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『成功率を高める新規事業のつくり方 顧客・機能・技術の3軸で新しいビジネスアイデアを創出する方法』第1章・無料全文公開

12月21日発売の書籍『成功率を高める新規事業のつくり方 顧客・機能・技術の3軸で新しいビジネスアイデアを創出する方法』から、第1章「新規事業開発はなぜ必要か」を全文公開!

「企業の寿命は30年」といわれるワケ

「企業の寿命は30年」ということばを耳にしたことはないでしょうか。
これは1983年に『日経ビジネス』(日経BP)が特集記事「企業は永遠か」のなかで、初めて示したものです。その詳しい内容は、1984年に『会社の寿命 盛者必衰の理』(日本経済新聞出版)として出版されました。

実際には次のような分析から、「企業の寿命は30年」といった結論に至ったようです。
日本の上位企業100社のランキングを、過去100年間にわたって作成しました。その結果、企業がトップ100社のランキングに入り続けられた期間は、平均すると30年に満たないことがわかったのです。ランキングの上位100社に入るようなトップ企業であっても、その地位を保てる期間は30年以下にすぎない、ということで大きな話題になりました。

1950年と1982年の上位10社を示したのが表1-1です。
両方に顔を出しているのは、製鉄会社である新日本製鉄(八幡製鉄と富士製鉄が合併)と日本鋼管だけです。製鉄会社以外では、1950年には紡績や鉱山の企業が上位を占めていたのに対し、1982年はこれに代わって自動車・電気製品・機械などの企業が上位を占めています。

別のデータも見てみましょう。株式会社東京商工リサーチによると、2021年に全国で倒産した企業6,030件(負債1,000万円以上)のうち、業歴がわかる5,121件を対象に調べたところ、それらの企業の平均寿命は23.8年だったことがわかりました。

業種別に見ると、製造業36.3年、卸売業28.6年、不動産業24.5年、小売業23.1年、などとなっています(図1-1参照)。これは中小企業を多く含むデータであり、倒産した企業全体の平均値ですが、この場合にもやはり企業の平均的な寿命は30年程度以下であるといえそうです。
「企業の寿命は30年」といったことばは、さまざまな企業の社長のインタビューなどでも時々目にします。企業の社長から見ても、直感的に違和感のないものであるようです。

それではなぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
その理由として、「『事業』の寿命が30年程度だから」ということがいえると思います。多くの事業の場合、1つの事業が永遠に続くことはありません。時代が進めば、社会の価値観や消費者の生活スタイルが変わり、商品・サービスに対するニーズが変化するからです。

また、商品・サービスを提供する企業の側でも、技術の進歩を取り入れたり、新しい工夫を加えたりすることで、これまでのものよりもより高度化された商品・サービスを提供するようになります。
そのため、隆盛を極めた事業であっても時代とともに新しい商品・サービスに取って代わられ、衰退していくことは避けられません。
言い換えると、どのような事業にもライフサイクルがあるということです。市場に登場して間もない時期「導入期」から、次第に顧客に受け入れられ、市場に浸透して売上が急速に拡大する時期「成長期」、高い売上が続く時期「成熟期」、ニーズの変化や競合商品の出現などから次第に売上が減少する時期「衰退期」、といったライフサイクルがあるといえます(図1-2参照)。

このような導入から撤退までの期間は、商品・サービスによってさまざまです。華々しく脚光を浴びたものの、長い期間続かず衰退する事業もあれば、社会のさまざまなところで必要不可欠でありライフサイクルが長い事業も多くあります。
事業の種類は誠にさまざまですが、これらの多種多様な事業をすべてひっくるめると、事業のライフサイクルはおおむね30年程度であり、その事業をおこなっている企業の寿命も30年程度であることを、ここで紹介したデータは示唆しているように思われます。 

新規事業なしでは生き残れない

前節では、「事業にはライフサイクルがあり、どのような事業も必ず衰退するときがくる」と述べました。1つの企業が1つの事業だけをおこなっていると、事業が衰退期を迎えるのと軌を一にして、やがては企業自体も衰退し寿命を迎えることは避けられないでしょう。

