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映画

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2023年8月の記事一覧

【今の時代にこそ一層輝く映画だ】『エドワード・ヤンの恋愛時代』感想

『牯嶺街少年殺人事件』、『ヤンヤン 夏の想い出』などで知られる台湾の名匠エドワード・ヤンが1994年に手がけた青春群像劇『エドワード・ヤンの恋愛時代』。 本作は1994年に公開されていたが、2022年のベネチア国際映画祭にて4Kレストア版でワールドプレミア上映され今年リバイバル公開された。 エドワード・ヤンの映画って本当素晴らしい…今まで観た作品もそうだったが、いつも一定以上の水準を超えてくる。 仕事終わりで疲れてたこともあって、観始めてすぐは集中できなく「大丈夫かな」

【安息の地は牢獄となり】映画『オオカミの家』感想

チリ南部のある施設を脱走したマリアは森の中の一軒小屋を訪れる。そこで2匹の子ブタと過ごすようになったマリアに起きる不可解かつ悪夢のような出来事を描いた映画『オオカミの家』。 本作はチリに実在したコミューン「コロニア・ディグダ二」を題材に常に動き続ける驚異のストップモーション・アニメーションを用いて撮られている。監督はどちらもチリ出身のクリストバレル・レオン、ホアキン・コシーニャの2人組。 邪悪な寓話というべき物語と不気味な雰囲気を携えた本作は『ミッドサマー』のアリ・アスタ

君たちはどう生きるかを語る

ネタばれあり!! 映画を見たのは一度だけ! ノリで書く! 2023/9/23 追記あり 私の結論役割から解放し見つめたらその人はどう見えるか その変えられない運命を愛せるか 「君の名は」との真っ向勝負 過去を捻じ曲げスピリチュアルで救った新海監督 vs 過去は変わらない受け入れる宣言した宮崎駿監督 (君の名はのあとに何故この作品を世に送ったか) 今回は 役割から解放し見つめたらその人はどう見えるか その変えられない運命を愛せるかを語ります 私は宮崎駿氏と作品は、別

映画「SAND LAND|鳥山明」見てきた。ネタバレ無し

原作めちゃくちゃ好きだったんだよね。 どのキャラが好きとかっていうよりも雰囲気が。 で、来場者プレゼントあり!!! ってことで、封切り日に珍しくいってきたわけなんだけれども。 グッズとかあんまり買わないんだけど、このサイズ感くらいのものならちょっと欲しいなってw とはいえ、今更ノーマーク過ぎて「君たちはどういきるか」を見にいって予告で知って、本編どうこうよりも「SAND LAND」がやるって情報を知れたのが一番良かったという感じが、この記事にもwwww このころの鳥山

【めくるめく悪夢の迷宮へ】映画『4人の食卓』感想

1人の男性がある事件をキッカケに様々な怪奇現象に襲われる姿を描いたホラーミステリー映画『4人の食卓』。監督は『犯人は生首に訊け』のイ・スヨン。『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンが出演している。 JAIHOで鑑賞したけど面白かった。 まず雰囲気が抜群に良い。全編に渡って不穏で不気味。次々起こる謎めいた展開にも引き込まれた。 劇中の螺旋模様じゃないけど、鑑賞しながら自分の脳内も「???」でぐるぐる回っていたよ。 黒沢清監督の作品が好きな人ならハマると思う。 雰囲気や内容も少な

無責任に人の死を面白がれるのが映画の良いところ

ザ・スーサイド・スクワットを見た。最初のスーサイドスクワットはマーゴット・ロビーのハーレイクイン以外見るところがない駄作と言われていて、確かに見ても何もわからなかったのだけどハーレイクインはかわいいなって感じだった。 有識者から「そっちはダメ!サメの出る方を見て下さい!」と言われて見てみたんだけど、こっちはなぜかとてもよかった。 キャラクターが与えられている、つまり主要キャラになりそうな登場人物が最初からすがすがしいくらい次々死んでいく。 もう始まってすぐ死ぬ。時短。 ま

最近よく映画を観ている気がする。

前回書いたものから引き続き。 最近よく映画を観ている気がします。 それは…無職なので…。 そして観たい映画が上映されてたというただそれだけなのかもしれないけど。 あとは…わたし的に最近よく映画観に行ってるわという話です。 普段が1年に1度名探偵コナンを観に行くくらいにしか映画館では映画を観ないので…そこから考えると観てます!って話なんですが…。 前回書いたnote以降は風邪を引いたこともあり…観たい映画に行けなかったりもしましたが…。 1つ観にいきました。 東

