FY+W, Design Studio

藤本・横山デザインスタジオ(関東学院大/人間共生学部/共生デザイン学科)+渡辺のノート…

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藤本・横山デザインスタジオ(関東学院大/人間共生学部/共生デザイン学科)+渡辺のノートです.

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記事一覧

Q. 椅子は座るだけじゃなくて、眺めるための椅子、思想を表現するためのものもあるということでした。別の先生から、「ただ自分…

W うーむ。アートとデザインは明確に異なるという他に、アートよりもデザインの方がえらい、という言い方にも聞こえますね。 F たしかにね。これまた、いろいろなことが…

Q. 創造性を発揮していないデザイナーはどのように生活しているのですか? サラリーマンやアルバイトをしているのでしょうか?(…

F おっ。3回目にして早くも厳しい質問がきましたねえ。どうです? Y 山に農作業に行ったり、古民家カフェなんかして凌いでいるのですよ。とほほ。 F 身につまされる…

Q.家具のなかで、これだけは必要だと思う家具は何ですか?NMさん(3年)

W 僕は畳の部屋で過ごす事が多くて、何もないところがくつろげる空間なんです。 F 家具は、できればない方がいいってこと?質問をいきなり危うくしてしまうような意見で…

知っているつもり

舌の根の乾かぬうちに、また*。ま、「つもり」繋がりということで、勘弁してください。 先日(と言ってもかなり前のことです。書き始めてからも随分経つ)、何人かで、か…

Q洋画などで、お風呂の中で身体を洗うシーンがありますが、理解できません。HYさん(2年)

F先生のインテリアデザイン講義にたいして学生から聞かれた質問についてF・Y+Wがダイアローグ形式で答えていきます。答えになっているかはちょっと疑問ですが、しばらくシ…

読んでいたつもりが……

なぜだったか、丸谷才一の古いエッセイ集を取り出してパラパラとめくっていたら、ピーター・メイルの『贅沢の探求』*が紹介されている文があった。メイルは、リドリー・ス…

二種類の人間 - 補遺

前回の文で書き忘れていたことがあるので、書くことにします。 『ジャズジャイアンツ 名盤は……』を図書館で読んだ際に思いついて、手帳にメモしていた大事なこと(と言…

二種類の人間

人間には二種類ある。とは、しばしば耳にすることである。この他にもいろいろな二つについて、よく言われていることに違いない。 例えば、成功した人間と、そうでない人間…

新しいスピーカーとオーディオアンプ

新しいスピーカー、おまけにオーディオアンプとCDプレイヤーがやってきた。嬉しいけれど、やや残念な気がしなくもない…。というのも、新しく購入したというわけではないの…

テレヴィジョン嫌い

というタイトルは借り物で、しかも嘘になるかもしれないのだけれど(というか、正確ではない)。 本当は、テレビが嫌いというのではない、むしろ案外好きなような気がする…

I Don't Want To Talk About It

かつて、ロッド・スチュワートが歌って、ヒットさせた。邦題は、『もう話したくない』。 元は、なんとニール・ヤングのバック・バンド、クレイジー・ホースのメンバーが作…

恥づかしい話し、素朴な疑問

たとえば、noteに投稿しようとしていて、ふいに、あることが気になり始めた。 それは、恥づかしながら、胸を張って言えるようなことではないのだ。 何かというと、僕自身…

超大型台風、隔絶された空間

数十年に一度というくらいの最大級の超大型台風の襲来の予報。 学校も、早々と土曜日の休校を決めていた。 当日の土曜の午前中は、どんよりと暑い雲に覆われているものの…

もう一度、ジャズ− 批評を読む楽しみ

ここ何年か、ジャズをまた聴くようになった。周辺でジャズの話の出ることが多いことや、ミースの即興性についての話を時々思い出す等々の影響だろうか。あるいは、しばらく…

服装をめぐる問題

以前にも取り上げた丸谷才一のエッセイ集をめくっていたら、ちょっと気になることが。 「服装の問題」と題した一文*。 歌舞伎といふ特殊な演劇は〈中略〉まるでファッシ…

悲しき願い

順番に言えば、まずマフラーが落下し、次にLPプレイヤーが不調になって、さらには洗濯機がおかしくなったのだ(その前に「あなたが……」、という冷やかしは無し)。 踏ん…

Q. 椅子は座るだけじゃなくて、眺めるための椅子、思想を表現するためのものもあるということでした。別の先生から、「ただ自分の内面や意思を表現した作品はアートだ」、と言われました。座るためじゃない椅子はデザインではなく、アートに含まれてしまうのでしょうか? HYさん(1年)

W うーむ。アートとデザインは明確に異なるという他に、アートよりもデザインの方がえらい、という言い方にも聞こえますね。

F たしかにね。これまた、いろいろなことが含まれているようで、一筋縄じゃいかない問題だよね。                           で、お二人は、自身のことをデザイナーと思っている?それともアーティストだと?