企業は現代の経済社会を支える重要なプレーヤーであり、社員のためにも、顧客や社会のためにも、永続して成長していくことが必要です。
事業のライフサイクルと企業の命運を切り離し、企業が永続的に成長していくためには、どうすればいいのか。その答えが「新規事業開発」にあるといえます。これをわかりやすくするためにしたものが次の図1-3です。

もしもX社がA事業だけをおこなうのであれば、A事業のライフサイクルが進むのに伴い、X社自体が衰退してしまいます。
しかし、A事業に続き、B事業、C事業と新規事業開発に成功し、新規事業でも売上を伸ばしたとしましょう。すると、A事業が衰退期を迎え売上が減少しても、新規事業B・Cの売上がカバーします。X社全体としては順調に売上を拡大し、成長していくことが可能になるのです。
図1-3で示したX社の例では、A事業のあとでB事業、そしてC事業が順調に売上を伸ばしています。

このように、新規事業開発によって企業の成長を考えるモデルとして、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の考え方があります。世界有数のコンサルティング企業であるボストン・コンサルティング・グループが開発・提唱し、経営の分野で広く活用されている経営手法です。ご存知の方も多いと思いますが、PPMについて簡単に説明します。

PPMは図1-4のように、マトリクスのなかで事業を位置づけることで、1つの事業のライフサイクル上の位置や、複数の事業の役割などを分析できる方法です。

横軸が「市場シェア」、縦軸が「市場成長率」をあらわす2つの軸上で4つの領域を設け、各々の事業がどの領域に入るかの分析をおこなうものです。4つの領域には、それぞれ次のような名前が付けられています。

問題児(Wild Cat):市場シェアは低いが、市場成長率が高く、今後の成長が期待できる事業。
花形(Star):成長率が高く将来性のある市場のなかで、市場シェアが高く、企業の柱となる可能性の高い事業。
金のなる木(Cash Cow):市場成長率は低くなってきたものの、市場シェアが高く、市場のリーダーとなっている事業。これまで長く事業をおこなってきたことからコストが低くなっており、企業に多くの収益をもたらす事業。
負け犬(Dog):市場成長率がさらに低くなり、事業の撤退を検討すべき事業。

PPMでよく使われるチャートを使い、新規事業が辿る道筋を描いてみます。図1-4のマトリクスのなかに、1つの新規事業の推移を示したのが図1-5です。なお、図中の円の大きさは、売上規模の大きさをあらわしています。

新規事業をはじめるまでは市場シェアがまだない段階ですので、図の右側からのスタートになります。その位置を「Ⅰ」として示しました。
この位置は事業のライフサイクルの導入期にあたります。売上はまだ小さいので、円の大きさは小さくして示しました。

新規事業が軌道に乗ってくると、徐々に市場シェアが拡大していくことでしょう。図のポジションでいうと、左側に移動していきます。
また、市場成長率も高くなっていくことでしょう。しかしまだ導入期から間もない段階のため、市場シェアはそれほど大きくなっていません。この段階では、図の右上「問題児」と名付けられた象限に位置づけられます。図では「Ⅱ」として示しました。
事業のライフサイクルでいうと、導入期から成長期の入口に差しかったあたりに相当します。事業としては売上の規模が小さく、不安定な状態です。ここから事業が成長する軌道に乗れるか、それとも縮小していって撤退するか(図では点線で示しました)、将来に不安もある段階であるといえます。

さらに事業が拡大すると、市場シェアが大きくなり、市場成長率もますます高くなることでしょう。この段階では、図の左上「花形」と名付けられた象限に位置づけられます。図中では「Ⅲ」として示しました。
事業のライフサイクルでいうと、成長期から成熟期に入ったあたりです。事業がこの段階に入ると、自社が業界のなかで主要なプレーヤーとなり、マーケットリーダー的なポジションになります。
市場が魅力的なため、競合他社の新規参入もあるでしょう。競合企業への対応や、競争力を維持するための投資も必要な反面、事業活動に活気があり利益も生み出せる事業となります。

