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日本の思想

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記事一覧

柳宗悦の民芸運動

柳宗悦の民芸運動

【民芸運動】
 柳宗悦は、日本独自の民芸運動を創設しました。民芸とは、民衆的工芸の略です。通常、我々の目は、習慣的なものの見方に捕われています。そこから、新しい視点を開かせてくれたのが、柳宗悦の民芸運動です。柳宗悦は、当時を、創造したり使用する時代が過ぎ去った反省と批判をする時代だとしました。民芸運動は、資本主義の時代において、新しいものの見方を示すものだとされています。
 民芸品とは、一般人が

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本居宣長と「もののあわれ」

【もののあわれ】
 本居宣長は「もののあわれ」を日本の文芸の本質だとしました。もののあわれとは、源氏物語に流れる、一貫した美意識のことです。「あわれ」は、感嘆詞の「ああ」と「はれ」の合成語で、もともとは感動を表す言葉だとされています。もののあわれは、窮屈な宮廷暮らしの女性たちの心から生まれました。例えば、情緒的な「哀愁」や「憂い」など、繊細で儚い女性的な心情のことです。もののあわれは、日本文学の

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国学者、賀茂真淵について

【賀茂真淵】
 賀茂真淵「かものまぶち」は、遠江国「とおとうみのくに」で、神職の子として生まれました。遠江国とは、現在の浜松市あたりのことです。賀茂真淵は、荷田春満に学び、国学者となりました。国学4大人「しうし」の一人に数えられています。賀茂真淵は、日本の古典を重んじました。特に、万葉集の研究者として知られています。その代表的な著作は「万葉考」という注釈書です。賀茂真淵は、学者として古典を研究し

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新渡戸稲造の「武士道」

新渡戸稲造の「武士道」

【武士道】

  武士道とは、体系化された武士の道徳です。武士は、生活の面では、一般市民に依存していました。その代わり、戦争が起きたら、真っ先に戦わなくてはいけません。高い地位に応じた、それ相応の義務が生じるからです。そのため、通常の人間よりも厳しい道徳に縛られていました。武士道は、もともと武士という支配階級の思想です。それが、一般市民にまで広まりました。なぜなら、武士は、一般市民の模範となるべ

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岡倉天心の「茶の本」

岡倉天心の「茶の本」

【茶の本】

  岡倉天心は「筆を持たない芸術家」と呼ばれた明治の美術運動家です。英語で「茶の本」という本を出版しました。茶の本を出版したのは、欧米人に東洋美術を紹介するためです。それによって、東西の相互理解を図ろうとしました。岡倉天心は、伝統的な日本の美術を再興しようとします。生活する上では、美術より、物質的なものの方が必要かも知れません。しかし、美術こそが、国にとって最も価値のある部分だとし

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西田幾多郎の「純粋経験」

西田幾多郎の「純粋経験」

【純粋経験】

  西田幾多郎は、事実をそのまま知るためには、世界をありのままに感じなければならないとしました。西田哲学では、主観と客観の分かれる以前の根本的な経験のことを「純粋経験」と言います。純粋経験とは、主観と客観が、まだ区別されていない状態のことです。西田は、この純粋経験に注目しました。純粋経験は、知識による判断が入る前の状態です。その状態では、知識とその対象が、まだ未分化で合一しています

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