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森山大道の写真集「ニュー新宿」は、「俗」と「クセ」が唯一無二。本質だけでなく、技術も切り取り方も真似できない。

どうもgucchon(@gucchon07)です。


本日のヘッダー画像は、森山大道先生の写真集に感化され、森山大道"風"の写真をつくってみました笑。

おそらくカメラやっている人は誰でも通る道かと笑。


氏の写真は「アレ、ブレ、ボケ」と形容されますが、実際に初めて氏の写真集「ニュー新宿」を拝見し、度肝ぬかれました。。写真から伝わる迫力が、すごすぎる。。

読まれてない方は、ぜひ、写真集を手にとって、自分の目で確かめてみて欲しいです。


ということで、インプットをアウトプットするべく、恐れ多くも「ニュー新宿」の書評をして行きたいと思います。



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印象に残った点は色々あり、少し多めになってしまいました。

・モノクロのハイコントラストな写真なのに、アレてて輪郭が不明瞭で美しい。

・「俗」っぽさ、「クセ」がすごい

・「網タイツを履いた足」、「唇」、「マネキン」、「下着」がさらに俗っぽさを加速させる

・都会ならではのパターン模様

・昼と夜の顔がガラリと変わる

・電車や道端に座り込む姿

・番外編として、いきなりアラーキーが出てくる笑


モノクロのハイコントラストな写真なのに、アレてて輪郭が不明瞭で美しい。

黒と白!って感じのハイコントラストなのですが、よくみてみると、境界線が意外にです。

粒状感あるいはブレのようなものがあるため、臨界線において、単純なコントラストではなく、ドットが少なくなっていくような、非常に独特で美しい表現方法だと感じました。


境界線がくっきりすると、デジタル感が強くなるため、とても参考になります。


自分も似せてみようと試みましたが、テクニックですら、真似るのはかなり難しいです。。

いちおう私の作例二つ。

それっぽいようで、なにか違う。。笑


「俗」っぽさ、「クセ」がすごい

全体を通して、写真にうつる人々や街の様子が、The 俗!って感じが新宿を表していて良いですね。

風俗街や、働く人々のスナップ写真からリアリティーがあふれんばかり。

2000年前後の5年間の記録ということで、少し時代感は感じるものの、本質的には、いまでもきっと変わっていないはずです。


お水系の衣装や、動物保護団体からクレームきそうな重厚な上着(実はフェイクファー?)、上半身が裸の男性、ヤンキーテイストのジャージ、いいですね。

ストリートの具合も、ゴミゴミした汚らしい場所から、風俗街、路地裏、おかまバーなどでてきて、「新宿、やばい」と感じました笑


ちなみに、私はこんな人たちをとる勇気はありません笑。


「網タイツを履いた足」、「唇」、「マネキン」、「下着」がさらに俗っぽさを加速させる

時折、粗めの網タイツ、唇などが出ていて、それがより「夜」の雰囲気を醸し出し、効果的に「俗」っぽさを強調しています。


変な服を着せられたマネキン、傷ついた首だけのマネキンも妙に不気味で、不穏な空気を出しています。


都会ならではのパターン模様

上のとも重なるのですが、街の風景の中のいろいろな「パターン」が強力で、つよいインパクトがあります。

例えば、ビルのbusyな看板、道のブロック、粗めのストッキングの網目、壁一面のチラシ、死んだ魚の群れ、スーパーに並んだキャンベルスープの缶、大量のマネキン、売り物の本・帽子・サングラスなど。

決して幾何学的なパターンではないのですが、無秩序にみえるが、秩序的な感じといいますか。

大量にあることで、一種のパターン模様になっています。

それらが、非常に良い味を出しています。



昼と夜の顔がガラリと変わる

会社員は、「ランチタイム」や「満員電車」の中でうまく描写されています。

一方、夜の仕事系の人は「ストリート」感あふれる感じで。

ただし、そういう「夜感」や「クセ」のある人たちも、会社員の人たちと同じような生活を一部で共有しています。

例えば、すごいギャルがドラッグストアで店頭の品物を物色していたり、ヘンテコな上着を着たおばさまがATMでお金を引き出していたり。

こういった写真を見ると、正反対の人種にみえても、実はうすく繋がっているんだなと感じました。


電車や道端に座り込む姿

座り込み=秩序からのはみ出し者ってイメージがあります。

本作品では、電車内ではヤンキー系のお兄さんだけでなく、塾帰りのような目が虚ろな少年、競馬新聞のようなものを読んでいるおじいさんが写っていました。

外の道端では酔いつぶれた人が座りこんでいます。中には座り込みの先である無防備に寝ている姿も。。


あと、佐川急便の人たちが座っているのと、マネキンが何体も座っているのを左右の写真で対比させた写真は笑ってしまいました笑


番外編として、いきなりアラーキーが出てくる笑

いきなりアラーキー。

突然、あらわれます。仲いいんですかね?

ごめんなさい、それだけです笑。

他の小ネタとしては、アルタのテレビジョンに写っている女優の表情と、看板の文字を隠すことでリンクさせているのかなと推察しました(内容は言えません)。


また、網タイツなどと同様に「配管のホース」も所々にはいってきているのですが、これは考察が難しかったです。。


まとめ

・写真のハイコントラストっぷりと荒らし方が芸術的。

・新宿の「俗っぽさ」と「クセ」がすごい

・「網タイツを履いた足」、「唇」、「マネキン」、「下着」がさらに俗っぽさを強調

・看板やマネキンなど都会ならではのパターン模様のインパクトが強烈

・昼のヒトと夜のヒトが対照的

・電車や道端に座り込む姿が「はみ出てる感」

・いきなりアラーキー


森山大道先生ならではのストリートスナップで、いろいろな意味で真似できないのですが、絵作り、被写体、リアリティの切り取り方という観点から、本写真集はとても参考になりました。


他の写真集もぜひ読んで見ます!



最後までご覧いただき、ありがとうございました!


*本日の写真集 森山大道 「ニュー新宿」


もしサポートいただきましたら遠征や撮影機材に使わさせていただきます:)