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デジタル文芸

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栗林元の小説作品集。1997年から初めたWEBサイト「デジタル文芸」から名前を取りました。サイトは休眠中ですが、創作活動は継続中。
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記事一覧

創作エッセイ(23)自作「青空侍58 ~人生はボンクラ映画」のあとがき

(2017/03/07 リリースのKindle版より) 人生はボンクラ映画 あとがき  私は専業作家では…

栗林元
6か月前
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自作「92’ナゴヤ・アンダーグラウンド」の各話のタイトルについて

Noteにアップしてある自作「92’ナゴヤ・アンダーグラウンド」の各話のタイトルに、当時のヒッ…

栗林元
8か月前
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短編小説「毛布の下」作・栗林元

 またあの夢を見た。  懐かしさと、不安と、恐れと、そして奇妙な悲しみに彩られたあの夢を…

栗林元
10か月前
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創作エッセイ(43)私的・ゆく年くる年

創作者としての1年  昨年2023年は1月と6月に、それぞれ地元の市と三河の市で小説創作系の講…

栗林元
4か月前
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大魔神92(二次創作ストーリー)

(1997年 デジタル文芸「デジブン」掲載) このストーリーは当時(1992年)、大魔神リメイク…

栗林元
11か月前

1700字シアター(11)骸(むくろ)参りの夢を見る

(2021/08/12 ステキブンゲイ掲載)  夢の中で私は少年だった。おそらく高校ぐらい。お盆の…

栗林元
11か月前
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1700字シアター(10)煽り運転

(2021/05/15 ステキブンゲイ掲載)  夕刻の名古屋高速はかなりの交通量である。  その車の流れの中でも自動二輪は、その加速性と車幅の薄さで、混雑を回避して走ることができる。  印刷原稿の校正用清刷や血液検体など、急を要する配送でバイク便が活躍する所以である。  かくいう俺もバイク便のライダーになって二年が経っていた。  薄紫の夜空の下を走っていると、仕事中とはいえ気分が高揚する。  そのときだ、左のハンドル・ミラーの中で、後ろを走る黒いバンが車間距離を詰めて来るのが

1700字シアター(9)キラーフレーズ

(2021/04/23 ステキブンゲイ掲載)  N市役所の会議室である。  N市は、市とはいえ小さな…

栗林元
11か月前
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創作エッセイ(3)プロット~箱書き~本文

プロット~箱書き~本文(小説・シナリオ) 自分流の小説の書き方をまとめてみる。実は近々講…

栗林元
11か月前
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1700字シアター(8)たはむれに

(2021/03/30 ステキブンゲイ掲載)  石川啄木の「一握の砂」の中の代表作に次の歌がある。 …

栗林元
11か月前
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1700字シアター(7)スピッツの歌

(2021/03/07 ステキブンゲイ掲載)  日曜の朝、花見ドライブに行こうと言い出したのは妻だ…

栗林元
11か月前
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1700字シアター(6)作家の才能

(2021/03/03 ステキブンゲイ掲載)  西森は小説家である。ただし全く売れていない不遇の作家…

栗林元
11か月前
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1700字シアター(5)名古屋高速

(2021/02/10 ステキブンゲイ掲載)  日が沈んでようやく風が涼しくなってきた。アスファル…

栗林元
11か月前
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1700字シアター(4)白い駅舎

(2021/02/05ステキブンゲイ掲載)  教会のような建物だった。高い天井はドームになっていて、真下から見上げると、天頂部の天窓に向かって張られた板が放射状に並んでいる。  その空間に飛び交う鳩の羽音とクークーという鳴き声が聞こえる。それ以外の音は何もないほどの静寂だった。  天窓から差し込む数条の光は白く明るく、季節は夏なのであろう。  目を周囲に転じると、そこは教会というより無人の駅舎のようだった。白いペンキ塗りの木造で、剥げかけたペンキが所々で浮いている。  安っぽ