福原たまねぎ

Amazon米国本社のシニアプロダクトマネージャー。シアトル在住。日々エンジニアとAm…

福原たまねぎ

Amazon米国本社のシニアプロダクトマネージャー。シアトル在住。日々エンジニアとAmazonクーポンの開発をしています。まじめな話、ほっこりする話、くだらない話。どれも一生懸命書いてまっす。

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  • たまねぎエッセイ

    アメリカ生活でのあれこれ、その他人生におけるちょっとした気づきなんかについて。

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    キャリアや仕事のことについて書いていきます!

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    最近読んだ本とそれにまつわるあれこれについて。

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好きになるとは、嫌いになることだ

石を投げれば飲み屋に当たる。 そんな言い回しがしっくり来るのが中目黒という街だ。改札を一歩出れば、ありとあらゆる飲み屋が目に飛び込んでくる。立ち飲み屋でひとり生ビールをくいっと飲み干すくたびれたサラリーマン、おでんをつつきながら日本酒を味わう若い女性たち、はたまた暗がりのバーで肩を寄せ合いながらシェリー酒に口をつける大人のカップル。訪れる人々が皆思い思いの形でグラスを、もしくはおちょこを傾ける。高架下で焼き鳥の串を握りながら、目黒銀座商店街でサムギョプサルにかぶりつきながら

    • トイプードルを預かったら人生変わった件

      どうしたものか。2匹のトイ・プードルがなんでぼくの部屋にいるのか。この独身アラサーの寂しい男(つまりぼくのこと)を健気に見つめるこの4つの瞳は一体なんだ? 話は2020年に遡る。当時の日本は(というか世界はというべきかもしれないけれど)コロナ真っ只中だった。 ぼくはその頃アマゾンジャパンという会社で働いていて(Amazonの日本支社)日本で開催するプライムデーの全体を統括するプロジェクトマネージャーをしていた。プライムデーとはプライム会員向けに実施する年に一度のビッグセー

      • レゴの贈り物 -ぼくの仕事の原点-

        みなさん習い事ってしてましたか?ぼくはしてました、人並みに。プールや公文 (KUMON) に精を出していた…とは言わないまでもそれなりにやっていた記憶がある。小さい頃ってなんだか大人になる通過儀礼のようなものとして習い事が存在していた気がする。そんな習い事の一つにとても思い出深いものがある。 小学校1年生だったか2年生だったときのこと。ぼくはエレクトーンを習っていた。エレクトーンとは電子オルガンの一種で鍵盤が上下段に分かれて並べられていて足元にたくさんのペダルが配置されてい

        • "やりたいことをやる"という罠

          人生で最初に買ったCDアルバムはなんですか? そんなことを聞けば「今更CDなんて」とぶつぶつとこぼしたくなる人もいるかもしれない。されど30代以上の皆様。きっと人ぞれにCDアルバムにまつわる思い出を一つや二つは少なくともお持ちという人もいるはずだ。ある人はレッド・ツェッペリンの、ある人はHi-STANDARDの、またある人はプッチモニ (つんく♂プロデュース) の思い出と共にあるかもしれない。いずれにせよ、この世に生を受けてはじめて買ったCDとなればなおのこと記憶に残ってい

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          忘れられない名刺

          あの名刺だけは忘れられない。いくら全力で忘れようともがいても頭にこびりついて離れない。そんな思い出の名刺がぼくにはある。今日はそんな話をしたい。 遡ること5-6年前。ぼくがアマゾンジャパンという会社で営業担当をしていたときのことだ。今でこそプロダクトマネージャーとして社内で缶詰になってエンジニアとごりごりソフトウェア開発をしているわけだけど、当時はいわゆる営業っぽい仕事をしていた。AmazonのWebサイトに商品を登録してもらうよう担当のメーカーさんと交渉をする。そして売上

