過去の恋愛の話。その④。


さて、その③の状況からほどなくして、それは起こった。
おそらくちっぽけな出来事なので、これを読んでくださっている方々及び大抵の人はスルーできるかもしれないが、わたしには無理だった。


ある日の帰り道、依然として憔悴しきっていたわたしは自転車で自宅へ向かっていると、追いかけてくる一台の自転車の姿を視界の端に捉えた。
気味悪く思い逃げるように速度を上げたのだが、信号機が赤色に変わり停車せざるを得なくなったわたしのところへその自転車は迫り寄ってきた。
目を合わせたらヤバイと思い、咄嗟に視線を下げると隣のその人物は、「ハハッ!」と噴き出すような笑い声を上げた。


「よっ!」


警戒したわたしに対してそう軽快に言った。
まぁ、御察しの通りで、その声の主はNちゃん。
ありえねーーーーーーって叫びたくなったのはその後のことで、声を掛けられたときは頭が真っ白になった。
あんな話し合いをして、「バイバイ」って言って、それでいて「よっ!」ってアンタ……、と。

「あ、あぁ…。」


それがわたしの精一杯だった。
そこからはあまりよく覚えていない。
どんなに考えても、わざわざ追いかけてまで声を掛けてくる意味がわからなかった。
前述した状況踏まえて、"声を掛ける"こと自体、おかしいって思ったから。
そんなわたしの様子でようやく事を察したのか、徐々に気まずい雰囲気を出し始めたNちゃんは、「じゃ、わたしこっちだから。」と言って、去っていった。

ここでようやく心の中で"ありえねーーー!!!"と叫んだわけだが。




それからのわたしはボロボロだった。
まるで死体ようだった。生きた屍という表現以上にしっくりくるものがない状態で、昼も夜も同じに真っ暗だった。
大好きだった恋人も、信頼していた友人も同時に無くしたのだから。



************


もしこのブログを章に分けていたのなら間違いなくここが章の区切りだっただろうけど、人生とはそう上手くいかないので、こうやって中途半端に時が分かれる。



『A子とNちゃん、別れたってよ。』


某部活辞めるってよ、というタイトルの邦画作品みたいなかんじでそれを聞いたのは今から約1年ほど前の話。



その当時のわたしはと言うと、Nちゃんと別れそしてNちゃんがA子と付き合ったことを知った後に、大好きだった祖母が亡くなり、仕事のプレッシャーとストレスでメンタルがイカれてしまって病院にかかったところ"躁鬱病"と診断され、やむを得ず休職することとなり、絶望していたところ薬の副作用で全身に発疹、ウワァァァとなり、その後身体的には落ち着いてきたがメンタルがままならず、時折り、ウゥ…ウゥ…と泣き、そのまま職場に復帰できず退職……資格も何もないのにこんな年齢でメンタル的な病気を抱えてどうしよう、なんてときにそんな話。


ぶっちゃけ、ざまぁ!!! & どーでもいい!!!!!

こんなかんじだったと思う。多分。
今これを書きながら当時の心境ごと記憶を呼び起こそうにも、このnoteのその①〜④前半までと比べるとどうにも希薄である。それくらいどうでもよかった。
自分自身の問題が山積みだったしね。


「マジかよ、ざまあ。てか、なんで?」
『詳しいことはわかんないんだけど、共通の友だちから聞いた。』


電話越しのよそ子も、聞き手のわたしもお互い半笑いだった。

実は、NちゃんとA子が付き合っていることを知った後に発覚した出来事がひとつある。
先程出てきた"共通の友だち"、これはよそ子とA子の共通の友だちなのだけど、この子に対してA子はNちゃんと体の関係を持った際の感想を伝えていたらしい。
付き合ってるんだから、別にいいじゃん?と思うかもしれない。付き合ってるならね。
その感想を伝えた当時、Nちゃんはまだわたしと付き合っていた。つまりふたりはそもそも浮気関係にあったわけだ。



まぁ〜、ちゃんちゃらおかしい!!
浮気までして全てを投げ打ってでもわたしたちは一緒にいるべきなのよ、と言わんばかりの勢いでわたしとよそ子の2人を切り捨てたわりになんとお早いこと。
悲しい?悔しい?寂しい?苦しい?どれでもない感情が駆け巡った。

感情というか、「ありゃなんだったんだ…。」まさにこれ。




************


NちゃんとA子が別れた。


それを知ってからどれくらい経った頃だろう。
たぶんあまり経ってない頃かな。
その頃にはわたしはNちゃんやA子への恨みは消え、引き続き療養生活を送っていた。
ダイエットの為、そしてあんまり深酒しちゃ駄目!と医者から言われていたのでそれまではアルコールを控えていたのだけど、祖父が亡くなったのをきっかけにまた以前と同じように飲酒するようになった。
わたしは酔っ払うと本当に面倒なタイプで、いろんな人にLINEを送ってしまう。誰彼構わず送ってしまう。そう、誰彼構わず。


ある日、目覚めるとNちゃんからのLINE通知に気付いた。頭を抱えた。頭を抱えて、一瞬スマホを置いて、もう一度頭を抱えた。どんなに頭を抱えても送ったLINEは消せない(正確には消せるけど届いた相手の記憶からは消せない)ので、LINEを開く。
よくわからんことを送っているわたし。
ふつうに返信してきたNちゃん。


今までのことがなかったように、とまではいかないけど、至って冷静に少しやり取りをした。
未練もなければ恨みもなく、なんかこのまままた友だちに戻れたりするのかなあ、ふわっとそんな風に思った。

しかし、『また新しく彼女ができた。』そんな内容を見て、「アッ、無理〜……。」と一気に真顔になった記憶がある。
なんで?未練がないならいいじゃん?と思う人もいるかもしれないし、そういう人はいるとは思うんだけど、わたしは常に恋人がいないとダメなタイプの人がダメなタイプなのだ。
根本的にそういった価値観が合わない上にそれが元カノとかなると、とてもじゃないけど、いや、とても友だちには戻れないし戻りたくないや〜と思った。
向こうも同意見でしょうしね。




そういった突発的なやり取りが数回あったあと、わたしの人生においてしばらくNちゃん関連の話はなくなった。
このままなくなっていればよかったものの、狭い世界の情報共有力の恐ろしさたるや。


Nちゃんが『新しく彼女ができた。』と言ったその相手は、なんとNちゃんがA子と付き合っていたときに仲良くしていた同性カップルのひとりということが発覚した。
どこからそんなことがわかったのか、ここまで読んでくださってる方はデジャヴだったのではなかろうか。
そう、"共通の友だち"→よそ子→わたしである。
ん〜、なんて狭い世界!!!


Nちゃんに新しくできた彼女をB子さんとするけれど、NちゃんとB子さんが付き合い始めたからと言ってあなたに関係あるのか?という疑問が浮かび上がるだろう。
はっきり言って、ない。直接的な関係は、ない。
じゃ、なんでまだグダグダ言ってるの?いい加減忘れろや、と言われてもごもっとも。

さっき恨みは消えたと言っていたのに、なぜこんなに長いnoteを書くほど恨んでいるのか。



おそらく次がラストになる。ラストになれと切に願う。


その⑤へ続く。→
https://note.com/fujichan____s/n/na1b2077d6e2c


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