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前にも言ったでしょ


2024年3月2日(土)朝の6:00になりました。

何回転んだっていいさ。擦りむいた傷をちゃんと見るんだ。

どうも、高倉大希です。




前にも言ったでしょ。

おなじことを何度も聞かないでちょうだい。


こんなことを言いながら怒っている人を、よく見かけます。

気持ちはわからなくもないですが、前提が間違っているような気がします。


なぜなら、1回で伝わることの方がどう考えても稀だからです。

1回で伝わることなんて、ないと思っていた方がよいくらいかもしれません。


書き手とは、大隊を率いて一度に1人しか通れないような狭いすき間を縦列進行させる司令官のようなものだ。一方、読み手は出口で軍隊を受け取り、その隊列を再び整えていかねばならない。題材がどんなに大きかろうが、またどのように扱われていようが、そのコミュニケーションの方法はこれひとつである。

バーバラ・ミント(1999)「考える技術・書く技術」ダイヤモンド社


1回言えば、伝わるはずだ。

この前提に立てば、あとは相手のせいにしてしまえます。


聞いていなかったお前がわるい。

忘れてしまったお前がわるい。


自分自身は、一切の責任を負わなくて済むわけです。

こうして多くの人々は、伝える工夫を簡単にやめてしまいます。


・事実の羅列はまったく意味をなさないこと
・取材した素材(=事実)に作り手が意味を解釈することこそ、ストーリーであること
・ストーリーなき編集は、まったく意味がないこと
・人の心に何か感じさせるためには、必ずストーリーが不可欠であること
・その意味づけの過程で、あくまで取材対象者の気持ちを徹底的に理解しようという姿勢が演出家にとって不可欠であること

高橋弘樹(2018)「1秒でつかむ」ダイヤモンド社


本当に伝えたいのなら、重ねなければなりません。

何度も伝えられるから、はじめて記憶に残ります。


意図して、まったく同じ言葉を重ねることもあります。

はたまた、同じメッセージを違う言葉で重ねることもあります。


いずれにせよ、重ねていることに変わりはありません。

1回で、どうにかしようと思わないことが大切です。


反復練習をせずに、教育で何をすると言うのでしょう。それぞれの個性を評価しなければいけない。そういう声に応えて、個性を伸ばそうとしていた。親も先生も、反復練習をすっ飛ばして、個性を伸ばすことに躍起になった。たしかに、反復練習に個性はないように見えます。でも反復練習をしなきと、個性なんて出ません。

養老孟司(2023)「ものがわかるということ」祥伝社


どうせ後で重ねるから、その1回の言葉にこだわる必要はない。

決して、そういうわけではありません。


考え方は、むしろ逆です。

重ねることを前提とするからこそ、なおさら言葉にこだわる必要があります。


要するに、いつも言っているあの話ですよね。

理想は、相手にこう思ってもらうことです。






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