筆極道
2/19開催リレー小説。
筆極道の宴のために書かれた歌詞たち。選ばれたものは歌となり、そうでないものは「いつか自分を見出してくれる人が見つかる」と信じて"自分探し"の旅。
'17 2/19開催『筆極道 仁義なきリレー小説の宴vol.1』の、プレイベントとして繰り広げるリレー小説。
5/7開催予定の第2弾。当日生み出された者達はココにアップします。
宏文の記憶は更に遡る。 宏文が五歳の時、父親が死んだ。 所属している組織とヤクザの諍いで腹を刺された。 父親は在日朝鮮人の二世で、ちょんの間で働く母親の常連だった。 当時三業地と呼ばれた渋谷で遣り手をしていた祖母に、十七だった母親は無理矢理客を付けられた。そうして、母親も祖母と同じ道を辿っていった。 祖母は素面でも口が悪く、子供にとても聞かせられないような下衆な話も平気でした。 酒を飲むと一層、それは非道くなった。 「あんたはどうせ十七でアタシが引き入れなく
藤堂宏文はずっと思い違いをしていた、やりチンは自信のない男が陥りがちなポジションで紙一重のところで自分はそれとは関係ないと、 しかし、この物語の終盤近くで彼はシミジミと思い知ることになる、あんにまでして欲しかったのは結局のところ自信だと。 藤堂は北海道の出身で若い頃は新宿でチンピラとしか呼びようのない生活を送っていたが、 今の妻、穂乃香を手に入れた事で人生が変わった、穂乃香の郷里に移り住み父穂乃香親の経営するテフロン加工商品の卸を営む会社で営業マンとして働き出し、そこで
19:00までのシフトを終えた千田早苗は、そそくさと帰りの身支度を整え、勤務先のショップを出た。向かう先は西口改札前のチェーンのドーナツショップだ。 藤堂宏文からは「19:27着で行く」というLINEが届いていた。今19:07、ドーナツショップに着いてオーダーし席に着いたら19:12、コーヒーとドーナツ1つを軽く食べて19:18、化粧直しが終わるのが19:27、改札前に向かって宏文と会うのが19:30。 そこから行く先は、駅前から少し外れたラブホテルだ。勤務先とは
イ、イケメンいなくない??? 美菜子は思わず合コンのトイレ会議でサナエに詰め寄った。 それとも、あんたの言うイケメンって、あの出っ歯のナレナレしい男のこと? いや、ごめん。。 もはや、言い訳する気力もなくしてクリンチに持ち込もうとしてくるサナエを 振りほどきつつ美菜子は思った。 これなら、まだサイトーの方がマシだわ。。 え??サイトーって斉藤先生のこと??自分自身の意外な思考をトレースしながら美菜子は驚きに打たれつつも次のことを認めた あの冴えなさの、うだつの
…ハッ、ハーッ カラカラカラ ん、あ、あれ、トイレットペーパーがないぞ? 西校舎3階トイレの一番奥の個室に斎藤は居た。 放課後、時たまやってくる抗えない欲望を一人で解消するために、個室に籠るのだ。 自宅の教員住宅のトイレは妻に気を遣ってしまうため"それ"をするには適していなかった。 結婚したらしなくなるものかと思っていたが、そんな事は全くなかった。 年を取るにつれ、週に2度から1度へ、週1度から二週に1度へと頻度は落ちたが、ほぼ定期的にそのオスと
「け、携帯のガラスが割れてしまって」 千田早苗という名札を胸につけた女店員の眼光の鋭さに思わず自分の声が気持上ずるのを美奈子は感じた。 なんなの、この店員?ヤンキー? つーか、なんか凄いイゲンあるんだけど? 「ガラスかぁー?お持ちの携帯はiPhoneですか?」 千田早苗は若干ダルそうな言い方でそう美奈子に訊いてきた、 店員が客に愛想を使うという感じが全くない けれど別に仕事がイヤで仕方がなくて不機嫌という風にも美奈子の目にはうつらなかった。 ちょっとトッポくて
※ 【】内は語り手の名前です。 ※ 句読点、助詞や語尾の修正を適宜入れてます。 ※ YouTubeの動画を聴きながら読むと、その場の雰囲気も一緒に伝わってオススメです!! 【美帆】 はぁ…胡蝶の夢、ですかぁ…。 まぁ、僕が生きてる事ももしかしたら、まぁ、たまたまかもしれなし、実は生きてないかもしれないし。先輩の言うことは難しくて分かんないっすね。取りあえず、あのお婆さんどうします? 【但馬】 「Fuckin' Jap 位分かるよ、バカヤロウ!」 私がブラジャーと思
※ 【】内は語り手の名前です。 ※ 句読点、助詞や語尾の修正を適宜入れてます。 ※ YouTubeの動画を聴きながら読むと、その場の雰囲気も一緒に伝わってオススメです!! 【千葉】 選ばれたのはクワガタだった。 【Baraki】 御茶ノ水で楽器を買ったあの青年は、実は趣味が昆虫採集だった。 ある日、「そうだ、最近は東北がかなりいい感じらしい」という事を、様々な友人から聞いていた彼は、ある日思い立って、東京駅から新幹線にパッと飛び乗り、十和田湖に辿り着いた。 近所の
※ 【】内は語り手の名前です。 ※ 句読点、助詞や語尾の修正を適宜入れてます。 ※ YouTubeの動画を聴きながら読むと、その場の雰囲気も一緒に伝わってオススメです!! 【但馬】 頰を差す茜 朝の山手通り タバコの空き箱を捨てる 今日もまた明日の踏み場はない 小部屋が孤独を甘やかす 奥入瀬の木陰の中から八甲田山を見て、そう思った。 【小野】 甲虫は逃げた、1匹、2匹、3匹。虫かごというにはあまりにも小さい箱のように聞こえるが、沢山の甲虫がいる。 "裕也"の
※ 【】内は語り手の名前です。 ※ 句読点、助詞や語尾の修正を適宜入れてます。 ※ YouTubeの動画を聴きながら読むと、その場の雰囲気も一緒に伝わってオススメです!! 【美帆】 ひょっこり現れた路地裏で、女とぶつかった。思いっきりぶつかった。女は倒れたが、裕也は混乱していた。 もしかしてこの挙動不振を見られたかも知れない。そう思った裕也は、そのまま女を絞め殺した。 【但馬】 絞め殺した女をどこに隠そうか? 裕也はそう考えた。 またメルボルンに行き、カンガルーの
※ 【】内は語り手の名前です。 ※ 句読点、助詞や語尾の修正を適宜入れてます。 ※ YouTubeの動画を聴きながら読むと、その場の雰囲気も一緒に伝わってオススメです!! 【武】 ハッと気付いた。運転中に、一瞬夢見てたみたいだ。でも夢じゃないなって思ったのは、到底夢とは思えなかったからだ。 携帯を見た。そしたら、時間が3日、自分が本来車を運転していた時間から経っていて、 一度目を覚ましたら次々と記憶をフラッシュバックしてきて、自分が6人もの人間を殺めてしまった事、その後