秋桜
こどもの頃からの出来事を綴ったもの (不定期更新)
スーパーの横では 焼き立てパンの匂い おそば屋さんの横では ふんだんな鰹節の香り 一瞬 クチナシの甘やかな誘惑 どこに咲いていたのだろう 振り返る余裕はなく すり鉢…
今では考えられないが かつては 小学校の門前に 下校時刻にちょうど合わせて ひよこ売りのおじさんが来ていた 名札の裏に大事にしまっていた 公衆電話用の小銭でも 買え…
ふいに 聞こえた 鳴き声は キョッキョ キョキョキョキョ もう一度と 耳を澄ませる テッペンカケタカ トッキョ キョカキョク そう聞こえなくもない ウグイスもまだ近…
1年前 半地下の窓ごしに 川沿いを通り行く人の姿を ぼんやり追っていた きらきらした靴 不思議な問いかけ 捉えどころのない 自分の姿 なぜかふと思い出す 置き物の狸
四阿を後にして 池の方から 聞こえてきたのは 久しぶりの重低音 おたまじゃくしが すくすく育って ソロコンサート 聴き手は 通りがかりの 私だけ 拍手を忘れて ごめんな…
お試しのジュース屋さん 届いたばかりのブレンダー あっと言う間のスムージー 瞬く間に売り切れ また作ろうと アイディア募集 今しかできない季節もの 意外な仕上がり 笑…
時折 わからなくなる 私はたしかに ここにいて 頭で考え 動いている 私は私 ただそれだけ トランプの手札のように 取り換えはできない あるところまでは地の姿 途…
あまりに驚き 後ずさり なぜ ここでブランコを? 大きな蜂がただ1匹 雨戸の紐にちょんと乗り 夜風に吹かれてご満悦 写真を拡大してみると いたずら顔に見えてしまう …
用事は3つ まとめてしまおう ついでの1つ これが曲者 ただ座って前を観る それだけの筈が 強烈な展開に圧倒され 終わってから 誰一人 言葉を発しなかった 持てる者 …
初夏の山あいを 縫うように 列車はゴトゴトと進む 終点で待ち合わせのはずが 乗り継ぎ前に合流 ロングシートの向かいに 懐かしい顔 十年ひと昔 初対面の子は照れて 帽子…
水温む 田んぼの横で 麦の穂が 風に揺れている 行き来する度 発見がある 奥に連なる山々 教会の十字架 背の高いお地蔵さま 次は梅雨時 紫陽花の葉の上の カタツムリ…
ある時 米びつ代わりの タッパーの蓋が欠けていた よく見れば歯型 まさかと絶句 プラスチックなど 美味しくなかろうに 聞けば 前の借り手は 贔屓にしていて 時に 高級…
爽やかな風を受けて 走り出した朝 犬を見かけて減速 花時計を目がけて加速 あっという間にゴール なのに 帰りはすっかり牛歩 同伴者の企てで うぐいすきなこのお団子を …
図太くは無く か細くもなく ただ鈍感なだけ トランプの10倍以上 めくっては確かめ 元に戻しての繰り返し 時折は手を休め 新緑を眺め 日の陰りを感じつつ 淡々と続ける …
日曜午前のレッスン前 せめて反復練習すべきところ 鍵盤に向かうのはごくわずか お稽古後のお菓子の準備に むしろ時間を割いていた いかにお菓子の妖精の曲でも 力を注ぐ…
電車はちょうど出たばかり 次は小一時間も先 昨日と同じに違いないのに 自販機の並びを眺め 横切る雀を目で追ううちに 反対側が先に到着 また静かになる 読みかけの本を…
2024年5月21日 20:29
スーパーの横では焼き立てパンの匂いおそば屋さんの横ではふんだんな鰹節の香り一瞬 クチナシの甘やかな誘惑どこに咲いていたのだろう振り返る余裕はなくすり鉢のような坂を立ち漕ぎ雨が目にしみる日もあれば信号待ちで 膝頭が火傷しそうなほど陽が集まる時もある真夏が気掛かりな木陰のない舗道切り開く前は木が生い茂る斜面だったはず開店前のお店とがらんどうの建物の脇とを
2024年5月20日 22:28
今では考えられないがかつては 小学校の門前に下校時刻にちょうど合わせてひよこ売りのおじさんが来ていた名札の裏に大事にしまっていた公衆電話用の小銭でも買えそうな値段だったふわふわした あどけない姿に心奪われ 大抵の子は足を止めるご近所のお姉さんも その1人こっちがオスでそっちがメスと説明を聞き 意を決して1羽を選び飼いはじめてから 逆だと判明やがて コケコッコーと
2024年5月19日 05:41
ふいに 聞こえた 鳴き声はキョッキョ キョキョキョキョもう一度と 耳を澄ませるテッペンカケタカトッキョ キョカキョクそう聞こえなくもないウグイスもまだ近くさわやかな風青葉の森
2024年5月17日 20:36