花形ビジネスの位置に、なるべく長くとどまっていたいのは誰しも同じですが、どのような事業も永遠に続けられるわけではありません。やがて起こる事業環境の変化のなかで、事業に対するニーズが低下し、市場成長率が下がっていきます。図では「Ⅳ」と示した段階であり、事業のライフサイクルの成熟期から衰退期にあたります。
この段階になると、市場の魅力度が下がり、競合企業が少なくなっていくことでしょう。市場の成長率は下がり、場合によっては市場規模が小さくなるかもしれません。

しかし、自社はマーケットリーダーの地位を確立していることから、他社に比べてコスト競争力がもともと高いうえに、新規の投資も必要ありません。そのため、この段階で最も多くの利益を生み出せることになります。これが「金のなる木」と名付けられている理由です。

やがては事業がますます衰退し、図の右下「負け犬」の象限に移行し、最後に事業から撤退することになります。
これが導入期から衰退期までの、事業の辿る一生といえます。

図1-5では、1つの事業に着目して、時間の経過とともに辿る推移を見てきました。1つの事業は、ある1時点では図で示す推移のなかでどこか1か所にあるはずです。
企業が複数の新規事業を次々と実施していれば、はじめたばかりの新規事業は「Ⅰ」の段階にありますが、先行してはじめている新規事業は「Ⅱ」や「Ⅲ」の段階に進んでいるものもあるでしょう。自社の柱となっている既存事業は、「Ⅲ」や「Ⅳ」の段階にあるはずです。
このような自社のさまざまな既存事業や新規事業をまとめて、1つのPPMのチャートにあらわしたものが次の図1-6です。

この企業はA~Iの9つの事業をおこなっていることを示したものです。図中にある左回りの矢印は、図1-5に示した、事業の辿るライフサイクルの方向を示しています。
AからIのうち、G・H・Iの3事業は成熟期から衰退期にありますので、既存事業と見られます。EやFも、まさに花開いて活気のある事業であり、これからの自社を支える既存事業です。
これに対してA~Dは新たにはじめた事業であり、いずれ花形ビジネスとなって将来に自社を支えることが期待される事業です。これらの新規事業は、まだ十分に利益を生み出しておらず、投資のほうが優っている状態かもしれません。その費用は既存事業が生み出した利益によって賄われます。

このように、既存事業が生み出した利益を活用して次々と新規事業を立ち上げ、事業の成長に投資することによって、既存事業が衰退しても、それに代わって新規事業が成長して次の世代の会社を支えることができるのです。
多くの新規事業を立ち上げ、その多くが成長すれば、企業全体としてはさらに成長し発展できます。ここに企業が新規事業開発をおこなう意義があるといるでしょう。「すべての企業は新規事業開発をおこなう必要がある」ともいえるのではないでしょうか。

有名企業の新規事業開発

 新規事業とはどのようなものか、ここでいくつかの有名企業の例を見ていきましょう。新規事業開発は、企業にとって重要な経営戦略であり、その取り組みは企業秘密です。とくに、「企業としてどのような新規事業をおこなっていくのか」「なぜその新規事業を選んだのか」といった考え方については、なかなか公開されることはありません。そのため、新規事業開発の方向性や戦略については、私があとから見て「こうではないか」と解釈したものになりますことをご了承ください。

実は新規事業の事例は、世の中のいたるところにあります。
本田技研工業は1948年に、浜松市で本田宗一郎氏によって創業され、翌年に二輪車の製造を開始しました。1963年に四輪車に進出し、その後、子会社で小型ビジネスジェット機の開発と製造販売をおこなっています。
二輪車から四輪車へ、さらに小型ビジネスジェットへと展開していった軸にあるものは、「移動の楽しさ」や「快適な移動」を追及していったから、といえるのではないでしょうか。

