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(連載117)夢が実現した〜その後?:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2021年

前回は、やっと念願のアートディーラーが見つかったというお話でした。


皆様の祝辞! 有難うございました〜。笑
本当によかった〜と、思います。

しかし、、、、ですよ? 

おめでとう、おめでとう!で、これって、ハッピーエンドなのだろうか?


私もかなり人生のベテランですからね。
いろいろな事に懐疑的になっているわけです。苦笑

いや、まてよ!と。

本当に大丈夫かな?と。


今回は、そんな夢が叶った?そして?、、、について、つぶやいてみようと思いました。

自分の長い人生で、今までも「あ〜、夢が叶った!」と思った事が何回かありました。

たとえばコレ、ずっと、ずっと、昔、、、、

ユーミン!!

ここで、爆笑してくださった方、有難うございます!

まさか、この、アタクシが! 20世紀現代音楽本で、シェーンベルクやストラビンスキーの事を書いていた私が、ユーミンを語るか?とお思いになるでしょうが、私も例外ではなく、当時はファンだったのです。

1970年代、福岡県北九州市。調性の狂っている事で有名だったの門司港。(ガラが悪かったともいう)そんな港町の実家の自分の部屋で、ユーミンの、あのオサレな東京の生活にあこがれたものです。

窓から見下ろすと、彼氏が通りを渡ってくるのが見える部屋、、、しかもその彼の乗ってる車は外車!(たぶん)

「12月の雨」の状況設定


あ〜、いつか、こんな部屋に住んでみたいもんだと。
実家のすりきれた畳の上に置かれた、固い2段ベッドの布団に横たわり、
襖の横の窓にはりつけた苺のシールと、キャロル(永ちゃん)のポスターを眺めながら、そう思っていた、、、。

ところが、何年かして、ふと気がついたら、夢が実現していたのだ!
その時、私は、東京タワーの見えるマンションに住んで、窓の外を見ると、そこには、外車に乗った男が、私の部屋に来るのが見えるのだった。

これって? 夢が叶った?
ある日、昔、憧れたその状況が、、、、努力した記憶などまったくないのに、実現していたのに驚いた。

「夢が叶っんだ!」でも、だから嬉しいとは思わなかった。
「へえ〜、そう言えば、思った様になってる、面白いなあ〜」くらいの感覚であった。もちろん、もうその時、ユーミンは聞いてませんでしたよ。苦笑

それから、かなりしばらくの年月が経過!
こんな事もありました。

作品を作りはじめてからですが、自分の夢は「いつか個展のオープニングで、同時にファッションショーをやる事」と決めていたら、
それは2006年に、実現できました。

以下、その時の事を、このNOTE に、めちゃくちゃ詳しく書いたのですが、今読んでみたら、クソ長い。

もう前からやりたかった事がやっと実現できたので、もう全部に盛り盛りで、スゴい事になっています!!!汗

いつか、こんなことがやりたい!!
そしてその瞬間が訪れた!と。

まさに、夢が叶った出来事であったと想像できます。
(自分のことながら。笑)

怖いもの見たさの方はこれを是非。

話、戻します。
この時ですが「やった〜〜ついに夢が叶った〜!」とは思ったものの、

実は「夢の実現方法」系の本によく書いてある「その時の臨場感をひとつひとつ、頭に浮かべたらいい」というのを、イメージトレーニングをしていたのです。ひたすらファッションショーをやった時の空気感や観客の顔などを頭に浮かべて。

