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日々の世界は、人と人との関係性と言葉でつくられる(関係の世界へ第1章)

 社会構成主義のガーゲンの新作「関係の世界へ」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。

第1章 関係の世界へようこそ!

 第1章は、「関係」がなぜ大切なのか?が書かれています。以前読書会でも読んだ「関係からはじまる」の第1章・第2章のあたりが非常にわかりやすくまとめられている印象です。

 面白かったのは、既に「関係からはじまる」を読んで分かった気になっていたことが、360度ぐるっと回って改めて定義づけられた感覚だったことです。

 例えばこの章のメインである「協応行為」は、個々で世界が成り立ってるわけではなく、「相手がいないと成り立たない」し、「相手だけでも成り立たない」相互作用のものと理解していました。

A:今日はいい天気だね!
B:そうだね、気持ちがいいから公園に行く?

 この会話は、Aの発言だけでは意味をなさないし、Bの発言だけでも意味をなさない。Aの発言に、Bが答えた(協応した)からこそ意味が成り立っています。

 このことを「私たちが発する音声は、協応行為を通してはじめて言葉になるのです」という、17ページの部分で改めて根幹の部分なんだなと認識できました。

 例えば先ほどの、Aのセリフも、Bがこう答えたらどう感じるでしょうか?
A:今日はいい天気だね!
B:天気なんてどうでもいい。今話しかけないで。
 Bって、めっちゃ嫌なやつ!って感じがしますよね。

 でももしこれが、Bが明日の試験本番に向けて必死に勉強してるタイミングにAが声をかけてたら、今度はAが悪いような感じがしてきます。

 また、今回はその会話の先の部分(協応行為の連続の中)で、話してる2人の性格が意味づけられていく、ということもとても面白かったです。

読書会で話したこと

  • P3「他者との関係の結び方を進歩させることに、ここまで失敗」してると思うか?は皆同意。「当たり前」が通用しなくなってる、情報化社会の中でどんどん希薄な関係性も増えてる。

  • 同じ言葉でも、お互いの関係性で捉え方が変わってくる。いくつか最近あった事例を共有して、自分が当事者だとAとしか見えてないものが、BやCの可能性も見えてくるなと思うととても面白かった。

  • 子どもから「私と仕事どっちが大切なの?」と聞かれた時に、「もしかして寂しかったの?」と聞ける第3の選択肢をいかに紡ぎ出せるかが大事。回答によって、信頼関係を損ねるか、より強めるか、大きく関係が変わる場面もある。

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