          忘れられない名刺

          Noteを書く意味 -名もないブログがあるから-

          人生でほんとうに悲しかった時期が何度かある。もちろん生きていればすべての人がなんらかの壁にぶつかるわけであって、誰だって打ちひしがれたり涙で枕を濡らしたりすることはあるだろう。だから取り立てて「ぼくは不幸でした」なんて主張するつもりはない。言いたいのはぼくも人並みに苦しかったことがあるということだけで。 20代前半はそんな悲しさがピークに達した時期の一つだった。「なんでそんなに悲しかったのか?」という細かい事情まではここで書く気にはなれないけれど、なにはともあれベッドから起

          Noteを書く意味 -名もないブログがあるから-

          シアトルでアウトドア -アイスフィッシング編-

          シアトルで冬の釣りといえば(少なくともぼくにとっては)イカ釣りだ。ただ2月にもなると流石にイカも釣れなくなってくる。するといよいよ釣るものもなくなってくるので「春が来るまでは釣りは一休みするか」となる。こたつに入ってぬくぬくしながら冬を過ごそうじゃないか。そんな気分になるのだ。 …でもまだあった。冬に出来る釣りがまだあった。しかも「これぞ冬の釣り」と呼んでしまいたくなるような釣りが。ポップで刺激的なあの釣りが。 今回はアイスフィッシングについて書きたいと思います。アイスフ

          シアトルでアウトドア -アイスフィッシング編-

          サンアントニオ旅行記 -世界遺産と微妙なラーメン-

          サンアントニオを訪れた初日にNBA観戦をした (それについてはこちらの記事に書いた)。観客席でじっと試合を見ていると隣のおっさんがフランクな感じで話しかけてくる。地元に住む人で小さい子供のいるお父さんらしい。タプタプとしたお腹と優しくもたくましく生えたヒゲがトレードマークといった輩だ。まあよくいる中年アメリカ人男性といえばそれまでだが。ヒゲの奥に隠れた小さな口から発する言葉はこうだった。 「ふむふむ、そうですか」とそれを聞いた時にはスルーした。それよりもバスケの試合の方が大

          サンアントニオ旅行記 -世界遺産と微妙なラーメン-

          サンアントニオ旅行記 -コーラといえばメキシコでしょ-

          サンアントニオの旅は続く。天気に恵まれたこの日はひたすら散歩をすることにした。 街並みはどこかカラッとしていてそれでいて親しみやすい温もりがある。行き交う人々は気が抜けているようにも見えてリラックスしている。ちょっとよそよそしい感じのするシアトルの人々とはこんなところにも違いがある。当てつけかもしれないがアメリカでは南に行けば行くほど、そして気候が暖かくなればなるほど、人当たりはいいように思える。気のせいかな。 アラモ砦 最初の目的地はアラモ砦という場所だ。ここはサンアン

          サンアントニオ旅行記 -コーラといえばメキシコでしょ-

          サンアントニオ旅行記 -224cmの怪物-

          なんでバスケが好きか。そう考えたところで答えは出ない。 だけどなぜかは分からないけれど、物心ついた時からバスケだけは好きだった。小学生の頃にスラムダンクにハマったことはもちろん重要な体験だけれど、それと同じくらいNBA (National Bastketball Association - アメリカの男子バスケのプロリーグ) にハマったこともぼくにとっては大事な事件だった。マイケル・ジョーダンがいたリーグといえば伝わる人もいるだろうし、今だったら日本人の八村塁選手や渡邊雄太

          サンアントニオ旅行記 -224cmの怪物-

          結婚を9回もすると

          ヴィニシウス・ヂ・モライスという男がいた。ジャズの定番曲(いわゆるスタンダード)に『イパネマの娘』という有名な曲があるが、この作詞を手掛けたのがこの人物だ。アントニオ・カルロス・ジョビンという天才作曲家とタッグを組んでボサノヴァという新しい音楽ジャンルを作り出した立役者でもある。 この人、すごいんですよね。外交官として敏腕を発揮しながら、詩人として類まれな才能を発揮して脚光を浴びた。『黒いオルフェ』という映画は彼が書いた前衛的な戯曲を原作としていて、なんとカンヌ国際映画祭に