電機機器の分野は、さまざまな新規事業の集合体ともいえるでしょう。
パナソニックは1918年に、アタッチメントプラグや2灯用差し込みプラグの製造販売からスタートしました。
その後、ランプ・アイロン・電池・ラジオ・テレビと、次々と新規事業に展開していきました。今では家庭向け製品だけでなく、自動車電装品、電池、産業向けデバイスなど、社会のさまざまな分野で事業を展開しています。

※https://news.panasonic.com/jp/stories/12385
パナソニックウェブサイト 2023年12月アクセス


2006年に社名変更した富士フイルムは、もともと富士写真フイルムという社名でした。写真用フィルムから映画用フィルム、X線用フィルムなど、写真感光材メーカーとして事業を拡大し発展していきました。
その後、カメラ・コピー機・印刷用製版材料など、画像関連の機器分野や産業材などの新規事業に展開しました。
デジタルカメラなどの普及から写真用フィルムの需要が減少しましたが、フィルムなどの既存事業で培ってきた技術を生かし、ヘルスケア(医薬品、診断装置など)、マテリアル(電子材料など)、イメージング(デジタルカメラ、監視カメラなど)と、3つの事業領域で幅広く事業展開しています。

かつて写真用フィルム業界のトップ企業で富士フイルムのライバルだったコダックは、世界に先がけてデジタルカメラを開発していましたが、2012年に倒産しました。富士フイルムは写真用フィルムのライフサイクルが終息するなかで、それに代わる次の世代の事業の柱を創出したことで新たな企業として発展しているといえます。

小売業では、かつてはスーパーマーケットといった業態はなく、魚屋・肉屋・八百屋・乾物屋・呉服屋など、専門の小売店に分かれていました。そのなかから全国チェーンの大型スーパーや地方スーパーが登場してきました。
イオンは三重県四日市の呉服店が源流です。イトーヨーカ堂は浅草にあった洋品店から、ヤオコーは埼玉県小川町の八百幸商店という八百屋から発展したものです。
スーパーマーケットは伝統的な小売店から新規事業によって生まれた、といえるのではないでしょうか。

新規事業を次々と立ち上げることによって成長してきた企業に、リクルートがあります。1960年に、大学新聞に企業の採用説明会や求人広告を掲載する事業で創業しました。創業2年目に新卒採用の広告だけを集めた情報誌(現:リクナビ)を創刊し、世の中になかった新規事業を創造しました。
その後2000年までのあいだに、住宅の売買情報誌である『住宅情報(現:SUUMO新築マンション)』を創刊したことを皮切りに、女性のための転職情報誌『とらばーゆ』、中古車売買の専門情報誌『カーセンサー』、旅行関連情報誌『じゃらん』、結婚関連情報誌『ゼクシィ』、グルメなど日常生活を取り上げた情報誌『Hot Pepper』、などを次々と創刊しました。

経営理念に示されている「まだ、ここにない、出会い。」を実現し、発展してきたといえます。

ここまで、よく知られている事例を見てきました。
ホンダ、パナソニック、スーパーマーケットの事例は、社会の変化や新たに生じるニーズに対応して、新製品を次々と開発したり、業態を変えたりして、大きく拡大したケースです。
富士フイルムの事例は、既存事業のライフサイクルが終焉を迎えることと並行して、既存事業で培った技術力を生かして新規事業を創出し、さらなる発展を遂げたケースといえます。
リクルートの事例はこれらと異なり、最初から新規事業開発が宿命づけられている企業のように感じられます。「人と人との出会い」や「人と社会とのつながり」を実現するとの視点から、事業を次々と創出し、発展してきました。顕在化しつつあるニーズに対応するというよりも、まだ誰も気づいていない潜在的なニーズを発見し、0から事業を創出し続けたケースといえるのではないでしょうか。

