過去の恋愛の話。その③。


その②の段階でわたしが全てを知ることを放棄して、次の恋愛ッ!となれたら、ど〜れほど〜良かったで〜しょお〜〜。


よそ子から聞いたその事実を知り、わたしは友人に相談した。
その友人は「わたしだったら本人に直接話を聞くけどな。」と言った。
そんな考え、毛頭もなかった。
本人に直接?そんな恐ろしいことできない、そう思った。
だけど、少し時間を置いたときにそれが自分にとって1番納得できる方法なのかもしれないと考え直した。

『今日、仕事終わり少し会える?話したいことがある。』
『いいよ!』
『じゃあ、◯時に駅前で。』
『わかった!』


わたしが送ったLINEへのNちゃんからの返信はなんとも軽やかな文章だった。
この時のNちゃんは、わたしが事実を知っていることを知らなかったからそういう文面だったのだろう。


仕事が終わり、最寄駅に向かっている時のわたしの顔色は絵に描いたように真っ青だったと思う。
手が震えて気が気じゃなかったけれど、大好きなKAT-TUNの曲を聴いてなんとか正気を保っていた。


待ち合わせの時間、既に駅前に着いていたNちゃんは、付き合っていた当時と変わらない様子で「お疲れ!」とわたしに声を掛けた。意味がわからなかった。
「じゃあ…」と、帰路に歩を進めるNちゃんに、「帰り道だけじゃ話せないからあの居酒屋に行こう、個室だし。」と足止めした。
「え、……わかった。」
そう言うNちゃんの表情は、先ほどと違い引き攣ったことを今でもよく覚えている。
きっとNちゃんは、わたしがよそ子から好きな男の人ができたと聞いて、それについて話したいと言い出した、そんな風に思っていたんだろうな。


居酒屋に着いて、最初のメニューを注文した。
わたしはまだ食が進まなかったので、アルコールは頼んでいなかったと思う。
注文した食事が届き、ゆっくりと本題に入った。

「……あのね、よそ子から聞いたんだけど。」

多分この辺りからNちゃんは、わたしが事実を知ったことを確信したんじゃないかな。顔が更に引き攣っていたから。

「………うん。」
「A子と付き合ってるんだね。」
「………うん。」
「……わたしは、Nちゃんが男の人と結婚するって言うのを聞いて、ほんとに、ほんとに心配したし、それでも幸せになってって思ったのに。」
「………ごめん。」


①から読んでくださっている方からすると、最初に恨み節とか書いておきながら、幸せになって〜だなんてよう言うわ!とお思いになられるかと思うし、そう思われても仕方ないと思うが、当時はほんっっっとうにそう思っていた。
だってね、この時までは未練タラッタラでNちゃんのことがまだ大好きだったから。
まさに米津玄師のLemonの"わたしの〜光〜"みたいなかんじだったんだもん。


涙を堪えたわたしより先に、涙を見せたNちゃんは「ごめん。トイレ行ってくる。」と言って席を立とうとした。
そんなNちゃんにわたしは咄嗟に「ほら、これ持って行きな!」とディズニーのタオルを差し出した。
「大丈夫…。」と言うNちゃんに、「いいから。」と半ば無理矢理手に持たせ、Nちゃんはトイレに向かった。
何度も言うけど、この時はまだNちゃんのことが本当に好きだったから、泣いている姿を見るのが辛かった。
綺麗事語り出した!って思われても無理はないので、ここで読むのを挫折した方がいても仕方ないと思う。
ただ、純粋にNちゃんを好きでいたわたしはここで幕を閉じることとなる。



トイレから戻ってきたNちゃんから渡したタオルを受け取り、その後は何気ない話をしたと思う。多分。
これ以降の細かいやり取りはあまり覚えていない。
A子と付き合っているという事実をよそ子から聞くのと本人がそれを肯定するのとでは全く違ったから、とにかく呆然としていた。


居酒屋を出て自転車に乗り(お互い自転車で最寄り駅まで通っていた)、交際当時に分かれていた場所よりもっと手前の場所で「じゃあ、バイバイ。」と言った。ような気がする。
先述したように細かくは覚えていないが、いつもの「また明日。」ではなく「バイバイ。」だったとは思う。
そんな曲があった気がするけれど、わたしたちの間にはもう「また明日〜」はなかった。




************




それからしばらくして、わたしはA子と、よそ子はNちゃんとそれぞれ話をすることにした。
もちろんそれぞれ別々の日程に。
なんでわざわざそんなことをしたのか?
本人の口から事実を聞きたかった。ただそれだけ。


この当時の心境などを細かく書くととんでもなく長くなるのでなるべく簡潔にまとめたいと思うのだけど、待ち合わせ場所にやって来たA子の表情は、わたしが知っていたA子とは別人で、敵を見るような目をしていた。
大袈裟じゃなく、ほんとに。
ゆでたまごしか食べなかった姿を心配してくれていたA子はそこにはおらず、"友だち"ではなく"Nちゃんの元カノ"という風に、わたしを見る目が変わっていた。
後によそ子に話を聞くと、よそ子もNちゃんに対して同じように思ったそうだ。


ここでのA子とのやり取りは割愛する。
これはあくまでわたしとNちゃんの話だから。
ただひとつ言えるのは、帰り際酔っ払って「たのしかった〜。」と、わたしに抱きついたA子に心底腹が立ったということ。



その④へ続く。→
https://note.com/fujichan____s/n/nbf305f3b61d7



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