Y デザイナー、だと思っています。

W 僕は、いま

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Q. 創造性を発揮していないデザイナーはどのように生活しているのですか? サラリーマンやアルバイトをしているのでしょうか?(HTさん3年)

F おっ。3回目にして早くも厳しい質問がきましたねえ。どうです?

Y 山に農作業に行ったり、古民家カフェなんかして凌いでいるのですよ。とほほ。

F 身につまされるなあ。その点、ワタナベクン、ここは、ちょっと偉そうに。そしてジェラシーも含めてワタナベクンとしたい気がする、はあんまり関係なさそう。このところずっと、大忙しみたいのようだしね。

W 仕事がたくさんあることと、そこで想像性を発揮できて

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Q.家具のなかで、これだけは必要だと思う家具は何ですか?NMさん(3年)

W 僕は畳の部屋で過ごす事が多くて、何もないところがくつろげる空間なんです。

F 家具は、できればない方がいいってこと?質問をいきなり危うくしてしまうような意見ですねえ。

W ヨコヤマサンの自宅だったガーデン山のリビングの続き間の畳の部屋がいつも片付いていて何もない空間だったのが印象的でした。

Y あれはワタナベサン、要するにお客さんが来るときだけ片付いているんですよ、当然。

W 普段はど

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知っているつもり

舌の根の乾かぬうちに、また*。ま、「つもり」繋がりということで、勘弁してください。

先日(と言ってもかなり前のことです。書き始めてからも随分経つ)、何人かで、かつて世話になった人のお見舞いに出かけてきた時のこと。

一緒に行ったうちの一人が近況を尋ねられて、琵琶湖周辺に旅行に出かけた折に近江八幡に立ち寄った時の話しをすると、先方の故郷だということが判明し、しかも彼が学んだ学校はヴォーリーズの設計

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Q洋画などで、お風呂の中で身体を洗うシーンがありますが、理解できません。HYさん(2年)

F先生のインテリアデザイン講義にたいして学生から聞かれた質問についてF・Y+Wがダイアローグ形式で答えていきます。答えになっているかはちょっと疑問ですが、しばらくシリーズ化出来たらいいなと思います。

HYさん(2年)の質問
Q洋画などを観ていると、実際にお風呂の中で身体を洗うシーンを見ますが、あれは理解できません。

F 欧米のお風呂に洗い場がないということね。

W お風呂の中で身体を洗います

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読んでいたつもりが……

なぜだったか、丸谷才一の古いエッセイ集を取り出してパラパラとめくっていたら、ピーター・メイルの『贅沢の探求』*が紹介されている文があった。メイルは、リドリー・スコットの映画『プロヴァンスの贈り物**』の原作者ですね。

Note に「デザイン」と「映画(に見るデザイン)」に関連することについて書くようにするつもりと書いたばかりでしたが、「本」や「絵」も入れていいような気がしたのです。僕は、彼、つま

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二種類の人間 - 補遺

前回の文で書き忘れていたことがあるので、書くことにします。

『ジャズジャイアンツ 名盤は……』を図書館で読んだ際に思いついて、手帳にメモしていた大事なこと(と言っても、僕自身にとってというだけのことです)を失念していた。簡単なダイアグラムまでまで書きつけていたのに。ま、ただの思いつきですが……。

それは、アメリカのポストモダンの建築家のロバート・A・M・スターンが、街を自身とその追随者が高層ビ

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二種類の人間

人間には二種類ある。とは、しばしば耳にすることである。この他にもいろいろな二つについて、よく言われていることに違いない。

例えば、成功した人間と、そうでない人間。与える人間と与えられる人間。勝ち組と負組、等々。もしかしたら、デザインする人間としてもらう人間という言い方もあるかもしれない。大抵、自信のある立場からの言い方が多いようなのだけれど……。嬉しくないですね。第一、単純な二元論というのもどう