          結婚を9回もすると

          Amazonがあっても本屋はぜんぜんなくならないんじゃないか? という話

          出張で日本に帰ったときの話だ。ぼくが働いているAmazonのセールを担当するチームでは、毎年一度世界のどこかで(厳密に言うとAmazonのオフィスがある場所で) サミットというものを開催している。早い話、各国のセールを管轄するチームが集まってセールイベントのことやらそれにまつわるプロダクト開発についてあれこれ話すわけだ。前回はミュンヘンで行われ (それについてはこちらに書いたっけ)、今回は満場一致で「東京で!」ということになった。 すべての出張がきっとそうであるように、出張

          Amazonがあっても本屋はぜんぜんなくならないんじゃないか? という話

          「左手は添えなくてよし」 -シリコンバレーで聞いたリコーダーの話-

          中学生のときだ。ヨシダにあることを指摘されたことがある。 ヨシダとは中学のバスケ部で一緒だった友達のことだ。顔はメガネを外したアンタッチャブルの柴田さんによく似ていた。ヨシダは絵に描いたような生真面目な一面を持っていて、勉強もバスケも脇目も振らずに頑張るタイプだった。宿題もきっちりこなすし、練習だってサボらない。ギャグに対するツッコミも (それこそアンタッチャブルの柴田さんのように) きっちりと流さずに処理するのだった。なかなか硬派な奴なのだ。 ただその行き過ぎたシリアス

          「左手は添えなくてよし」 -シリコンバレーで聞いたリコーダーの話-

          本当に「伝え方が9割」か?-モネの絵から考えたこと-

          シカゴに旅行で訪れた時のこと (旅行記はこちらとこちら)。お目当ての一つはシカゴ美術館。ここは膨大なセレクション、特に印象派やアメリカンアートが充実しており、旅行者にとっては訪問必須のスポットとなっている。現に全米中、そして世界中から観光客が押し寄せてごった返している。 このシカゴ美術館のハイライトになっているのは2階の印象派をメインに取り扱ったフロアだ。ポール・セザンヌ、ポール・ゴーギャン、フェルディナンド・ホドラーなどの絵がゴロゴロと飾ってある。目玉はクロード・モネの睡

          本当に「伝え方が9割」か?-モネの絵から考えたこと-

          フルチ◯からの学び -What's My Age Again?-

          ここで一つお願いです。こちらの動画をぜひご覧になってください。30秒でいいから! いかがでしょう?どうしようもないぐらい、くだらないですよね (笑)。 ぼくはナッシュビルの旅行から帰るときに(旅行記はこちらとこちら)空港の中にあるアメリカンな感じのバーでちびちびと薄いビールを飲んでいた。飛行機に乗るまでの時間をそこで潰しているとBGMでこの曲が流れてきた。「うわ、懐かしいなー」という想いが溢れるのと同時に、あのくだらないプロモーションビデオをとっさに思い出してニヤニヤと笑

          フルチ◯からの学び -What's My Age Again?-

          ほめるのに比較はいらない

          今振り返って思うことがある。それはぼくはまあまあ小説を読むことが好きだったということだ。「病弱で小さい頃は本ばかり読んでました」とか「みんなが校庭でサッカーをして走り回る中、教室で一人静かに本を読んでました」なんてことはない。ただぼくなりのペースで、コツコツと、小説を読んできたなーという実感がある。アイデンティティーを形成する重要な要素として「ぼくは読書家です!」と声高々に言えるほどではないけれど、「まあ、それなりに好きだったな」としみじみ思うようなレベルだ。 中高でもぼち

          ほめるのに比較はいらない