1700字シアター(4)白い駅舎
(2021/02/05ステキブンゲイ掲載)
教会のような建物だった。高い天井はドームになっていて、真下から見上げると、天頂部の天窓に向かって張られた板が放射状に並んでいる。
その空間に飛び交う鳩の羽音とクークーという鳴き声が聞こえる。それ以外の音は何もないほどの静寂だった。
天窓から差し込む数条の光は白く明るく、季節は夏なのであろう。
目を周囲に転じると、そこは教会というより無人の駅舎のようだった。白いペンキ塗りの木造で、剥げかけたペンキが所々で浮いている。
安っぽ