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ポジティブトランジションの作り方

現代サッカーにおいてゲームの4局面(ボール保持、ボール非保持、ポジティブトランジション、ネガティブトランジション)をオーガナイズしたゲームプランが求められている。

これまではマンチェスターシティのようなボール保持とネガティブトランジションで相手を上回ったり、ウェストハムのようなコンパクトな守備(ボール非保持)からのカウンターアタック(ポジティブトランジション)でゲームを制することが可能であった。しかし、サッカーは進化し続けている中で、今では4局面全てを総合的に網羅する必要がある。

マンチェスターシティでもカウンタープレスが決まらない時はブロックを組んでコンパクトな守備を行い、ウェストハムも後ろから繋いでビルドアップして前進を試みる。つまり、どこか1つや2つの局面だけで力を発揮するチームでは勝てなくなってきているということだ。

ますますゲームの体系化が進む中で多く語られているのはボール保持やボール非保持の局面。なぜならボール保持やボール非保持の局面はピッチ上が整っており、「何が起きているか」が見やすいからである。一方でトランジションの局面(ポジトラ、ネガトラ)はピッチ上がぐちゃぐちゃしており、いわゆる『カオス』の状態。「何が起きているか」を捉えることが難しく、また何かが起きた時にそれは偶発的なものなのか意図的なものなのか判断が難しい。従って、試合後でもなかなか議題になりづらいという傾向がある。

議論がされないということは改善点や批評といったことが浮かんできづらいので、ボール保持やボール非保持の局面に比べると、進化が遅れている可能性がある。やはり、試合を見ているとトランジションが上手く作れていないチームを見かける。どのようにトランジションを作るのか、どうやってトランジションのところまで設計することができるのかというノウハウがあまり表に出てきていないこともあり、トランジションではまだまだ改善できる余地があると個人的に感じている。

そこで今回はトランジションについてまとめていく。特に、ポジティブトランジションのところについては考え方が浸透していないように見受けられるため、『ポジティブトランジションの作り方』に絞ってまとめていく。

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