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20年遅れのヒーローが求められる時代

2019年5月2日(木)付日本経済新聞では、これまでの時代において解決すべき重要な問題であると認識されていながら、問題の解決が先送りされていた課題に対して、新時代の私たちは何が出来るのかという視点から、社説を中心として様々な提言が掲載されていました。

(社説)令和のニッポン(2) 人口危機の克服に総動員で臨もう

( https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44396360R00C19A5EA1000/ )

以下一部転載。
日本人は平成を通じ、人口減少問題に有効な手立てをとれなかった。座視してきたというべきかもしれない。人口が国力を規定する基本的な要素だという自覚が乏しかったのではないか。
その反省に立ち、令和の時代は人口減による長期の経済衰退や財政・社会保障の深刻な危機を克服するために、総動員で臨みたい。…

社説では人口減少問題について述べられ、主因として「失われた20年」「就職氷河期」と呼ばれた長期停滞期に生きた若者たちが、雇用の不安定さから結婚に二の足を踏み、結果として子供が減っている側面も大きいのではないか。官民あげての取り組みが必要であるが、高齢者を優遇する現状の政策が若い世代へ社会保障を充実させる改革を阻んでいるのではないか、と述べられています。

「失われた20年」「就職氷河期」の雇用が不安定な時代を生きた当事者の一人として、この世代に今一度「未来へのワクワクした希望」を持って貰い、国家を支える中心世代になって貰うには、「20年遅れのヒーロー」を生み出す必要があるのではないかと私は考えます。仮に、これまで雇用が不安定な20年を生きてきた人でも、今から誰でもやる気になればヒーロになるチャンスがあるという象徴を、同世代の中に実在する具体例として見せることで、新たに「未来へのワクワクした希望」を持たせることが可能であるということです。

20年前は、終身雇用制や年功序列の慣習が強く残っており、一度でもレールから外れてしまったらそれで人生は終わってしまうような認識を植え付けられてしまった人たちが多くいます。しかし、時代が加速度的に変化する中においては、20年前の常識は時代遅れの非常識となり、改革を阻害する負の遺産となっています。実際に昨今では、リカレント教育の必要性が叫ばれるようになりましたが、それは20年前に行われていた誰かの作った答えを出来るだけ多く暗記し、言われた通りに行動できる人材を育成するための暗記型教育を受けた思考力のない受け身型の人材たちが現場では全く役に立たなくなり、答えのない課題に対して自らで答えを導き出せる主体性と思考力ある人材が求められるようになってきたからです。これは最終学歴の時代ではなく、最新学習歴の時代になっているということです。例え20年前に高度な教育を受けたとしても、その後自分自身で継続した研鑽をしていなかったならば、20年経った今では学歴など無いに等しいと言えます。逆に最終学歴が高学歴の人間ほど、新たに学ぶことを拒み、変化の抵抗勢力になりやすいとも言えます。これは学歴のみならず、職歴でも同じことです。つまりは、ここに20年遅れの新ヒーローを生み出すチャンスがあるのではないかと私は考えています。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年5月2日付

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