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ベッドタウンブルース
白壁に薄ら赤い屋根を置いた荘が整然と居る。やけに広い庭には一本の樹が立ち、夕刻の頃になると黒い鳥影がキーキーと騒がしい。
隣は回収されたアルミ屑の溜りになっている。トラックが出入りしてアルミを野曝しにする。小さい重機がそれを積み上げる。曝すとは太陽の暴力だ。
浮浪者の金と、はしたがねに変わる金属。鳥影は一円を笑う。
あの荘には人が住んでいるようだが、まるで生活感が無い。子どもが組んだ
かみさまのかわりに歌を歌った
「恐竜見たくない?」
友だちがぼくに言った。
「え?」
ぼくが聞きかえすと
「ティラノサウルス」
と答える。
ぼくはこないだ見た映画のことを思い出して
「あれは?」
と言った。
「なに?」
「フタバスズキリュウ」
「なんだっけそれ?」
「ドラえもんの」
「あれか!でもやっぱティラノサウルスじゃない?」
「そうだね。」
「どこで見れるんだろう」
「とりあえず外じゃね?」
パンツをはき替えて、こない