1年前 半地下の窓ごしに川沿いを通り行く人の姿をぼんやり追っていたきらきらした靴不思議な問いかけ捉えどころのない自分の姿なぜかふと思い出す置き物の狸
2024年5月17日 20:21
四阿を後にして池の方から聞こえてきたのは久しぶりの重低音おたまじゃくしがすくすく育ってソロコンサート聴き手は通りがかりの私だけ拍手を忘れてごめんなさい
2024年5月15日 20:24
お試しのジュース屋さん届いたばかりのブレンダーあっと言う間のスムージー瞬く間に売り切れまた作ろうとアイディア募集今しかできない季節もの意外な仕上がり笑顔のひととき
2024年5月15日 06:53
時折 わからなくなる私はたしかに ここにいて頭で考え 動いている私は私 ただそれだけトランプの手札のように取り換えはできないあるところまでは地の姿 途中からは貝のよう記憶の抽斗はミキサー車のごとくゆっくりと昔のことが手前に最近の出来事は奥へぐるぐると回転暗闇から抜け出しまばゆい光の中へそれでも不自由と感じならば自ら課した枷のせい
2024年5月13日 22:29
あまりに驚き 後ずさりなぜ ここでブランコを?大きな蜂がただ1匹雨戸の紐にちょんと乗り夜風に吹かれてご満悦写真を拡大してみるといたずら顔に見えてしまうどんなに隠れたつもりでもぐるっと一周 隙だらけいつまで 滞在する気だろう蛍の光を聞かせたい
2024年5月12日 23:00
用事は3つまとめてしまおうついでの1つこれが曲者ただ座って前を観るそれだけの筈が強烈な展開に圧倒され終わってから 誰一人 言葉を発しなかった持てる者 持たざる者極限状態に追い詰められ顕になるのは人間の 愚かしさ観る側も 自分の内面を裏返され蓋をしていた醜い心を直視せざるを得ない容赦なく揺さぶられる感覚他の記憶と足して分れば大丈夫とは到底言い切れなかった
2024年5月11日 09:13
初夏の山あいを 縫うように列車はゴトゴトと進む終点で待ち合わせのはずが乗り継ぎ前に合流ロングシートの向かいに懐かしい顔十年ひと昔初対面の子は照れて帽子を深くかぶる大河の一滴は落ち葉の積もる深い森から岩間を流れる川のしぶき山鳥の声姿なき ご先祖さまへの感謝の思い
2024年5月10日 12:33
水温む 田んぼの横で麦の穂が 風に揺れている行き来する度 発見がある奥に連なる山々教会の十字架背の高いお地蔵さま次は梅雨時紫陽花の葉の上のカタツムリにも出会えるだろうか
2024年5月9日 21:48
ある時 米びつ代わりのタッパーの蓋が欠けていたよく見れば歯型まさかと絶句プラスチックなど美味しくなかろうに聞けば 前の借り手は贔屓にしていて 時に高級アイスをふるまってすっかりなついていたらしい挙げ句は天井裏の運動会大家さんに相談してみたら何やら取り出し大丈夫だ これで人さ いねえところへ逃げてゆくべとしんみり言うのだ見たこともない鮮やかな色の特効薬た
2024年5月8日 20:15
爽やかな風を受けて走り出した朝犬を見かけて減速花時計を目がけて加速あっという間にゴールなのに 帰りはすっかり牛歩同伴者の企てでうぐいすきなこのお団子を平らに運んで お土産に趣旨に賛同は得たもののすぐに息切れ ついつい歩き昼前のアスファルトでは影絵のオオカミで遊ぶうち風のように 追い抜かれ相当地道に続けないとどうやら勝ち目はなさそうで密かに練習したくなる
2024年5月7日 22:14
図太くは無くか細くもなくただ鈍感なだけトランプの10倍以上めくっては確かめ元に戻しての繰り返し時折は手を休め新緑を眺め日の陰りを感じつつ淡々と続ける家路に着く頃空は むらさき続きは明日気付かずにいた不思議な景色
2024年5月6日 08:49
日曜午前のレッスン前せめて反復練習すべきところ鍵盤に向かうのはごくわずかお稽古後のお菓子の準備にむしろ時間を割いていたいかにお菓子の妖精の曲でも力を注ぐポイントは そこでは無かろうに弾き込んでくる一番手とあまりに暢気な二番手と目指すところが異なる生徒後年 楽譜に残る 書き込みに匙を投げずに教えてくれた師匠のありがたさを実感一月遅れのお祝いのケーキの焼ける匂い
2024年5月5日 21:04
電車はちょうど出たばかり次は小一時間も先昨日と同じに違いないのに自販機の並びを眺め横切る雀を目で追ううちに反対側が先に到着また静かになる読みかけの本をおもむろに開く栞は後半 往復すれば読み切れるだろう先達にも 駆け出しの時期があり その後 想像し難い出来事に 何度も見舞われながら人や自然との関わりの中で生きていたことに気付かされ誰しも順風満帆な時ばかりではないと