薄毛で青髭のわたしが、毎日ワンピースを着て外に出かけていたら、少年と"かけっこ"になった話
「お姉さんが、うらやましい」
別にもう、"女の子"になりたいと思ってはいない。
夕日を硝子球にして、いちばん自信のある指にはめている。どこかあどけないものを残している、染み込んだ自分の香りに真珠。哀しい動悸が波打ち、ひとり、またひとりと追い抜かれている。
滲むような声が射す。毎日のように誰かに嗤われ、それでも自分がワンピースを着て外に出る理由を考えている。他人はわたしを気になど、ほんとうはしていないだろう。"ほんとう"なんて言葉も必要ない。そこには泥濘の期待。逸脱したも