教室のアリ 第5話 「4月15日」 〈デシリットルと不信感〉
オレはアリだ。長年、教室の隅にいる。クラスは5年2組。新学年も2週目になってみんな新しいクラス、仲間、先生に慣れてきているようだ。オレは先週のきな粉揚げパン大食いのおかげですこぶる機嫌がいい。子どもたちがこぼしたほんの少しのソーセージの破片をいただくだけで十分な生活をしている(5年生でも少しはこぼす)。さて、オレがなぜ5年2組にいると思う?1年でもなければ6年でもない。それは「ちょうどいい」からだ。低学年の騒がしさもなく、6年生のピリピリ感もなく(人間の世界には〈受験〉と言