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記憶というものの曖昧さ

クソ暑い中に仕事やら用事やらがギッシリつまった8月にポッカリ空いた2日間のお盆休みの、今日が最終日(初日と最終日しかないね)。

さて、そこでぼくはどこへ行こうか、どんなふうに遊ぼうか、などと考える人ではいまはなくて、あぁ、家でグターっとしたい! と思う人になった。

昨日から妻子は留守で、1人のんびり家にいて思う存分朝寝して、朝食をサボり、昼のパスタも余っていた市販のソースを使うなど手抜きし放題。これぞ休み!

今日はとにかく何もしないぞ! と決めて、先日始めたばかりの原稿も今日は休む。でも「朝のページ」とこのnoteは休まずに書いてます(説明が面倒なので今日はそれもサボります、わからない人は読み飛ばして)。

昼食後は、敷きっぱなしの布団の上でゴロゴロしながら昨夜のラジオを聴く。「高橋源一郎と読む「戦争の向こう側」」というNHKラジオの番組、らじるらじるの「聴き逃し」でも、しばらく聴けます。(──「戦争が起こらないように」と言うけど、「もう起こってるんじゃないか?」目に見えないようなかたちで…)

目を働かせず耳を立てておくというのも、また"休み"にはいい。『アフリカ』最新号に載っている「活字の断食」にもそんな話を書いたっけ。

聞いていると、本が読みたくなるが、それも今日はほどほどにしておこう。

ぼくはたまに、自分の執筆したもののリストを整理しているが、始めたのはおそらく10年くらい前だ。その頃は30歳、まだ10代〜20代の頃のことも(いまよりは)よく覚えていた。

そのリストを久しぶりに加筆、整理したのは1年前だ。数日前に「なかなか書き始められない人」で触れた、『なりゆきの作法 TOSHIYA SHIMOKUBO WORKS 1999-2016』という冊子をつくったからだった。

昨日、1年ぶりにそれを再度、追記を兼ねて整理していた。整理のついでに、以前使っていたパソコンから抜き出しておいたハード・ディスクから、覚えのない原稿のデータが、けっこうな量、出てきた。

表に出ていないだけで、いろんなことを試みていたのだな…と他人事のように思う。──そう言うのは、繰り返すけれど、本当に覚えていないからだ。

もちろん思い出すものもある。しかし、約半分は思い出しもしない。その時の自分に申し訳ないような気がする。

1年前に整理した時に驚いたのは、10年ほど前、たぶんリストをつくった最初の頃だと思うが、過去の作品の文字データをある程度、管理・保存してあったことだ。

もしかしたらそのとき、多少手も入れているかもしれない(まだ詳しくは確認してない)。

不思議なことに、まったく覚えていないのだ。その頃、なぜそんなことをしたのか。そんなことをする時間がどこにあったのか。ぼくは何度か再就職をしているので、たぶん、仕事を辞めていた期間を使ってやったのだろう。

今回は、『アフリカ』を始めた頃に、関係各位に宛てたメッセージのようなものも出てきた。これを実際に送ったのかどうか、それもアヤフヤだ。

ぼくはもともと『アフリカ』を続ける気がなかった、とよく話したり書いたりするが、実際には「続けようとすることを止めた」ということであって、「続けないつもりだった」わけではなかった。で、そう考えたのには理由があるらしいのだが(他人事みたいに言うな?)、その"メッセージ"を読んでみると、続けようとするのはもう止めるけれど、彼は(自分だ)その前にやったことにかんして何らかの恨みつらみを抱えていて、それがある限り意地でも続けようとか言ってる。んー? 続ける気はないと言いつつ意地でも続けたいとも言っていて。続けようとするのもダメだし、続けたくないのかというとそれも違うと。なんだそりゃ?

まー、よくわからないが、でも、ゴタゴタ言いながらでもやってみてよかったね? 不思議な出会いがたくさんあったし、いまでもあり続けてる。

そんな文章ばかりではなくて、創作もたくさんあるし、意外と文学論、芸術論に入りかけたようなエッセイもちょこちょこあり(20代の頃、ぼくはその手の文章を書いていなかったと思っていた、それも記憶が間違ってる)、たぶん身近な人と話をするために、自分の頭の中の整理のために書いたと思うが、それも現時点での想像にすぎない。

若い頃にはわからなかったことだが、人って、こんなにも自分のやったこと、考えていたことを忘れるもんなんですね。しみじみ感じ入ってしまいます。

同時に、ぼくのような人にとっては、書き残す、記録を残しておく、ということがいかに大切か、あらためて感じてる。

20代の頃、70代の小川国夫さんに若い頃の話を聞くと、よく「忘れちゃったな」と言われたもので、「そんなこと忘れるもんかな?」と思った記憶があるんだけど(過去に書いて発表しているものにかんしては、書いた本人より現在進行形で読んでる自分の方がよっぽど詳しかったりして)、40歳でこれだけ忘れるんだから、そりゃ〜、忘れますよね…

お盆だから、かな。ここには書きにくいこともたくさんあるけれど、昔のことをよく思い出す。

(つづく)

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ご連絡いただければ郵送で直接、お届けすることもできますので、遠慮なくどうぞ。「どんな雑誌なの?」ということにかんしては…

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「道草の家・ことのは山房」のトップ・ページに置いてある"日めくりカレンダー"は、1日めくって、8月16日。今日は、「小さな消防隊員」の話。

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