Fumi

主にエッセイを書いています。映画と本と外国のひとり旅が好きです。日常で感じたことを中心…

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主にエッセイを書いています。映画と本と外国のひとり旅が好きです。日常で感じたことを中心に書いています。

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    日々暮らしの中で感じたことを書いています。完全に個人的な日記だったりメモだったり。個人の感想に近いです。

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    映画が好きです。映画にまつわる話や映画のエッセイを書いています。

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    自身のポッドキャスト番組や、出演した番組について。

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    これまで行った、海外でのひとり旅の記録を中心に書きます。

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固定された記事

20代の最後にロンドンに飛び立ったときのこと

今から6年前、残り数ヶ月で30歳になろうとしていた29の私は、20代の最後をこのまま平凡に終わらせたくないという衝動に駆られて、一人でロンドンに飛び立った。といっても…

Fumi
3年前
541

日記 愛してる、レイモンド・カーヴァー

時に「これは自分のための物語だ」と思える小説に出会うことがある。 学生時代には村上春樹、時を経てポールオースターやレイモンドチャンドラー、そしてカーヴァーが私に…

Fumi
2日前
28

映画『異人たち』は現時点で今年ベストの傑作だったが主人公二人の親密になるシーンがあまりにも切なくあまりにリアルでいまだに忘れられない。アンドリュースコットがこんな事は久しぶりだからと息継ぎがうまくいかず呼吸が乱れる箇所。あのシーンだけでもう奇跡のような映画だったと思う

Fumi
2週間前
17

映画『異人たち』あの人を思い平穏を祈る

自分の大切な人が実は大きな喪失を経験していることを言わずに心に留めていたりそれらを抱えて生きているかもしれないと思うことを絶対に忘れないようにしたいと思う。 山…

Fumi
3週間前
26

日記: 日々と娘と映画と

桜がヒラヒラと散る様をみたら、2000年代の岩井俊二映画を思い出した。 松たか子主演で北海道から上京した大学生一年生の瑞々しい姿を捉えた『四月物語』。制服似合ってな…

Fumi
4週間前
37

或る春の日の日記

春の香りが目の前を通り過ぎた時、西池袋のマンションのベランダで1人缶ビールを飲んだ記憶が蘇った。今から約20年も前のことで、私が大学生だった頃のことだ。 学生の頃…

Fumi
1か月前
34

新しいテーブル と向田邦子の名エッセイ

夫と結婚して良かったと思うことの一つに、ものを選ぶ価値基準がほとんどにおいて似ているというのがある。好きなものが似通っていると言うよりも、よほど気に入ったもので…

Fumi
1か月前
63

映画館という駆け込み寺があって良かった。世の中から遮断された誰の顔も見えない暗闇の中にいる時だけは、妻でも母でも何でもない自分1人の人間となれる気がする。というわけで、今月はDUNEとオッペンハイマーの公開が死ぬほど楽しみだ。

Fumi
2か月前
36

喫茶で久々に羽伸ばし。子育てというか娘に100%で向き合うと返ってくることも多いが些細なことが気になり自分の心が持たなくなるし自分のしたい事を大切にするとその時はいいけどそのうちに「ここまでしかできないか」と別のフラストレーションがたまる。なかなかむずかしいけど色々模索していこう

Fumi
2か月前
25

永福町で過ごした日々の記憶

今から約10年前、東急井の頭線の永福町駅から徒歩数分の場所で一人暮らしをしていたことがある。 渋谷にある広告代理店に勤務していた二十代後半の頃のことだ。その前は池…

Fumi
4か月前
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出産こんなに大変って知らなかったけど、赤ちゃんがこんなに可愛いってのも知らなかったよ。今は全身が痛いんだけど全部チャラになるぐらい可愛い。可愛いすぎる🌼

Fumi
5か月前
44

今日も夫のお手製弁当でお昼。美味。昨日どうでもいいことで喧嘩したからか全部私の好物ばかり。しかも下にもう一枚鮭が隠れていて歓喜✨

Fumi
6か月前
26

10/18の日記 失って手に入るもの

今日は朝から野暮用で車で1人病院に行く。本当は写真の成城石井のピザトーストが食べたいのだけれど、最近はグラノーラにヨーグルトをかけるのにはまっていて(手軽だから…

