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子どもにも、周囲への理解を促し柔軟性を身につけさせる(5)

長男に、柔軟性を持たせたい理由の3つ目として、「フリをしてでも身を守って欲しいため」というのを挙げた。

もし、長男が意義を見い出せないだけで、やりようによっては納得してできることはそうさせたいと思う。

けれど、どうしても納得がいかないことだってあるだろう。そういう時は、堂々と「フリだけ」して、相手に攻撃の武器を与えなければ良いと考えている。

自分を守り自尊心を保つ術として、フリをすることの意義を感じ、楽しんでもらいたいと思っている。

③「納得」が無理な状況なら「フリ」をしてでもゲームに勝たせる

例えば、普段から長男なら自分と目が合っても挨拶もせずに通り過ぎて行くだろうと思っていた先生がいるとする。それで案の定、長男が挨拶しなかったとしたら、相手はほら見たことかと思うわけだ。相手の望んだ通りの結果を渡してしまうことになる。

そんな相手に、満面の笑みで深々とお辞儀をして挨拶したらどうだろう?相手は驚いて慌てるかもしれない。その姿を見たくないか?

それで長男に言った。これはゲームだ。心をねじ曲げて相手に従うのとは違う。〇〇ー見ろと思えば良いのだ。俺のことを注意できないだろうと。

以前、休憩時間に校帽を被らずに校庭で遊んでいたというだけで管理職から電話が来たことがあった。えらく些細なことで電話が来たように思って問題の核心は何なんだろうと思っていたら、要するに、とにかく長男が注意されたのに言われた通りにやろうとしなかったことで先生の腹の虫が治まらなかったようなのだ。丁寧に、すみません、長男には話しておきますと言ったら少し落ちついたようだった。

帰宅した長男になんで被らなかったのと訊いたら、「今日は曇りだった。だから帽子はいらなかった」と言った。もう唸るしかなかった。

もしかしたら怪我防止もあったかもしれない。いずれにせよ、管理職は説明なしに、ただ「被りなさい」と叱ったようなのだ。長男はよくこの先生について、保護者にはへこへこするけど子どもの前では偉そうにして、気に入らない生徒は怒鳴りつけて叱る嫌な先生だと言っていた。それでついに自分のところにも来たと思った時にはうるさいなぁと思ったのだろう。

それでも長男の対処方法では、相手に武器を与えてしまう。それに相手はあの時もこうでした、この時もこうでしたと着実に事例を集めて、自分の中で攻撃を正当化してくるだろう。

だから、小学校にいる間だけでも、〇〇ー見ろ作戦をやってはどうか?と提案した。もちろん、この作戦を発動しなくて済むのがベストだ。でもどうしてもという場面では有りだと思っている。相手は攻撃アイテムが手に入らず肩透かしを食らう。長男はステージクリアだ。

長男には、大人になっても、似たようなケースで、部下は上司に使われているように見せて、実はうまく上司を使うという手腕も必要なのだよと話した。別にこういう時、〇〇ー見ろと思っていないけど、真っ向から行くよりは、それとなく太陽のアプローチを使う方が有効な場合も多い。

いつか本当に腹を割って話せる相手が見つかった時は、こんな演技は不要になるだろう。

味方にとって助かり、回り回って自分の守りになる

長男の味方でいてくれる人のためにも、長男がうまくフリをしてくれれば、敵から指導法を変えろと言われることも防げて、より学校が過ごしやすくなると思っている。

さらに、そうこうするうちに敵についても、長男に対する見方が変わる可能性もある。

こういったことを頭に入れておくように伝えた。

学校はトレーニングの場

長男にとって、勉強するためだけなら小学校に行く必要はない。学校はプラスもある一方で、マイナスも大きい。

ただ、親が仕事を辞めて移住したり、家庭で全てを担う事がベストかと言うと、我が家の場合は弟や妹はどうするのかという問題もあるし、親も今より長男を叱ってしまいそうでリスクもある。

今は、担任の先生とカウンセラーの先生がいることで、親としては消去法ではあっても、ある程度安心して長男を学校に通わせられている。長男の凸凹が少なからず理解されている今、長男自身、突っ張らずに柔軟な対応もしやすいはずだ。

長男には、勉強するだけが勉強ではないと伝えて、様々な意見や人の気持ちに触れたり、攻撃アイテムを敵に渡してしまわないトレーニングをするために行っていると思えばいいよと伝えている。

小学校のうちに色々経験して失敗したら良いと思っている。それで5回に1回でも〇〇ー見ろ作戦をうまく使えたり、他にも試行錯誤して自分なりの生き抜く力を身につけてもらえたらと思う。もう小学校で失うものはこれ以上ないのだから。