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レタルの経営について

私のブランド「白いシャツの店レタル」はまだたいして売れてないんだけど、一丁前にコンサルタントみたいな人がいる。

まぁ、そんな人がいてなんで売れないのか?という話だけど、それは今私がレタルを動かす余裕がないからだ(笑)。

うちはなぜか、この人手不足の時代に人材が集まってしまうブランドで、それはすごくいいことだろうと私自身は考えている。

お客様も大事だけど、働く人間がいなければ会社(うちはまだ会社じゃないけど)みたいなものは成り立たない。

実は現在、水面下でいろいろとレタルは動いている。

なんでもネットに書いちゃう私が書けないのはそれ相応の理由がある。

結構大きな動きになる可能性もあるので、先日通称コンサルおじさんと飲んできた。

まぁ、そんなおじさんでもないんだけど(笑)。

レタルをいろんな人が支えてくれているのは、商品云々もあるけれど、私のビジョンや思想的なことが大きいのだろうと最近は考えるようになった。

私は自分でも最近関心するけど、あんまり考えがブレない。

それでも、歳と共に変化しているところ、見方や考え方が変わったところはあれど、肝心なところはブレてないんじゃないかと思う。

ブレないから人がついてくるようにも思う。

まぁ、ブレないのがいいことばかりかわからないと思うこともあるけど。

そもそもレタルは会社員の頃に始めたブランドだった。

会社員の頃に抱えた鬱憤を晴らすというか、アンチテーゼみたいなところもあったし、その私のアンチテーゼというのはわりと先見の明があったと思う。

その頃の会社では生産背景を国内から中国にシフトしていた。

私は「国内産業が衰退する」という危機感を持っていたし、日本人の中国をどこかバカにしながら、中国に生産を依存する、みたいな態度も好きじゃなかった。

そういうことをしていたら、いつかバカにしたものにやっつけられるのは当然だと思っていた。

なのでレタルは国内生産、個人の縫製士を中心に回しているし、一時は東日本大震災の被災地へ仕事を出していたこともあった(実際何度か被災地に行った)。

また、毎年同じようなデザインをしていたり、リピートと呼ばれる去年の焼き直しを何着か作っているのに、さも新しいことをやってるように大変ぶってるのも、なんだかバカバカしいと思っていた。

リピートしてちょっとアレンジ加えるレベルなら、それを定番にした方がよほどよいと思っていたし、せっかく考えたデザインを捨てるのはもったいないと思っていたので、レタルは1つデザインを出したら、それをアーカイブ商品として継続的に販売している。

そして、在庫を持つとどうしてもセールをしなきゃいけなくなるし、先に買った人が損をしてしまうシステムが嫌だったので、在庫を持たず、形を選んで、袖丈や着丈を調整するという、セミオーダーという形を取った。

白いシャツを選んだのは、オリジナルのテキスタイルを作ることはかなりコストがかかるし、テキスタイルによる差別化は商品としての価値を上げやすい分、印象にも残りやすいので、在庫になりやすい危険性がある。

なので一番ノーブルな白い生地を選び、私はパタンナーなので、パターンさえ新しく産み出せば成立しそうな、ある程度カテゴリ内でバラエティがあるシャツを選んだ。

何より、白いシャツというのは、ワンアイテムでブランディングするのに耐え得る商材であるという頭があった。

ワンアイテムでブランディングすると、どれも似たり寄ったりで飽きられる可能性があるので、商品は毎度新鮮さが出るよう、かなり振り幅がある。

これは最初「商品に振り幅がありすぎて、レタルというブランドのイメージが見えにくい」という批判もあったけど、型数が増えるにつれて言われなくなってきた。

レタルはわりと効率的、合理的な考え方をしているが、これはレタルを私一人で回すことを第一に考えていたし、私はレタルで非効率的で不合理なアパレル業界へのアンチテーゼやカウンターを体現しているところがある。

しかし、このシステムでまだ大きく稼げていなので、そこが当分は課題になるだろう。

私自身はお金にあんまり興味がなく、お金について考えるのはめんどくさいし、好きに生きられるためのお金があったらそれでOKって感じであんまり欲がなくて、欲がないことにはよくないなぁと思っている(韻踏んじゃった)。

欲がないものは実現しないからだ。

ただ、ここ最近は売れたいし、稼ぎたいと思っている。

一つは関わっている人間にちゃんと払いたいし、もう一つはレタルのやり方で稼げることを証明したいからだ。

売れれば私の言葉に説得力が出る。

誰も苦しまない、人間らしい仕事をしても、きちんと稼げて、きちんと食べていければそっちの方がいい。

そして、それを願って下さるお客様に買ってもらった方がいい。

そういう流れが出来れば、業界自体がそこに流れるようになるだろう。

ただのアンチテーゼや、カウンターじゃなく、それがメインストリームになるのが理想だなと思う。

道のりは長いけれど。

チームレタルと呼ばれる人達は、私のそういうビジョンに同意してくれてると思っているし、コンサルおじさんもそこを「ブレないように」と口を酸っぱく言ってくる。

彼はレタルというブランドに希望を持っているらしい。

頑固で愚直なやり方を続けることが、ブランドとしてのアイデンティティだと思っているようなので、私が軽率な提案をすると、先ず最初に突っぱねるのはコンサルおじさんだ。

私はイエスマンなんて全く欲しいと思わないので、そういう人間が一番身近にいるのが一番いい。

デザイナーや経営をして、渦中にいると時々自分を見失う。

レタルはリニューアルを考えているけど、やり方自体は大きく変えるつもりはない。

ずっとやり方に関して長いことコンサルおじさんと話し合っていた。

「セミオーダーを続けても大きく売れないので在庫を詰む方がいいのでは?」と言ったこともあったけど、「お客様はセミオーダーに魅力を感じているのではないか?」と止められたこともあった。

まとまったお金を作ることというのは、本当に難しい。

とりあえずはシステムは継続し、ブランドイメージは少し刷新したいと思っている。

レタルを始めたのは2011年の7年前だ。

その頃はナチュラルテイストだったけど、今はもう時代が変わっている。

それに私ももう、ナチュラルなものを作りたいかというと、気分的に変わってしまっている。

普通はブランドイメージを変えることは大きな転換だけど、レタルは白いシャツというアイテムと販売システムがブランドアイデンティティなので、デザインを変えることは大きな転換ではない気もする。

大きく稼ぐということを考えると壁にぶつかるが、レタルのシステムは大きく赤字が出ないシステムなので、経費ロスを抑え、効率よくオーダーから納品までのシステムを整えること、現在の値段はもうハマらなくなってきているので、値段の見直しをすること、そして、価格を上げても売れる商品を作ることが大切だと思う。

今の時代、大きく稼ぐというのも、全く出来ないわけではないと思うけど、小さくても堅実に稼いでいく方が、現代らしいシステムな気もする。

この通りまだ整理しきれてないけど、とにかく考えることはやり続けていきたいし、自分の体力が続く限りはトライ&エラーをやっていく。

どっかで当たったら、それはそれでいいし、大きく当たらなくても堅実に稼いでいく方法を見出し、アパレルに新しい風を起こしていけたらいいと思う。

お客様も売り手もみんなが幸せになるシステムを考える。

それが今の自分の課題だ。

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