Fumi
6か月前
57

秋の晴れの日に、1年前の日記を読む

久しぶりに一年前の日記を読み返してみると、久しぶりの社会復帰(その頃しばらく仕事をすることから離れていたのだ)に期待と不安を感じている自分の言葉があってとても驚…

Fumi
6か月前
55

日々と少女映画 | オン・ザ・ロックとバービーと

時々訪れる実家の父親の不用意な発言に苛立ちと悲しさを感じることが増えている事に最近になって気がついた。父の明るく陽気で優しくて面白い側面が今の私には見えなくなっ…

Fumi
9か月前
42

映画作品も身近な人にも何かの出来事も白黒や良し悪しをつけて言い切るというような生き方は自分を苦しめているだけだったと感じる今日この頃だ。いや、本当はただこの夏の暑さで疲れているだけかもしれない。明日から夏休みが始まる。映画観てクーラーの効いた部屋でスイカバーを食べて満喫したい。

Fumi
9か月前
22
固定された記事

20代の最後にロンドンに飛び立ったときのこと

今から6年前、残り数ヶ月で30歳になろうとしていた29の私は、20代の最後をこのまま平凡に終わらせたくないという衝動に駆られて、一人でロンドンに飛び立った。といっても、大それたことではない。ただの一人旅である。 20代は色々迷走していた。大学を卒業してからすぐに洋服関係の仕事をしたけれど、物足りなくて1年でやめた。それからずっと都内でマーケティングやウェブ関係の仕事をしていたが、社会(というか会社)に迎合しすぎた結果、自分を見失い身体も壊して29歳の時に思い立って東京を去り

日記 愛してる、レイモンド・カーヴァー

時に「これは自分のための物語だ」と思える小説に出会うことがある。 学生時代には村上春樹、時を経てポールオースターやレイモンドチャンドラー、そしてカーヴァーが私にとってその1人だと言える。 共同起業するも仲違いして人生もビジネスも泥沼になったちょうど5年前の自分をどん底からすくい上げたのもカーヴァーの短編小説だったと記憶している。 そして今またこの作家の文章に私は夢中になっているのだ。 なぜこんなにも惹かれるのだろう。 彼の小説にある気配や感覚は、言葉にするのが難しい。

映画『異人たち』は現時点で今年ベストの傑作だったが主人公二人の親密になるシーンがあまりにも切なくあまりにリアルでいまだに忘れられない。アンドリュースコットがこんな事は久しぶりだからと息継ぎがうまくいかず呼吸が乱れる箇所。あのシーンだけでもう奇跡のような映画だったと思う

映画『異人たち』あの人を思い平穏を祈る

自分の大切な人が実は大きな喪失を経験していることを言わずに心に留めていたりそれらを抱えて生きているかもしれないと思うことを絶対に忘れないようにしたいと思う。 山田太一原作、アンドリューヘイ監督作の映画『異人たち』を観て思った。 そして自分自身が経験してきた自分の寂しさや孤独を無かったものとして無味乾燥な人生を歩んでいなかっただろうかと。 同時に、この作品が「自分はもう大人だから」と日頃弱音を吐かずに平気そうに生きている人に届くものとなればいいと感じてもいる。 どんな人

日記: 日々と娘と映画と

桜がヒラヒラと散る様をみたら、2000年代の岩井俊二映画を思い出した。 松たか子主演で北海道から上京した大学生一年生の瑞々しい姿を捉えた『四月物語』。制服似合ってないね、などといいながら桜並木を駆けながら高校に進学する2人の可笑しくも美しい映画『花とアリス』。どちらも何度観たか数えきれない程に偏愛している作品である。 昨日、初めて生後5ヶ月になった娘を連れて地域の子育て支援センターという場所に行ってみた。 当たり前のことだけれど人間は行動あるのみなのだなと、些細なことな

或る春の日の日記

春の香りが目の前を通り過ぎた時、西池袋のマンションのベランダで1人缶ビールを飲んだ記憶が蘇った。今から約20年も前のことで、私が大学生だった頃のことだ。 学生の頃は新学期が好きだった。 たとえその前の年をダラダラと過ごして成績も恋愛もパッとしない一年を過ごしたとしても4月にはリセットされる気がしていた。 大学生で上京し最初に住んだのは池袋だった。ただ大学が近かったから選んだだけだった。静かで落ち着いていたし、窓を開けると大学附属の小学生のかん高い声が聞こえてくるところが

