野々瀬雀

ののせさく/京都芸術大学文芸コース/舞台・ミュージカル研究会/N高「青空の余白」共著/…

野々瀬雀

ののせさく/京都芸術大学文芸コース/舞台・ミュージカル研究会/N高「青空の余白」共著/アイコン 秋村遊

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【短歌】ファッショニスタ・母

五つなる吾子をだく母しのぶ夜 わたしは腕に五キロのお米 母からの仕送りセンスがピカイチで トキメキチャージもうひと踏ん張り 古着屋であれこれ眺めど勝てないや 彼女は噂のファッショニスタ・母

    • 〖詩〗 待つ

      僕はいろんなものを待っている 日々気長にどこかで待っている 今夏公開の映画 さんぽ道を撮り歩く秋 冬の朝の澄んだ空気 友人の新居を吹き抜ける春 いつか誇れる自作の詩 洗濯物が乾くこと 親戚の兄やんと食うラーメン 後輩ちゃんと被るシフト 狙いのトレーナーが値下がること うちで酒瓶を空にする日 来月は君の誕生日 いつか素直に話せること 衣服に穴をあけながら 変わらず気長に待っている

      • 弾ける言葉は檸檬の香り

        この文章と出会ったとき、私は胸を打たれた。今までも好きな歌として楽しんでいたのだが、音楽ではなく文学表現として、改めてこの歌詞を読んだとき、あまりの美しさに驚いたのだ。 米津玄師さんの「あたしはゆうれい」。歌詞の一節を引用する。 あなたの瞳はいつだって綺麗で 心の奥まで見透かすようだ その水晶体が写す世界で あたしはどうにか生きてみたくて ひたすら心に檸檬を抱いた(1) タイトルから分かるように、この歌はゆうれいである「あたし」の「あなた」へ向けたひたむきな想いが語られて

        • サナギ

          言いかけてやめた言葉の雨降る待合室 人間どうし体温恋し同志合法 「▒▒以外は頼れない案件」駄 惰 汰 ダ だから言ったのに 最初に 経血みたいにドロドロな孤毒 触れぬがよろし君は溶ける 酢酸 関わればもうベシャベシャに あっち行ってよボクに言わせないで このカラダは呪い込みよ 魅せる恥 先越し暴かれぬため 気遣わぬよう気遣えるよう なんて贅沢 世間知らずyou know? 良いよねお互い都合良く寂しさ埋め合って 人間どうせ蔽う劣性重い許容 「▒▒にだけは言えない事なんだ

        【短歌】ファッショニスタ・母

          短歌 2024.2.16〜3.2

          《パンの木歌会 提出短歌》 魚骨(うおぼね)の什器貼り紙吹き曝し街から一つファミマが消えた ちょっと良い酒ビン拵える部屋はひとりで汚しひとりで掃除 《短歌》 ざくざくと「まごころの味」とはなんだ店員ひとりデカビスケット 目の前でちゅっちゅすんなよここ駅ぞレジ無き場所でも凛と立ちたい <余白> ちょっと良い酒ビン拵える部屋は あなたがいなくて寂しいです

          短歌 2024.2.16〜3.2

          短歌 うどん

          ごぼ天を三本うどんに並べれば揚げたてサクサク反復横跳び

          短歌 うどん

          ピルグリム・ピローファイト

          (2022/10/20 01:52:18) TOHOシネマ新宿でレイトショーを観た。 水曜日は安く見られる為、木曜になってしまう前にメイクをしてお洒落をバチバチに決めて電車に乗った。 「もっと超越したところへ」 面白かった。23:58という時間が良かったのかもしれない。想像してた展開を良い意味で…いや悪くは無いが良いという程でも無いかもしれない…裏切られる結末だった。僕は好きだ。にやにやしながら劇場を出て、面白かった!と思ったのだから吉。 バタバタと終電を急ぐよりもゆっ

          ピルグリム・ピローファイト

          グッド・モーニングブルー

          (2022/10/19 09:33:34) 朝の匂いがする。 冬になろうとしている気配がする。 朝霧の湿っぽい匂い。 青い世界。 朝っていいなぁ!まあ、もう9時を半分まわってるんだけども。僕にとっては早起きな方で。自律神経なんて失調してしまっているからね。 「落ち葉くらべ」のことを考えていた。 本当は今日休みのはずだったのだけれど、店長に呼ばれたのでバイトのヘルプに行く。 お腹が痛い。 カフェイン・ギャンブル(造語)には毎回負けている、というか朝から胃を動か

