見出し画像

夜におやつを作ると自己肯定感と満足感でいっぱいになる話

皿洗いを終えて、すべての家事を終えた。むすこはこたつで暖をとりながら、わたしと一緒に寝床に入るのを待っている。あとは寝るだけ。

なのに、無性におやつを作りたくなるのはなぜなんだ。

そういえば、昔はお菓子とパンの先生をしてたんだった。当時は、こんなの役に立たない、と勝手にレッテルを貼っていたが、9年が経とうとしている今、役に立とうとしている。

左の手首でボウルをくりっと回しながら、右手で粉を手際よく混ぜていく。不思議なもんだ。頭では覚えていないのに、手は覚えている。

子どもたちのおやつが底をつきそうになる。年子の二人を抱えてわざわざ買い物に行くのは面倒だ。家には粉も砂糖もバターも卵も牛乳もある。作れるんじゃないの。けど、作るのもまた面倒なんだよなあ。そんな葛藤を繰り返し、迷っているのならその間に手を動かせばいい、と最後に自分の中の自分に背中を押され、材料を並べる。

材料をものの5分まぜ、あとは予熱してあったオーブンに入れて30分焼くだけ。

画像1

出来た。バナナのパウンドケーキ。意外と簡単だし、ほぼ何にもしていないのに自己肯定感と満足感がすごい

母におすそわけした。レシピを説明し味見してもらうと「体にもいいし、この子らのおやつにぴったりやん」と。うん、確かに。量もあるから2~3日は日持ちしそう。

祖母が糖尿病になり、食事を用意している母が最近わたしによくこう言う。「あんたはよぉ食べるから気つけとかなあかんで。お菓子あんまり食べらんようにしぃよ」。確かに。最近のわたしはちょっと食べすぎなところがある。けれどもこの手作りおやつなら、後悔することは減るかもしれない。良きコーヒーのおともになってくれるだろう。

画像5

寝る前の静かな夜にサクッと作るのは、無になれる。夢中になれる。何も考えずにまぜる。打ち粉する。

画像5

そうして無になった自分の手から作り出されたかわいい丸。むすこのお気に入りのグラスで型取った丸。なんとも愛らしい。今の自分を形にするとこうなるんだ。案外悪くない。今の自分は今のままでいい。

画像5

自己肯定感満足感とオーブンから漏れ出る焼きあがりの香りが台所を包む。この丸いスコーンはきっとおいしい。明日からわたしの大切な人たちの心とお腹を満たしてくれるだろう可愛いスコーン。ああ、これが癒しなのだ。そのまま寝床につく。

最近読んだ村上萌さんのコラムでは、“明日の自分を楽しく整える”ことについて書かれていた。

わたしにとっての夜のおやつ作りも、明日の自分への仕込みだ。明日はきっといい日にできる。

朝目を覚まし、頭に浮かぶのはスコーンのこと。見るたびに可愛い丸。そしていつものルーティーン。やかんを火にかけ、白湯を飲む。むすこの大好きなフレンチトーストを作る準備をし、次男の離乳食をあたためる。朝ごはんを終えた後、あつあつのコーヒーを淹れ、いよいよお楽しみの癒しタイム。

肝心な写真は撮り忘れた。が、砂糖控えめ牛乳多めのスコーンは一個食べるだけでお腹がいっぱいになるボリューム。コーヒーのおともにちょうどいい素朴で懐かしい味。これはリピート決定だ。

ここから自分なりにレシピを育ててみたい。次はバターを増やすだとか、母からリクエストされたオレンジピールやレモンのパウンドケーキに挑戦してみるだとか。ああ、楽しみだ。

夜のおやつ作りは、わたしの心と体の健康にちょうどいい

子ども向けの簡単なものではあったが、お菓子づくりを教えていた自分を誇りに思うしもっと自信をもちたい。あの日の自分が今の自分を支えている


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?