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金井雄二「動きはじめた小さな窓から」

金井雄二「動きはじめた小さな窓から」

この詩集は1993年6月に発行されたものであるから、今から27年前の作品集ということになる。
金井氏が若い頃の作品だ。
最近の作品より、ずっと尖っている。
そして、何か、作品の深いところに不協和音が流れていることが読み取れる。

その正体が何なのか、少し考えてみた。
そして気がついたのは、女性の描写が不協和音の原因だということだ。

金井氏の若い頃の「憧れの女性」と思われる人物が登場する。その描写

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金井雄二「ゆっくりとわたし」

金井雄二氏は図書館に勤務しながら詩を書き続け、丸山薫賞等を受賞された方だ。
仕事でも生活でも苦労されたことが多いことが、作品からはうかがえるが、それでも詩を書くことをやめなかった。

いわゆる大言壮語するような詩は書かない。難解な、哲学的な詩でもない。

ただ、自分の体験した過去を、考え抜かれた言葉で書き綴っている。

「ゆっくりとわたし」は、金井氏の大分若いころ、少年時代を題材としている。苦しか

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雨と歯車

雨と歯車

夜。

冷え切った空気。

雨が降っている。

傘を持つ手に雨粒が当たって痛い。

早く帰って。

早く帰って暖かい甘酒か、お茶を飲もう。

雨粒の一つが、風船みたいに膨張した。

雨粒の凸レンズ。

無数の微生物がいる。ゾウリムシ、ワムシ、ツリガネムシ、アメーバ。

みんな、必死で動いている。

雨粒は、中にいるものの意思とは無関係に、地上へと落下する。

ちょうど地球が、人間の意思とは無関係に

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