新しいテーブル と向田邦子の名エッセイ

夫と結婚して良かったと思うことの一つに、ものを選ぶ価値基準がほとんどにおいて似ているというのがある。好きなものが似通っていると言うよりも、よほど気に入ったものでない限り不便でも買わない、買う時には金額は気にせず20年先も使いたいきちんとしたものを選択するところだ。つい最近結婚5年目にしてようやく納得のいくダイニングテーブルを見つけて注文をした。今は建築士でもある夫が大掛かりなDIYで仕上げた無垢材のテーブルを使用しているが(これもとても気に入っている)子供が産まれて食卓を囲む

映画館という駆け込み寺があって良かった。世の中から遮断された誰の顔も見えない暗闇の中にいる時だけは、妻でも母でも何でもない自分1人の人間となれる気がする。というわけで、今月はDUNEとオッペンハイマーの公開が死ぬほど楽しみだ。

喫茶で久々に羽伸ばし。子育てというか娘に100%で向き合うと返ってくることも多いが些細なことが気になり自分の心が持たなくなるし自分のしたい事を大切にするとその時はいいけどそのうちに「ここまでしかできないか」と別のフラストレーションがたまる。なかなかむずかしいけど色々模索していこう

永福町で過ごした日々の記憶

今から約10年前、東急井の頭線の永福町駅から徒歩数分の場所で一人暮らしをしていたことがある。 渋谷にある広告代理店に勤務していた二十代後半の頃のことだ。その前は池袋に住んでいたが、通勤の利便性となんとなく縁起のいい名前の駅名に惹かれてその地を引っ越し先に選んだ。 駅前の商店街を抜けた先には「東京のへそ」という別名を持つらしい大宮八幡宮、その奥には和田堀公園があり時々健康のためにランニングをしたり休日にコーヒーとパンを持って散歩に出かけたりもしていた。言わずと知れたグルメの

出産こんなに大変って知らなかったけど、赤ちゃんがこんなに可愛いってのも知らなかったよ。今は全身が痛いんだけど全部チャラになるぐらい可愛い。可愛いすぎる🌼

今日も夫のお手製弁当でお昼。美味。昨日どうでもいいことで喧嘩したからか全部私の好物ばかり。しかも下にもう一枚鮭が隠れていて歓喜✨

10/18の日記 失って手に入るもの

今日は朝から野暮用で車で1人病院に行く。本当は写真の成城石井のピザトーストが食べたいのだけれど、最近はグラノーラにヨーグルトをかけるのにはまっていて(手軽だから)今日もそれを食べてから家を出る。 麻酔科医に3年前の手術のときはどうでした?と聞かれて初めて「そうかそんなこともあったっけ」と気がついた。当時も身内にしかそのことは言っていなかったけれど、コロナ禍に突入したばかりの2020年の冬に婦人科系の手術をしたのだった。あの時の自分にはとても大きな出来事だったけれど、3年も経っ

秋の晴れの日に、1年前の日記を読む

久しぶりに一年前の日記を読み返してみると、久しぶりの社会復帰(その頃しばらく仕事をすることから離れていたのだ)に期待と不安を感じている自分の言葉があってとても驚いた。 仕事はうまく行くのだろうかだとか新しい環境で周囲に馴染めるかだとかこれまでのように映画鑑賞や読書ができなくなってまた自分を見失うのではだとかそんなようなことである。 一年が経ち、今の私が当時の自分に言葉をかけるのならば、今はあの時の不安はあっという間に解消されてしまって、あなたの想像していない状況になってい

日々と少女映画 | オン・ザ・ロックとバービーと

時々訪れる実家の父親の不用意な発言に苛立ちと悲しさを感じることが増えている事に最近になって気がついた。父の明るく陽気で優しくて面白い側面が今の私には見えなくなってしまい、反対に亭主関白で家父長制の権化的な父にもやもやとすることが増えてそのことに悲しさを感じてもいた。 でも、最近になりその事に少しだけ自分の中で良い方向に折り合いがついてきたようなきがしているので書いておこうと思う。 思えば賢明な両親の献身的な教育のおかげで、子供の頃にははみ出しもので親に苦労をかけてしまった

映画作品も身近な人にも何かの出来事も白黒や良し悪しをつけて言い切るというような生き方は自分を苦しめているだけだったと感じる今日この頃だ。いや、本当はただこの夏の暑さで疲れているだけかもしれない。明日から夏休みが始まる。映画観てクーラーの効いた部屋でスイカバーを食べて満喫したい。