新規事業開発の意義

ここまで見てきたように、すべての事業にはライフサイクルがあります。どのような事業でも、時間とともに成長が止まり、いずれは衰退していきます。
時間が経てば必ず顧客のニーズや事業環境が変化し、導入期や成長期のときとは異なる環境のなかで事業をおこなわなければならなくなるからです。時間が経てば、競合企業や競合商品も出てきやすくなります。

既存事業が衰退しても、企業が売上を拡大し成長を続けるためには、既存事業に加えて新規事業を立ち上げ、稼げる事業に育てていくことが不可欠です。1つといわず次々と新規事業を立ち上げ、それらの業績を積み重ねていくことで、企業全体としての拡大と成長が可能になるといえます。
実際に、名前の知られている企業が新規事業を立ち上げることによって発展してきたことは、前節で取り上げたようなさまざまな事例からも明確ではないかと思います。

新規事業開発の最大の意義は、「既存事業に続く事業の柱をつくり、企業の成長・発展を持続させる」ことです。
ほかにも企業にとってさまざまな意義があるといえます。大きくは、「組織の活性化」と「経験知の向上」の2つがあるといえます。

まず「組織の活性化」としては、次のような意義が挙げられます。

●企業の売上が増大し組織が拡大することで、社員数が増加しポストも増えることになります。このことから、社員のモチベーションの向上につながります。
●新規事業に積極的に取り組むことで、チャレンジする風土が形成されます。
●新規事業開発の経験を通じて、事業を俯瞰的に見られる人材やリーダー人材など、将来の企業を支える人材が育成されます。

次に「経験知の向上」としては、次のような意義があります。

●新規事業に取り組む経験を組織として積み重ね、その経験を生かすことで、次の新規事業の成功確率が上がっていくことが期待されます。
●既存事業とは異分野の事業に取り組むことで、幅広い経営環境に対する知見や理解が深まり、事業環境の変化や事業機会に対する感度が鋭くなります。
●新規事業への取り組みを通じて、新しい取引先や専門家などとのネットワークが形成されます。

このなかで「人材が育成される」ことについて、私が実際に経験した事例を紹介します。
ある上場企業が「既存事業とは異分野の新規事業を立ち上げたい」と考え、新規事業開発の専門部署を設置しました。メンバーは部署の長と若手社員の2名。この時点では、会社がどの程度この部署が取り組む新規事業開発の成果に期待していたかはわかりません。
ふたりは新規事業テーマの候補を多数抽出し、いくつかに絞り込み、世界中を飛びまわって取引先や顧客を開拓しました。

3年ほどで1つの新規事業が見事に立ち上がり、数種類の商品が売れるようになりました。ここで新規事業の担当者は、それまで自社とは縁のなかった市場や顧客のニーズを知り、それに対応する商品を考えて、必要な仕入れや生産の手配、流通チャネルの構築をおこない、事業全体を経営する経験をしました。

それから10数年たち、彼らは自分たちを新規事業開発の担当に指名した会社の社長を歴任しました。
ふたりは新しく売上に貢献する事業を立ち上げるとともに、会社に新規事業の機会があることを示し、社風を変え、事業の経営を実施した経験を得た結果、最終的に会社全体の指揮をまかされる適任の人材に育った、といえるのではないかと思います。

振り返ればいつの時代もそうだったといえるかもしれませんが、現代もまた事業環境は激しく変化しつつあります。
脱炭素・環境対応・高齢化対応・食糧確保・DX化など、これまでの基本的な事業の価値観を変えるような変化が起こっているように見えます。
「産業のコメ」といわれた鉄鋼産業では、高炉や製造ラインの休止がはじまっています。原油を輸入して石油製品を製造する石油精製所でも、設備の休廃止が進んでいます。盤石と思われていた自動車産業でも、EV化のなかで大きな戦略の転換がはじまっています。

これまでの主要産業が勢いを失っていくなかで、まだその姿はハッキリとは見えていないながらも、さまざまな新規事業の機会が生じているように思われます。
そのような事業環境のなかで、新規事業開発に積極的に取り組み、上記のような企業としての組織の活性化や、経験知の向上を実現することで、新規事業開発の成功確率が向上する、といった正の相乗効果が期待できるのではないでしょうか。

