マガジンのカバー画像

歌詞 詩

13
unison LIFE という架空のバンド
運営しているクリエイター

記事一覧

風をいっぱいに集めたら

風をいっぱいに集めたら

電車待ちのホーム。

今日は、晴天なれど思いのほか風が強い。
着ているシャツが、パタパタとはためく。
バタバタといってもいいくらいだ。

電車到着までは、まだ時間があるようだ。
そこでおれは、目をつむり思考を飛ばしてみる。

目の前に広がるのは、広大な海だ。
ここは日本海か。
海風が容赦なくおれを洗う。
あいにくの曇空。
じきに一雨くるだろう。
人影も無く、猫の子一匹見当たらない。
ただただ、白浪

もっとみる
フワリと吹き抜けたのだった

フワリと吹き抜けたのだった

いつのまにか、この時間でもずいぶんと明るい。
ゆっくりと前をゆく車のテールランプが、夕日をあびてキラキラと輝いた。
もう季節は初夏をつげている。

車内に流れるボブ・ディラン。
「ライク・ア・ローリング・ストーン」のサビを、鼻歌まじりに口ずさむ。

世の中がこんな時でも、空はキレイに暮れてゆく。
そしてディランは心に沁みるのだ。

ふと、前の車内を見ると、永ちゃんがマイクを握りしめている。
矢沢永

もっとみる
泥にまみれた雪に願いを

泥にまみれた雪に願いを

雪解けの頃、雪はその無垢な白さをすっかり失ってしまう

泥にまみれた汚れた雪は、皆から疎まれる存在でしかない。

そんな汚れた雪に、ぼくは不思議と少しの優しさを感じるのだ

それがまるで、冬の思い出の名残りみたいに感じるから

冬の間の色々な人たちの思い出が、今まさに消えつつある名残り

決して素敵な思い出ばかりではないだろう
毎日を懸命に暮らしてきた名残り
一人ひとりの冬の生活が、そこには確かに

もっとみる
風

穏やかな「時間」という風に乗る

時間という風はいつだって本当は穏やかだ

きまった速さ、きまった流れ
皆をのせて、ゆっくりと未来へ運んでゆく

それなのに、時に自らもがいて乱してしまう

怒り、悲しみ、嫉妬、不安

ただただ風に身をまかせさえすれば、本当は、ゆくべきところに穏やかに運んでくれるのに

怒りも悲しみも、嫉妬や不安も、時間の風はもとの穏やかな流れにゆっくりと戻してくれる

できること

もっとみる
小さな女の子

小さな女の子

湿った雪が「ぼたぼた」と降り続く

傘をさした親子がいた
厚着で着膨れした小さな女の子
母親のさす傘の下、濡れぬよう足下にしがみつく

娘に歩調を合わせて、ゆっくりとスクランブル交差点を渡る

ぼくは、なぜか切なくなる
悲しいとか、可哀想だとか、そんな気持ちではない
ただただ、その光景に切なくなる

人、人、ひとが行き交う交差点
ゆっくりと歩を進める親子

色々なことが、置いて行かれないでほしい

もっとみる
汚れちまった雪よ。春よ。

汚れちまった雪よ。春よ。

寒さが緩み、雪は解けはじめる

黒く汚れた雪が、路肩にだらしなく残っている
雪で覆い隠していた汚れたものたちが、春が近づきバレちゃった、かのように

通り抜ける風は、澄みわって爽やかだ
春というには、まだ空気は冷たいけれど、眩しい陽射しだけが、春が近いと感じさせる

ああ、ぼくは春を今かいまかと待っている

べちゃべちゃとした足下を、わざと気にせず歩いてみる
それが春を呼び込む儀式なのだ

また今

もっとみる
やさしいブルー

やさしいブルー

ブルーは不思議な色だ

なんだか冷たいイメージがあるのに、やさしさとしっくり馴染む

「やさしいレッド」はなんか想像できない

「やさしいオレンジ」…

やっぱり、「やさしいブルー」がしっくりくる

多分やさしいは、静かだからだ
やさしさは、ひんやりと静かなのだ

やさしいが深くければ深いほど、そのブルーを濃くし、ひっそりと、そしてひんやりと佇む

やさしいは、燃えるような情熱とは違う場所にある

もっとみる
あなたのことを今日は思っています

あなたのことを今日は思っています

12月のJR
電車はゆっくりとホームを離れて行きます

車内をぼんやり映しだす大きな窓
それを通して眺めるネオンは悲しいですね

新型コロナですものね

君は元気ですか

今、何をしていますか

ボクは電車にこうして揺られています

明るい顔
疲れた顔
悲しい顔

マスクをした顔、顔、かおです

よい年末でありますように
あなたのことを今日は思っていますから
こちらはなんとかやってます

風の午後

風の午後

レースのカーテンが、フワリサラリと揺れている。

風を感じられる瞬間。

眺める空は、青い。
雲も風を感じているようだ。

ゆっくりと目を閉じると、優しいオレンジ色が広がった。
サワリとした風の感覚を、不規則に身体全体で感じる。
さっきまで見上げていた空の青さを、ゆっくりと瞼に思い浮かべてみる。
窓の外、遠く車が走る音。
誰かの話し声。
子供たちの笑い声か。
そして、またサワリと風。

あっ、今部

もっとみる
季節

季節

気がつくと、季節はいつも移り変わっている
そうか、もう…

日々は関係なくつづいてゆく
いままでも、これからも

だからなのか、時々ふりかえりたくなる
過ぎてしまった季節を

夏には冬を

冬には夏を

春には秋の夕空を

秋には春の朝靄を

ただ、焦がれているのはいつもあの日の春であの日の夏
あの日の秋で冬のあの時

だからどれだけ季節に想いを寄せても、その季節は二度とは訪れない

なんど同じ季

もっとみる
進めロックンロール

進めロックンロール

どこまでも駆け出せる
肩で息を弾ませて
時にこの世の終わりみたいな顔で
時にこの世を手にした顔で

その瞳は試すよう
汚れたものを許さずに
時にあきらめたたえた眼差しで
時に天使のような眼差しで

兎にも角にも先へ進めよ
自分自身のロックのリズムを打ちならし
心のビート刻み先へ進めよ
きっとたくさんのロックに出会うさ

時には疲れ果て
立ち上がれない時もあるだろ
心配ないさ自分のペース

もっとみる

願い

昨日までの思い出も
幸せであってほしいと願う明日も
みんな今日につながっている

だから
今日を精いっぱい幸せに生きられたら
つながる明日は幸せから始められる

その繰り返しを生きて行きたい
#詩 #ポエム #祈

Why it is there

unison LIFE朝からの雨
少し憂鬱な気持ち逃すよう
にじむ窓をそっと開けると
すーと夏の風が吹きました

不意にチリリと
あの日の君を思いました
好きだった匂い憶えてます
君の顔少しづつかすれて行くのに

思い出はこんな一瞬のためにあるのでしょう
あの日に戻りたいとは思わないけど
ただ君の髪に顔をうずめ
明日からのこと

もっとみる