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薬と私

安定剤を服用している。
眠れないときだけ頓服で飲む。
処方されるのはいつも14錠で、減り方で自分の調子がわかる。
なくなりかけると診察を予約する。
予約が取りやすいクリニックで本当にラッキーだ。

精神科デビュー

初めて精神科に行ったのは23歳の頃だった。
彼氏に振られたのがきっかけである。
興奮状態で眠れないしじっとしていられないし涙が止まらない。
当時念願だった眠らなくてもいい人になれたのに、なってみると何もかもが上の空である。
自分に疲れ果て、タウンページの精神科のページを見ながら片っ端から電話したが予約が取れない。
何軒目かでようやく診てもらえることになった。
初めて行く街に自転車で行った。
まあまあ遠いので普段なら絶対自転車では行かない。
大興奮状態だったのである。

副作用

「その興奮をなくしてあげる」
6種類の薬を処方してくれた。
薬を飲むと確かに興奮は治まる。
治まるを通り越してぼーっとする。

飲み始めて数日後、下着をつけているときに母乳が出てきた。

なんたることか。
青天の霹靂である。

病院に電話すると6種類のうちの1つにそういう副作用があるという。
ぼーっとしていて話を理解できず、何度説明してもらってもそれがどの薬なのかわからない。
自己判断で薬を飲むのをやめ、薬は半分残して捨て、通院しなかった。

悪名高き多剤大量処方だったかどうかはわからない。

薬が怖い

6種類あるどの薬もとても小さかった。
落としてしまうと見つけられないほどだった。
そんな小さい薬を数日飲んだだけで母乳が出てきたことが怖かった。
薬全体が怖くなった。
生理痛でも薬を飲まない私の誕生である。

薬なしのメンタル回復

親との決別に際してメンタルが大崩壊した。
34歳のときである。
眠れないし、じっとしていられないし、涙が止まらない。
夜中に癇癪を起こして暴れ苦情が来た。
この時こそ精神科に行くべきだったが、薬を飲まないモードだったので行かずに過ごした。
敬愛する元上司に寄り添ってもらい、薬なしで回復した。
回復に要した時間は無職で半年である。

なぜ今は薬を飲んでいるのか

経験から、メンタルは薬がなくても回復できると知っているが、今は薬を飲んでいる。
理由は2つある。

1.体力がなくなった。

薬なしの回復は時間がかかる。
私は興奮状態になるタイプだが、興奮状態はかなり体力を消耗する。
長期間に渡ると体力がもたない。
通院を怠っていた期間に救急車に2度乗っている。
かつては眠れなくても日常生活を送れたが、もう踏ん張る体力がない。 
内面はどうあれ体は年相応である。

2.崩壊具合が酷い。

今回は長期戦である。
もう大丈夫だと思い、今のクリニックに10ヶ月行かなかった間に悪化した。

メンタル崩壊のきっかけはまたもや失恋だったが、失恋の仕方が過去最悪に執拗で病的だった。

一言でいうと【依存】であるが、根っこには白黒思考がある。

「私がこんなに好きなんだから好きになって当然だ。」
という押しつけと
「こんないい人にはもう出会えない。」
という神聖化、
「私を好きにならないなんてあなたはおかしい。」
という敵認定である。

相手の心は相手の自由だという当たり前のことが受け入れられなかった。
その考えの偏りにより恋愛のみならず仕事でも失敗している。

解決済みと思っていたが、全く矯正されていなかったことが浮き彫りとなった。
人格の歪みは無くなっていなかった。
ただ眠っていただけである。

対策

現在、既知の人とは極力距離をおいている。
このまま離れて行ってしまうかも知れないが仕方ないと思っている。

また、新たな出会いは避けている。
相手がどれぐらい近づいてくるかわからないからである。
私の考えの偏りは、近づいてくる相手も自分も傷つける剣である。

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