見出し画像

37年もこの仕事をしているといろんな患者さんを診てきました。
私の肌感触としては、腰痛が一番多かったような気がします。
私がこの世界を目指したのも、自分の腰痛が治って未来が劇的に変わったこということもあるのかもしれませんが。

難病の方も大勢診てきました。
意外とウツの患者さんも多かったと思います。
ちなみに、ウツと診断されている患者さんの中には「違うんじゃないかな?」と思うような人も多かった気がします。
診断権は医者にしかないので、診断権を持っていない私としては出しゃばったことは言えませんが。

今話したことはあくまで「病名」とか「主訴」という話です。
ところがその原因、つまりなぜその病気になったのか、そもそも何が悪かったのかということになると、圧倒的に多いのが疲れの溜め過ぎです。
原因は一つとは限らないのですが、その原因の一つとして疲労が大きな要素になっている場合が圧倒的に多いという印象があります。
しかもそういう人の中には「疲労が溜まっている」ということ自体に気が付いていない人がとても多いと感じます。
極端な場合には単なる疲労の溜め過ぎで死ぬ可能性まで出てきます。
そんな患者さんの一例を紹介します。

飲食店で働いている女性。
調子が悪くなると来院し2~3回来院して少し良くなるとしばらく来なくなる。

そんなことをずっと繰り返していたが、疲労の溜め方が尋常ではなくなってきた。このままでは大変なことになりかねないということを話してはいた。それでもあまり意に介さない様子で、やはりひどくなった時だけ2~3回治療に来るのを繰り返していた。

しばらく来なかったのでどうしたのかなぁと思っていると久しぶりに来院。
見ると激やせしていた。「どうしたの?」というと「食べるとそのまま下すようになってしまった」と言う。
早速治療してみるが改善する様子がない。いつもとは明らかに違う。
どうやら消化する力もなくなるくらいに体力が落ちている様子。

病気でもケガでも治すのはあくまで本人の体の治癒力。死んでいる人の体にどんな施術をしたところでそもそも本人の治癒力がなければ治りようがない。
私がやっているのは本人の治癒力をいかに引き出すかということ。この患者さんもその治癒力が低下しすぎているので、私には治せない。

なので「病院に行って今の状況を説明して点滴で栄養を取るようにしなさい。とにかく休んで体力を回復するしかない」と説明した。
今回は素直に聞いてくれて病院に行ってくれた。

すぐにまた来院し、診てもらったがどこも悪くないと言われた。
食べ物を受け付けないので激やせしたと言って説明したが、「それでは胃薬を出しますか?」と言われた。
「胃薬で栄養が取れますか?」と言い返したが、まともな返事が返ってこないので頭にきてそのまま帰ってきた。「先生助けてください」と言う。

私も考えられる治療はやってみたがやはり効果が感じられない。そこで「だれか医者のツテはないの?」と聞いてみた。すると「ある」と言うので、その医者に頼んで入院させてもらいなさいということで事なきを得た。
しばらく入院して食べられるようになり、その後しばらく実家で静養し体力を戻したようだが、本当に疲れすぎて体力がなくなりすぎるとこんなことも起きてしまうという一例である。

疲労というのは病気ではないので侮っている人が多いが、こんなことだって起こりうるのである。

それにしても食べても下してしまい、栄養を摂れない状態であるのにもかかわらず入院もさせてもらえないというのはいかがなものだろうか。たしかに検査結果としては病気の状態を示すような数値は出ないのかもしれないが、このまま放っておけば死んでしまうのは火を見るより明らかではないだろうか。そんなことがわからないというのは私には理解ができない。
だいたい山で遭難し1週間ぶりに救助されたというような場合には同じような状態で入院するのが普通ではないだろうか。ケガでもしていない限りは検査結果では正常なのでは。検査結果では正常であっても衰弱していれば普通は入院するように思うのだが・・・
まぁ私の権限を越えているので言っても仕方がない。
私は私のできることで目の前の人に貢献するしかない。

少々愚痴も言ってしまいましたが、疲労もため過ぎると怖いですよというお話でした。


今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
今読んでくれているあなたが、今日も笑顔あふれる一日をお過ごしできるよう祈っております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?