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意外と過酷な蔵書点検

こんにちは、ハシモト トショカンです。
本日も数ある記事の中からこの記事を閲覧していただき、ありがとうございます!

大学図書館では、2月、3月が長期休暇の期間となるため、今はちょうど利用者が激減する閑散期に当たるのですが、利用者が少ないからと言って決してやることがないという訳ではなく、通常業務に加えてスタッフ間での研修を行ったり、次年度に向けての様々な準備をしています。

そして、この期間に行う大事な作業に「蔵書点検」があります。

蔵書点検は、読んで字のごとく、図書館の蔵書がちゃんとあるのかを点検する作業なのですが、公共図書館では特に閑散期というものが無いため、「この期間!」と決めて一週間くらい休館にして作業を行う一方、大学図書館では、入試の期間などを使い、この時期にやることが多い気がします(あくまで私の経験上ですが)。

蔵書点検のやり方は図書館によって違いがあるかと思いますが、図書館員がバーコードリーダーで1冊1冊本を読み込んで行くのが主流かなと思います。

中には業者さんに全て一任している大学や、「読み合わせ」と言って、一人が印刷された蔵書リストに記載された資料IDを読み上げ、もう一人が1冊ずつ資料を棚から取り出して資料IDのバーコードの番号を確認しながら進める…というやり方をする大学もありますが、私はほぼ前述のバーコードリーダー読み込み方式の蔵書点検でした。

「なんだ、本をバーコードで読むだけでいいなんて、めちゃめちゃラクな仕事じゃん」

と思うことなかれ!

…いや、正直に申し上げましょう。私も初めての蔵書点検を経験する前は、間違いなくそう思っていました。

ナメてました。

「いつもあんなに利用者対応や日々の業務に追われているのに、ただ本があるかないかをチェックするだけでいいの?!神~!!」

バカです。

なんとも浅はかです。

朝一で集められて持ち場に着いたら、眠い目をこすって踏み台に上がったり中腰になったりかがんだりを延々繰り返し、やたら重たい本で腱鞘炎になったり、1冊1冊がやたら細くて沢山量があるシリーズ本にイラついたりしつつ、バーコードを読み込む度にピーピー鳴る音で精神異常をきたしつつ、利用の少ない本のカビや埃にむせながら、首、肩、腰にダメージを受けて、黙々と作業を続ける…というのは、やってみると意外な重労働でして、これも私の経験上ですが、どこの図書館でも1時間に1回くらいの割合で、10分とか15分の休憩タイムが設けられていました。

そうして全ての資料を読み終えると、今度は所蔵データと所在状況が一致しない、「データ上はあるはずなのに無い」という資料を、またスタッフ総出で一斉捜索します。

この作業を行うことで、図書館の所在状況をチェックし、資料を整理できると共に、利用者の皆さんに所蔵資料をつつがなく提供できるので、とても大切な作業になります。

公共図書館では、例えば施設工事などで休館すると、一部の過激派の利用者の方から物騒な言葉と共にお叱りを受けたりするものですが(代表的なものに「税金でやってるくせに市民に無断で勝手に閉館するな」があります)、蔵書点検での休館期間については、私の経験上は一度もお叱りを受けたことがなく、やはり、利用者の皆さんにとっても重要な作業であると認識していただいているのかなと思います。

ICタグとかがもっと普及すれば、こんなに時間も労力もかからないでしょうけど、まだもう少し時間がかかりそうですね……

本日も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。


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