本節ではここまで新規事業開発の意義を示してきました。
他方、新規事業は何しろ新しく取り組む事業ですから、未知の要素も多く、必ずうまくいくとは限りません。
先述したリクルート社では、リクルートグループの全従業員を対象にした「Ring」という新規事業の提案制度があり、ここから『カーセンサー』『ゼクシィ』『ホットペッパー』『スタディサプリ』などが誕生したのです。Ringに集まったアイデアのうち、事業化フェーズに進むのは2%。そのうち黒字化に到達するのは15%ともいわれています。2%×15%=0.3%で、成功確率はまさに千三つです。

では成功確率を高めるためには、どうすればいいのでしょうか。そのための最大のポイントは、「新規事業テーマの選定」にあると思います。
次章以降で、新規事業テーマの選定方法について解説していきましょう。

*   *   *

第1章はここまで!
続きを読みたい方は、各電子ストアにて12月20日より随時発売になります。ぜひお買い求めください。
下記リンクはAmazonストアでの商品ページになります。書籍の詳細と目次もこちらからご覧になれます。
書籍『成功率を高める新規事業のつくり方 顧客・機能・技術の3軸で新しいビジネスアイデアを創出する方法』

■ペーパーバック版(紙)

■Kindle版(電子書籍)

■書籍情報

「顧客起点」「顧客ファースト」を徹底した
革新的な新規事業開発の進め方!

新規事業開発はすべての企業が必ず実施していかなければならない重要な経営課題です。しかし実際に新規事業開発を手掛けてみると、なかなか思うようにいかないことも多いのではないでしょうか?
その方法は、偶然に頼るものであったり、定型的であったりして、こうすればうまくいくというよいやり方がありません。また多くの企業が似たような新規事業をやっていることもよく生じています。

これに対して本書では、担当者が自分たちの将来の会社を自らつくるという視点から、それぞれの個性を発揮し、想いを集約して、事業開発に取り組むことを提案します。エーベルなどの経営学の先達の考えを取り入れ、他社とは異なる個性的な新規事業を行うための方法です。
具体的には、顧客・機能・技術の3点を頂点とした三角形型のチャート(CFTチャート)で新規事業のアイデアを考えます。その三角形は、担当者が議論を重ね、自社ならではの他社とは一味違う新規事業を考えるためのキャンバスとなるでしょう。

大手調査・コンサルティング企業にて、新規事業開発戦略策定や中期経営計画策定に従事してきた著者が新規事業開発を成功させるためのコツを解説。
新規事業開発の担当者、これから新規事業開発に取り組もうとしている方、これまでにない革新的な方法を学びたい方、他社とは一味違う自社独自の事業を開発したい方にオススメの1冊。

自社ならではの「顧客に選ばれる強い新規事業」を、あなたの手でぜひ実現してください!

【目次】

第1章 新規事業開発はなぜ必要か
第2章 一般的な新規事業開発の方法
第3章 CFTによる新規事業アイデアの発想方法
第4章 CFTによる新規事業開発の進め方
第5章 新規事業開発の事例をCFT分析で読み解く
第6章 新規事業開発の成功確率を高めるためのヒント

【購入特典】

「新規事業を生み出すためのワークシート集」PDF

■著者プロフィール

中野正也

株式会社グローバル事業開発研究所 代表取締役
1955年埼玉県生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。
大手調査・コンサルティング企業にて、新規事業開発戦略策定や中期経営計画策定に従事した実績を有する。あわせて、エネルギー・環境、技術評価、海外展開の分野での調査・コンサルを実施。2012年に株式会社グローバル事業開発研究所を設立して独立。中小企業診断士として活動するとともに、現在は株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツ・取締役を兼務し、中小企業の新規事業開発や海外展開支援に従事している。

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