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【読書感想文】米国最強経済学者にして2児の母が読み解く子どもの育て方ベスト

久々にガッツリ本を読みました。
読書感想文を書いてみようかと思います。
あ、ちなみにあらすじを書くようなことはしません。

今、メディアによく出ているYale大学の助教授の成田悠輔さんが推薦している本のようでした。いわゆるEBPM(Evidence Based Policy Making)「証拠に基づく政策決定」の研究領域の仲間のである女性教授が書いた本です。

感想サマリ

「子育てにおける選択や判断なんてあなた次第」ってこと。

この本にはアメリカ人で経済学の大学教授である女性の出産経験や子育て経験から、世の中でまことしやかにいわれている子育ての慣習について、いわゆる科学的根拠(エビデンス)をもとに、その慣習通りに選択することに意味があるかどうかが書いてあります。つまり、意味がないのに選択してしまっていたり、慣習どおりに選択しないことが正解だったりすることがあって、それについてこの著者が取り組んできたことを書いている、というわけです。

つまり、選択や判断なんて、きちんと調べて考えて判断していけば、他人は関係なく、自分次第でどんな選択にもなるのだ、ということが書かれています。

妊産婦や母親の周囲には、根拠なき情報に溢れているらしい

母乳育児の良し悪し、産後すぐの産湯など、よく考えれば何が根拠になっているかわからないのに、当然にやることとして認識されていることが多いらしいです。

私の娘を妻が妊娠してた時や出産の時、そして今2年間育児をしている中でも「え?なんでそんな事するの?」と聞きたくなるような意見・行動のぶつかりはたくさんあって、かつ、私の妻は割と素直なので「慣習だ」と言われるとそのままやってしまうために私とぶつかることがあります。

この本を読むと「慣習」と呼ばれるものが、いかに人間の思考力を奪っているのか、考える事をやめさせているのか、がよく分かります。それを妻に伝えるきっかけになったのがこの本を読んで良かったと思う点です。

もはやこの本は子育ての本ではない

答えがなく個別性や不確実性が高い心身ともに激しく消耗する日々の行い、つまりそれの一つが子育てであると思いますが、実はよく考えると、知的生産(≒業務)や恋愛なども同じようなカテゴリーに入ると思います。

そういった個別性や不確実性の高い取り組みを前にした人間が、いかに考えるのをやめがちなのか、という事を示唆している本だと私は感じました。

そして、考えること、つまり思考を止めた時に判断の軸として依存しがちな「慣習」「一般常識」というものが、いかに個別性や不確実性に適応したものではないのか、ということも併せてこの本で語られていると感じます。

この本が言いたいことは「考えること」「調べること」をやめるな

個別性や不確実性の高いことに直面したときに、正解を導き出せずに思考が止まりそうになることがあると思いますが、この本はそういうときにも、調べること、考えることをやめるな、分からないなら分からないままでよくてとにかく調べて考え続けろ、ということをいいたいのだろうと思います。

感想を飛躍させてみる

調べる:正しい情報をつかめているか?

ここからは、本の内容から飛び出して私見を述べます。

日々の生活や業務において必要な情報をどのようにして取得しているか、という話はメディア論で相当議論されているので、あまりそこに突っ込みたくないと思います。
ただし、情報ソースの確からしさは意識して生活や仕事をするべきだなと思っています。

私は、情報には以下のような要素があると思っています。
・速報性(発生した出来事が、どれだけ早く人に伝わるか)
・事実性(発生した事実が正しく伝わるか)
・希少性(情報がどれだけ手に取りにくいところに置かれているか)

それぞれのメディアにおいて強み弱みが異なるので、自分が知りたい情報がどういった特性のものなのかを把握した上で、適したメディアを使って情報を得るべきだと考えています。

この本においては、慣習というものを事実性で評価するために、著者は論文やアカデミックな研究成果を情報ソースとしています。
そういった使い分けがとても大事だと思いますが、ついついそれを考えないで情報をとってしまっているなと気付かされました。(これも悪い意味で慣習なのかもしれない)

考える:データを読む力を習得できているか?

著者は大学教授であることから、情報やデータをキチンと読み解く力があることは分かります。

さて、私達はどうでしょうか。
統計やグラフ、表などの情報をキチンと読めているでしょうか。

今回のコロナ報道、それを受けた情報の受信者側の反応どちらもデータを読む力の欠落が著しいと私は思っています。
以下のような都道府県別の感染者数の集計データをよく目にしますが、

NHKニュースより引用

上記の数字の羅列は結局何がいいたいのでしょうか。
情報の受けては何が知りたくて、それに答えられるような情報を与えられているでしょうか。

僕だったら
「自分が今日罹ったらどのくらいの確率で生存できるのか?」
が最大興味です。
それにこの画面にある情報だけでたどり着けるのでしょうか?
(答え:たどり着けない)
そういう意味のない情報、誤解を与えやすい情報に世の中は溢れかえっているのです。

そういう現状を発信側はそれをよく考える必要があると思いますし、受信者側はキチンと数字の意味を理解し、その数字が示す意味や結果を分かっておく必要があります。

このレベルの情報の整理が「高等教育である」とうことであったり「義務教育外である」という主張があるのは分かりますが、であれば、そういう情報を見る力分析する力は義務教育に入れるべきではないか、と私は日々思っていますし、改めてこの本を読んでデータを読む力が大切であるということを再確認しました。

娘には統計を読む力をつけさせたい

私には2歳になる娘がいます。
特に教育方針などは決めておらず、好きなことをやってくれれば良いなと思っていますが、これからはこういう意味の有りそうで無さそうな情報があふれかえる時代であるので、数字の意味や統計結果の意味を把握できるような力はつけさせてあげたなと思います。(といっても別に理系にしたいわけではない)

次はコレを読もう

さて、次回はコレを読みます。

だから僕たちは、組織を変えていける ーやる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた

今回の本では数字の読み方が大事と気づきましたが、一方で数字を読めるようになるといろいろな事実がわかり、苦しくなってきます。

結果が出るか否かよりもプロセスのほうが評価されるべきだ、といったようなプロセスエコノミー的な発想とかが生まれます。
そういう環境下で仕事を組織でするためにはどのようなチーム作りの考え方が必要なのかをこの本が解決してくれることを期待したいと思います。

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