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そこのみにて光り輝く

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記事一覧

孤独な既読、気の毒な未読

分かろうとするのも愛。分かったふりをしないのも愛。傷の舐め合いを略して作ったキズナでも誰…

ふぬけ
8か月前
6

あなたたちの反応が、わたしです

むかしより情念が薄れた。 20代初めの頃まではもっと沸き立つような怒りを持っていた。 出会…

ふぬけ
1年前
7

ひとの絶望を笑うな

誰かに悩みを吐露にすると、「いや私なんか〜」「てか俺なんてさ」などとすぐに自分の悩みを引…

ふぬけ
2年前
19

誰にもトレースできない人生

仮に抽選で毎日何万人も当たるプレゼントキャンペーンがあったとしたら、さすがに自分にも当た…

ふぬけ
2年前
15

あの時あなたを二塁に送ったのは私です

誰かの憧れにもトラウマにもなれなかった私たち 小さい頃は神様がいて不思議に夢をなんちゃら…

ふぬけ
2年前
10

迷惑かけて生きています

二列で並ぶ駅のホームに電車が滑り込む。ドアが開くのに合わせて待機の列は左右に分かれる。降…

ふぬけ
2年前
8

明日また電話するよ

久々に渋谷を歩くと心の中に備え付いたTinderの右スワイプが止まらなかった。渋谷に綺麗な女性が多いのか、それとも単なるマスクのバフ効果に過ぎないのか。緊急事態宣言の解除を受けて街は以前のテンションを取り戻していた。 地震、停電、疫病、お構いなし。 東京はまるでそうすることしか知らないみたいに日々を丸呑みしながら巨体を引きずり、目的なく邁進する大蛇と化していた。僕は蛇腹の中で頭を打ち、足を挫き、それでも溶けないよう必死にもがいてなんとか生存している。 改札では学生らしき

無敵になんかなれなくていいよ

いいねを押した。スキをした。スタンプを押した。既読にした。誰かのコメントをリツイートした…

ふぬけ
2年前
15

救いようのある人生

真夏のピークが去ったって天気予報士が言うのを早くも待ってる。 熱中症にもコロナにもならず…

ふぬけ
2年前
12

マーブル色の日

仕事でヘトヘトになって帰宅する。 週休3日でちょうどいいのに、そもそも週5当たり前に働くっ…

ふぬけ
2年前
9

「繊細さん」って名付けられて、安心したかい?

生きづらさを吐露することも市民権を得てきた。 僕らが抱えるこの怠惰や絶望にも、いつか誰か…

ふぬけ
3年前
61

思い出はモノクローム 色を点けてくれ

井の頭線がホームに滑り込む。ドアが開くのと同時に足は迷わずに西口へと繋がる階段を降りる。…

ふぬけ
3年前
20

今悲しみが通り過ぎてく

大森靖子のMV『Rude』を観た。 聴いた。 よもや体感した。 さまよう刃のような東野幸治、夜…

ふぬけ
3年前
10

壊れたいわけじゃないし、壊したいものもない

僕はフラカンをそんなに知ってるわけじゃない。 でもこの曲を聴くと、丸みを帯びた黒髪のショートヘアの後頭部を少しだけ思い出すことができる。記憶は時に絶望、時に憧憬のように眩しい。 北海道出身の彼女は歌がうまかった。さすがYUKIや吉田美和や中島みゆきを輩出した大地。 その子はカラオケに行くと毎回必ずこの曲を歌った。フラカンなんて世代でも柄でもない女子大生のくせに、フレーズが強く引き立つほど魂を込めて毎回気持ちよさそうに熱唱する。そんな彼女のよく通る歌声や屈託のない笑顔がま