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さいきん

最近は本を読んでる。芥川龍之介の全集を読んだ。その中でも「河童」が凄く印象的で記憶に残る話だった。人間社会に類似した河童の世界では人間の世界で常識とされていることが河童の世界ではタブーだったり、逆に河童の世界で常識なのが人間社会ではタブーだったりする。

一つは河童は妊娠すると子供に生まれてきたいか、生まれてきたかないかを問う。それに対して、子供は「わたしは生まれたいです。」「生まれたくないです。」と伝える。そして生まれたくない場合はそのまま腹の中で存在が消える。これは人間社会では子供は選択肢がないということの比喩だ。また、他の話だと河童の社会での資本家と話す河童の世界に迷い込んだ男は衝撃的な事実を知らされる。資本家の会社で働く河童達は信じられない低賃金で働かせられている。だが、それに対して、ストライキなどが起こらないのは何故かと問うと「食うからだ」と言う。「食うとはどういう意味か」と問うと「ここに並べられている食事は全て労働階級の河童達の肉だよ」と答える。その場に並べられていた食事は全て労働階級の河童達なのだ。吐き気を催しながら男が道徳的ではないというようなことを伝えると資本家の河童は「何を言うのです、人間社会でも同じことがあるではないですか。娼婦制度があるのに、私たちのことを蔑むように言うのはどうかね」と言う。これもまた人間社会での階級についての皮肉についてだ。

昔から文豪達の本は読んでおけと言われたり、国語の教科書に載っている話を理解しろや作者の意図を考えろなんて言われてきて、学生の間に読んだときはわからなかったことが今になってその面白さに気づいたりしている。

昔はわからなかった文章の意味を深く理解できるようになったことを感じると少しは大人になれたように思う。昔の人たちの考えを知ることも文豪達の話を読むと分かったりもする。作者の自殺してしまった理由やどういった生活をしてきたのかがわかるのは本からだ。そう思うと本は偉大だ。彼らから時代や文化を伝えてくれる手紙のように思う。

外も段々と涼しくなり本を読むにもいい季節がやってくる。運動もしながら本もたくさん読もうと思う。これから大好きな季節がやってくる。

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