「君の大切な思い出の一日。その記憶を僕にちょうだい。それが、報酬……」  物語の滑り出しは、いつの時代であろうか? それは、遠いむかし……。そんなことを思った、刹那、私はすうっと読書の旅に出ていた。  入れ込んだホストに裏切られ、勤め先の社長が逮捕。ちょっぴり? いえいえ結構不運なOL、佐々木百花。  そんなお先真っ暗の彼

          【連載小説】 九十九物語 「プロローグ」

          【短編小説】 だから僕は文学をやめた

           すっかり年の瀬です。  皆さまごきげんよう。  さて、今回も、ある文芸コンテストをパトロールしていたときに、おやっと心がシクシクした短編小説をご紹介いたします。  青い春、懐かしい幻影。  純文学。  なお、紹介させていただくにあたって、作者の許可を得ています。  全編、2,722文字です。  作 有明榮氏  私たちは闇の存在しないところで会うことになるだろう。(一九八四年/オーウェル)  マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』の冒頭は、紅茶に浸されたマドレーヌ

          【短編小説】 だから僕は文学をやめた

          【短編小説】 夜の世界

           すっかり年の瀬です。  皆さまごきげんよう。  さて、今回は、ある文芸コンテストをパトロールしていたときに、コツン、と心に響いた短編小説をご紹介いたします。  ノスタルジックな世界、幼い日に跨いだ新世界。  なお、紹介させていただくにあたって、作者の許可を得ています。  全編、1,059文字です。  作 下東良雄氏  ――ある年の大晦日おおみそか  ゴーン  近所のお寺から除夜の鐘の音が聞こえてくる。ちょうど新しい年を迎えたようだ。  ここは都心近郊の新興住宅地。い

          【短編小説】 夜の世界

          【関西人が征く】 #11 島根・浜田 「はなび」

           浜田駅を出て徒歩数分。  居酒屋「はなび」のカウンターで、私は固まっていた。 「なに? このアジフライ?」  *  *  *  浜田といえば。  ダウンタウンの浜ちゃん。  少し古いが、政界の暴れん坊、浜田幸一氏。  これも古いが、歌手の浜田省吾こと、はましょう。  残念ながら、彼らに知名度で大きく水をあけられている裏日本の漁師町、浜田。  しかし、侮ってはならない。  この街は、全国に名を馳せるスターを輩出しているのだ。  なんといっても、浜田高校出身の梨田昌孝氏

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          【関西人がゆく】 #10 埼玉・浦和 「埼玉地方裁判所食堂」

          「いらっしゃいやせー!」  なにごと!?  埼玉地裁玄関。  そのロビーに大声がこだまする。  裁判所の食堂は、一般にも開放されているので、浦和に勤務していた頃、私は常連であった。  *  *  *  埼玉地方裁判所、法廷。  被告席に引き立てられる若者。学生だろうか。二十代には違いない。  調書に目を落とした弁護人が、何やら長々と喋っている。  腹一杯の私はウトウトと座席に身を預けていた。  そんな舟を漕ぐ私は、突然の叫び声で叩き起こされた。 「この度は、息子がご迷

          【関西人がゆく】 #10 埼玉・浦和 「埼玉地方裁判所食堂」

          【関西人がゆく】 #9 京都・丸太町 「チャーミングチャーハン」

           たびたびメディアに取り上げられる、町中華王国「京都」を代表する中華店。  なんといってもこの店、すべてのメニューに追加料金を支払えば「チャーハン」を付けられる。  チャーハン付きラーメン、チャーハン付き麻婆豆腐、チャーハン付き酢豚といった具合である。  メニューに、焼飯がある。  ?  ということは、「チャーハン付き焼飯」は、果たして注文が可能なのか。  可能である。    片方のチャーハンは、量が少なかったりするのか?  いいえ、まったく同じチャーハン(あるいは

          【関西人がゆく】 #9 京都・丸太町 「チャーミングチャーハン」

          【関西人がゆく】 #8 滋賀・大津 「志乃崎」

          「志乃崎」  私がヒラの時、滋賀支店の課長補佐に勧められたそば店である。  温かい蕎麦が美味い。  この店で、ザル(モリ)は食べたことはない。  かけ蕎麦が、日本一(私、調べ)なのだ。  ところで、滋賀の人は、薬味に赤のボトルでお馴染みの「七味(一味)」をほとんど使わない。  その代わりに使うのは、緑のボトルの「山椒」である。  山椒がその蕎麦の味を、ぐんっと引き出していた。  滋賀県、侮りがたし(すんません)。  *  *  *  ある日、私は、課長に呼び出された。 「

          【関西人がゆく】 #8 滋賀・大津 「志乃崎」