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新しいスピーカーとオーディオアンプ

新しいスピーカーとオーディオアンプ

新しいスピーカー、おまけにオーディオアンプとCDプレイヤーがやってきた。嬉しいけれど、やや残念な気がしなくもない…。というのも、新しく購入したというわけではないのだ。少し前に書いた後輩がオーディオ装置を一新した際のお下り。ちょうど買い替えも覚悟しつつあった*ので、大いに助かった。以前にも書いたように、LPプレイヤーもオーディオアンプも30年超なのだ。プレイヤーはある時レコードを聴きたくなって再び使

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テレヴィジョン嫌い

テレヴィジョン嫌い

というタイトルは借り物で、しかも嘘になるかもしれないのだけれど(というか、正確ではない)。

本当は、テレビが嫌いというのではない、むしろ案外好きなような気がするのだ(うーむ)。『女たちよ!』の中で先のタイトルの文を書いた伊丹十三によれば、ニューヨークに事務所を構える美食家で太っちょの探偵ネロは、1分間だけつけたら満足そうに、すぐに消したらしい*。この他、武満徹や著者の友人たちテレヴィジョン嫌いの

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I Don't Want To Talk About It

かつて、ロッド・スチュワートが歌って、ヒットさせた。邦題は、『もう話したくない』。

元は、なんとニール・ヤングのバック・バンド、クレイジー・ホースのメンバーが作った歌だという。ニール・ヤングもその才能を買っていたというから、期待してその歌詞を眺めてみた。ちょっと残念。女に去られた男がその思いを吐露したような歌、のよう。

そして、その歌詞は少々ストレートすぎるというか、ちょっとばかり女々しいよう

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恥づかしい話し、素朴な疑問

恥づかしい話し、素朴な疑問

たとえば、noteに投稿しようとしていて、ふいに、あることが気になり始めた。

それは、恥づかしながら、胸を張って言えるようなことではないのだ。

何かというと、僕自身の気づき方の不可思議さ。

こう書くと、ちょっと思わせぶりだけれど、こういうことがしばしば、というか毎回のようにある。

僕は、ブログの原稿は、必ず下書きをつくり、推敲した上で投稿する(せいぜいこの程度のものさえも)。ブログに限らず

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超大型台風、隔絶された空間

超大型台風、隔絶された空間

数十年に一度というくらいの最大級の超大型台風の襲来の予報。

学校も、早々と土曜日の休校を決めていた。

当日の土曜の午前中は、どんよりと暑い雲に覆われているものの、雨も風もそんな気配はなかった。

午後になっても、時折強い風が吹くくらいで、特に変わるところはない。

3時を過ぎ、4時を回る頃になると、俄然、風と雨が強くなった。

そして、7時頃には、クリフォード・ブラウンとマックス・ローチの熱

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もう一度、ジャズ− 批評を読む楽しみ

もう一度、ジャズ− 批評を読む楽しみ

ここ何年か、ジャズをまた聴くようになった。周辺でジャズの話の出ることが多いことや、ミースの即興性についての話を時々思い出す等々の影響だろうか。あるいは、しばらく前にそれまで遠ざけていたCDを聴こうとして探したけれど見つからず、LPレコードで聴いてから、案外とジャズのレコードも持っていたことに気づいたせいかもしれない(LPレコードとジャズは、色々な意味で好相性ではあるまいか)。

夏の間は、夕方食事

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服装をめぐる問題

服装をめぐる問題

以前にも取り上げた丸谷才一のエッセイ集をめくっていたら、ちょっと気になることが。

「服装の問題」と題した一文*。

歌舞伎といふ特殊な演劇は〈中略〉まるでファッション・ショウみたいな一面がある。日本人はそれを三百年も見てゐるせいで、ひどく服装にこだはるやうになつた。みんなが住まひのことはいい加減にして、衣服に金をかけるのはこのせいか。学校の先生が、知育をおろそかにして、服装のことに熱心なのもこ

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悲しき願い

順番に言えば、まずマフラーが落下し、次にLPプレイヤーが不調になって、さらには洗濯機がおかしくなったのだ(その前に「あなたが……」、という冷やかしは無し)。

踏んだり蹴ったり。

最後の洗濯機は、ドアを閉めても、洗濯が始まらず「ドアが閉まっていません」というアラートが出るのだ。メーカーのサポート窓口に電話すると、原因も明らかで、比較的安価に修理できそうだったので来てもらうことにした。

来てくれ

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