そのせいで、逆に、実際にそれが実現しても、別に嬉しくなかった。
ただ、当たり前のことが当たり前になっただけ、という感覚。

夢を実現させるって、なんだかタスクの積み重ねの事なのかもしれないなあ〜と思い、もちろん達成感はあったが、「嬉しい」という感覚ではなかった。

嬉しさの度合いからいうと、たとえば、ニューヨークのFITのことやロンドンのビクトリア・アルバートの事!!の方が数百倍、嬉しかったです。


このような、ある日突然、自分の努力などとは関係ないところで、ラッキーなことが天から降ってくる現象の方が、自分には、飛び上がるほど嬉しいのだった。


そして、今回の念願のアートディーラーが見つかった話ですが、
これは、今までの。。。。。

ユーミンの東京オサレ生活モデル

気がつかない間に実現していたケース

個展のオープニングでファッションショーをやるモデル

イメージトレーニングの積み重ねで実現したケース

棚ぼたのロンドン王立博物館永久保存モデル

考えた事もなかったのに、いきなり実現したケース


このどれにもない当てはまらないケースなのです。

「アートディーラーが欲しい」と思い、アンテナも張っていたし、人に会ったりもした。しかし、どれもこれも、うまくいかなくて、あきらめた途端、そういう人が現れた。。。

この、新しく名乗り出たディーラーのデビッド・トータ君が「ルンナの事は、長い目でみるから」と言ってくれた時は、本当に嬉しくて、泣きそうになったのですが、

冷静になって、考えれみればみるほど、この人、そんなに即決して、大丈夫かな?という気になってきた。
自分はいいけど、デビッドの事が心配になってきて、
うまくいかなかったら申し訳ないなあ〜と思うと、そんなに、嬉しくもなく、逆に不安になったのだ。

なぜなら、

自分は確実に、ズレている。

からです。

彼のギャラリーで扱っているアーティストは、ほとんどが抽象画でした。

私のは、具象。しかも写実ですからね。
今、おそらく一番イケてないでしょう。

制作中のブルックスブラザーズとグッチのシャツの「汚れの首輪」


見たまんまを写真のように描いているというアーティストは、最近はあまりいません。
「だったら写真でいいでしょ?」となりますからね。
(もう百年前からです。汗)

「いや、逆に、いないからいいんじゃない?」と慰めてくださる輩もいると思いますが、マジ、いないから、いいってもんでもない。わけなんです。汗

美術業界(あくまで業界=ビジネスの話)にもトレンドがあるのです。

私の見たところ、今の流れは、抽象画が多い様に思えます。
そして、アーティストの注目株は、ブラックの人たち、女性、LDBGQです。
テーマはそういうアイデンティティを全面にだしたもの。
また、地球レベル系。環境系。などなど。(以上。あくまで私から見た主観ですので)

なので、自分は、あてはまっているのは、女性って、だけです。涙

そういう状況なので、このズレまくっている自分をサポートしてくれる人というのが未だに信じられません。

でも、言い出したのは、私じゃないし。
あくまで、彼がやりたいっていうので、こうなったわけなので、
私が心配する事でもないような気もする、、、。

そんな人のことを心配するくらいなら、自分のことを心配しろ!

と、この状況を受け入れるのに時間がかかった。

思えば、夢が叶うというと、聞こえはいいが、
これがゴールではないのであった。

そもそも自分の人生に、今まで、ゴールなんというものもなかったのだ。
何も考えないで、その場、その場で、燃え尽きてきた。

いつも

いけるとこまで、行ってみよう。

と思うだけだった。

もちろん、毎日の小さなその日その日のゴールはあるが、
長期でのゴールがないからこそ、何も考えないで、今に集中して、
40年もやってこれたのかもしれない。

しかし。
実はそれこそが、世間様からズレる原因なのだと、今、気がついた。

人々は長期展望というものを持っていて、それにしたがって、人生のプランを作っているのだが、それが、、、自分はないのだ。

しかし、今、それに気がついたって、もう、今更、変えられない。
もう60代半ばだし、、、 苦笑

そもそも、である。

今まで、自分は、そのズレを楽しんできたのでは?なかったのか?
そうだ!!思い出したぞ!

私はズレてなんぼ!なのであった。


人のやらない事をやってみる。何をやっても、ちょっと外す。
という事を意識的にやってきてたのだ。

だから当然、結果がズレるのは当たり前。

このズレのために、置いてきぼりをくったり、他人様から見たら中途半端で、何をやってるかわからないであろう(自分でも。笑)
しかし。

私はいつも、かなり本気!

「汚れの首輪のシリーズ」だって、本気じゃないと30年もやれないとも思う。笑


この「夢が叶った状態」が、ズレてるせいで幻想だったとしても、だ。
結果の出方もズレているから、普通の人とは、違うのだ。

どんどんズレるだけズレてみればいいのだ。
その先は知らん!


第一、本当に夢が叶ったか?
なんて、どうでもいい事なのだ。

そう、
居直ったら、腹がすわった。

〜もう見るのは、今だけ、目の前だけにしよう!

そうやってずっと、ずっと、自分自身を駆動させるのだ!


そう決心して、ふと見ると、、、、、


私の前に二人の男が立っていた。

そして、「こっち、こっち〜」と、手招きしていた。

それは。。。

マルセル・デュシャン

。。。。ギュスターヴ・クールベであった。


つづく。

L*

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