          グッド・モーニングブルー

          リザゼラ

          全人類生まれた時から光り輝くまるで太陽 だけど私隠れたとして重い扉開ける人なんて いないわ 経験上 価値観なんて狭い視界 限定されたウムヴェルト 1人あたりに与えられたお砂糖 今週分を火曜に舐め切ってしまって 知らないことがあることを知っている その殻を破るのは難しい現実 せめて私の視界にうつる 世界の皆に祝福を 救ってくれた帝王だって ただの廃墟の厨二病 願望だっていつか真理に らんたった ジオラマの中 よく見つめて こんがらがった? んな訳無いよな だれも彼も ふと空

          ゐちごとチョコレート

          蕁麻疹が出来やすいたべもの 筍 生の椎茸 火の通ってないじゃがいも 午前10時起床 体たらくブランチ 細い枝のような四肢を伸ばす じんじんがりがりじんじんじんじん

          ゐちごとチョコレート

          なんで

          なんでなんでなんでなんでなんで なんでなんでなんでなんでなんで 思うことばかり なんでなんでなんでなんでなんで なんでなんでなんでなんでなんで 嫌う言葉狩り なんでなんでなんでなんでなんで なんでなんでなんでなんでなんで 止まれない仕方無い なんでなんでなんでなんでなんで なんでなんでなんでなんでなんで 1人きりでは無い 嫌うくらいなら端から ボクと仲良くしないでよ 社交辞令面倒臭いの ボクはまだ子供だってのに なんでなんでなんでなんでなんで なんでなんでなんでなんでな

          七並べでダイヤの8を持っていた。 ♦の大きい方を堰き止めていたら、 気がついたら1が揃って13からになって、 負けた。♦のAを見て終わったと思ったよ。 おわり。 2021/03/13

          七並べでダイヤの8を持っていた。 ♦の大きい方を堰き止めていたら、 気がついたら1が揃って13からになって、 負けた。♦のAを見て終わったと思ったよ。 おわり。 2021/03/13

          アネ

          生まれたときは間違いなく、自他共に認める長女だった。今の状態は自分でもよく分からないし、誰かに伝えたとて何かが都合よく変化するはずも無かった。 思春期が〜アイデンティティが〜……とただでさえ誰もが迷子になりがちな世界。 終末モラトリアムの今もまだよく分からないけれど確かなこともある。可愛くて誇れるきょうだいの、 僕は、間違いなく貴方の姉です。 多分うちの本丸の一期一振と同じ気持ち。

          エッセイ 五臓六腑を見渡して

          グトリグトリ強い日差しが体力を奪う。信濃町駅に初めて降りた。電車の中は二酸化炭素と、タンパク質と、皮脂、汗、隣に座る強い香水の匂いが、熱を持って空気のかたまりになっていた。 わたし、わたし。丁寧に襟を正し、人へ提出する文章ならば「私」を使うのが妥当だろうと思っている。本当はそんなこと無いのよ、私の中にある世間、私の中にある理想の正しさがそう云うのよ。後ろめたさなんてものは、周囲にあるものが形成したのでは無く、自分が作った後ろ指で自分を指しているのだと、つくづく思う。読者を

          エッセイ 五臓六腑を見渡して

          部屋にヤギが歩き始めた。 草をはみつつあっちやこっちで歩いている。

          部屋にヤギが歩き始めた。 草をはみつつあっちやこっちで歩いている。

          せん

          毎晩鏡で見るボクの モントゴメリー腺がきもい。 交差点で見かけた 体の薄いあの人はきっと夏に ペラペラのタンクトップ一枚で 暑い暑いと言うのだろう 不健康なくらい 骨の存在を体表皮に観測できる ほら歩く姿が綺麗 ああ腸骨 ああ 違うんだ 骨盤が 嗚呼 誰にも口を閉ざした僕の微かな夢が べっとりと夏の熱さに汗が出る 背中が胸が ぬゆり 重たく 境界線をゆび先に掴み 目の前でブラブラ見せびらかす 白いおばけは背にぴとり 離さない