【ギリシャの奇妙な波】映画『アッテンバーグ』感想

父と2人で暮らす23歳のマリーナ。 男性経験のないマリーナは親友のベラとキスの練習をしたりセックスの相談をしている。そんなある日、マリーナはレストランで偶然知り合った男性に実践を試みようとする。一方、マリーナの父は不治の病に侵されていて… 『アッテンバーグ』は2010年製作のギリシャ映画だ。 ある女性の日常を描いた作品で『ロブスター』、『女王陛下のお気に入り』等の作品で知られるヨルゴス・ランティモスが製作、出演をしている。 しかも本作で主演をつとめたアリアン・ラベドとラン

「未知との遭遇(1977)」「E.T(1982)」スピルバーグ初期の名作をみてみた|映画感想文

まさかの初見。 「未知との遭遇」はみたことないのわかってたんだけど、 「E.T.」はみたことあると思ってたんだけれども、見はじめておもったのは、 「あれ?コレみたことなくね?」 ってやつで。途中から、あーここは見覚えがあるってなったから、最初から最後までみるのは初めてだったw 見たきっかけは?はい、岡田先生でございます。 E.T.?なんて思いつつみてたんだけど、ほぉほぉそれはみなければと思うくらいの熱い内容でして。ついでに未知との遭遇もみようとなったわけだけれども、そ

【感想ではなく記録のための雑文】七月に観た映画7作品(2023/7/1~2023/7/31)

今年からはじめた映画の記録。 本を読むのは実はあまり得意ではないので、映画を観ようという流れです。 アマゾンプライムは月500円だから、5本くらいは観たいなと思っています。 例によってアウトプットする準備は一切なく書いています。観てない人から見れば(観た人もかも)意味不明かもしれません。 どうぞすっ飛ばしてください。 インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 2008年のアメリカ映画。主演がハリソン・フォード。ジョージ・ルーカス&スティーブン・スピルバーグのコンビで

【アイデンティティを巡る心の旅】映画『ソウルに帰る』感想

生まれてすぐフランスに養子縁組に出されたフレディ。彼女は25歳の時に偶然訪れたソウルで生みの親を探そうとするが… 『ソウルに帰る』は1人の女性が異国で自身のアイデンティを模索する姿を描いた映画だ。監督はカンボジア系フランス人のダヴィ・シュー。監督の友人の体験談に着想を得たことをキッカケに製作された。 本作は2022年のカンヌ国際映画祭のある視点部門に出品された他、第23回東京フィルメックスのコンペティション部門では審査員特別賞を受賞するなど世界中から高い評価を得ている。

【ビジュアル最高!】映画『ゴッドスレイヤー 神殺しの剣』感想

『ゴッドスレイヤー 神殺しの剣』は2021年製作の中国映画である。中国の小説家、双雪涛の短編小説を原作に最新のモーションキャプチャーなどを取り入れながら、5年の歳月を費やして作られたファンタジー大作だ。 ゴッドスレイヤー… 神殺し… 中二病全開の邦題からしてどういうタイプの作品なのか、ある程度想像はつくのではないだろうか ※ちなみに原題は『刺殺小説家』、邦題は作中の小説のタイトルから取られている。 自分が本作の存在を知ったのは某映画系インフルエンサーの投稿。 この方

日々と少女映画 | オン・ザ・ロックとバービーと

時々訪れる実家の父親の不用意な発言に苛立ちと悲しさを感じることが増えている事に最近になって気がついた。父の明るく陽気で優しくて面白い側面が今の私には見えなくなってしまい、反対に亭主関白で家父長制の権化的な父にもやもやとすることが増えてそのことに悲しさを感じてもいた。 でも、最近になりその事に少しだけ自分の中で良い方向に折り合いがついてきたようなきがしているので書いておこうと思う。 思えば賢明な両親の献身的な教育のおかげで、子供の頃にははみ出しもので親に苦労をかけてしまった

【未来に伝えるべきこと 私たちが知るべきこと】映画『ひろしま』を観て。

被爆から8年後の広島で製作された映画『ひろしま』。 教育学者である長田新によって編集された広島で被爆した子供たちによる手記集『原爆の子〜広島の少年少女のうったえ』を原作とした作品である。監督は関川秀雄。 フォロワーさんの感想やワイドショーの特集などで以前から気になっていた作品だ。本作を観に行こうと決めたのは奇しくも広島に原爆が投下された8月6日のこと。 正直言うと最初からこの作品を観に行こうと決めていた訳ではなかった。 観たい映画が満席で、他に観たそうな作品が上映してない