「私は取り立てて何かをしたわけじゃあないけど、でもそう思ってくれてたり、何かしら紗希のためになることがあったのなら、それはそれで良かったな、って思う。前も言ったかもしれないけど、私に会ったことで『きっかけ』になるかもしれない、って思ったのは紗希自身だからね。紗希が自分で気付いたりしたんだから、自分で自分をいい方向に変える『力』を持ってる、ってことなんだと思うよ」

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自分で自分をいい方向に変える『力』を持ってる……私に、そんな『力』なんてあるのだろうか。もしそうだとしても、陽子と会わなければ、陽子と話をしなければ『笑顔』のことも『食べる幸せ』のことも考えもしなかったのだから、やっぱり陽子に会ったことが『きっかけ』なんじゃないかな。

「ありがとう。でもさ、陽子に会って話をしなかったら気付くことが出来なかったんだから、やっぱり陽子には感謝しかないよ」

「ありがとう。そう言ってもらえるのは嬉しいよ。だけどね、随分長い間会ってなかった私に連絡してくれたのは紗希なんだから、やっぱり私は陽子が考えたり、動いたりした結果自分でいろんなことに気が付いたりしたんだと思うよ。だから、前も言ったかもしれないけれど、もっと自分に自信を持ってもいいんじゃないかな、って思うの」

『自分に自信を持つ』……今の私に必要なのは、もしかしたらそれなのかもしれない。私は、ほんの少しだけでもいいから、自分に、今までの自分に、それから自分の考えたことに、自分のしたことに自信を持った方がいいのかもしれない。

今日もありがとうございます。