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【毒親】『親という傷 幼少期の心の傷をとりのぞけばあなたの人生は好転する』◇まとめ その11【トラウマ】

 本書のまとめの11本目。今回は「Chapter9 コミュニケーション」の前半です。
 このChapter 9も少し長いのですが,かなり込み入った話になるので,3回に分けたいと思います。 

 全部の目次は,こちらの記事に記載しています。


Part3 人との関わり方を変える

Chapter9 コミュニケーション(前編)

衝突をつながりに変えたいなら,けんかの仕方だけでなくコミュニケーションのスタイルも改善しなくてはならないだろう。(p.282)」

 前回は,人間関係の「衝突」について学びましたね。心の傷の疼きからくる「反応性」を「理解」に置き換えることが重要であるということでした。

 今回は,衝突のその先,つまり他者との「コミュニケーション」を健全に持続する方法を示しています。

 著者は,どんなに避けようとしても,「あらゆる感情の反応性から解放されることはない(p.282)」と述べています。つまり,残念なことに前回の「理解に置き換える」ことを何度やっても(実際に置き換えることを試す場面を何度経験しても),「反応性」そのものを抹消することは不可能であるということです。

 ではどうすればよいのでしょうか。

 著者は,考え方として,「直線(リニア)思考」を「システム思考」に変えることが重要であると述べています。

少し難しい言葉が出てきましたね。

直線思考」というのは,訳者の注によると,「これまでの常識や定説通りに考える線的な思考(p.283)」であるということです。
 著者が言うには,「あなたが無神経で,わたしが頼りないから,頼んだことをやってくれない。あなたがもっと気にかけてくれればこんなことにはならないし,私がこんなにバカだからこうなるんだ(p.283)」というような心境のことを指すのだそうです。

 一方,「システム思考」というのは,訳者の注によると「問題をひとつのシステムとしてとらえ,さまざまな視点から考える手法(p.283)」であるということです。つまり,これまで通りの行動や思考,反応性から脱却して,生じている問題を広い視点でとらえて,新しい思考や行動を選択できるようにすること,ということになるでしょう。

 著者が推奨する「システム思考」は,人間の「過去の背景」に視点を当て,自分と他者を見ていく思考であるため,自分と相手の「物語」を知れば,非難や侮辱ではなく,理解によって建設的な関係性を維持し,相手との対等で良好なコミュニケーションを取ることが可能になるものです。

伝えること,伝えないこと

 人間の「心の傷」が活性化したときに,傷が疼いている人は,相手にそれを「伝える」か「伝えない」かのどちらかを選択できます。

 著者は,「何があっても伝えるべき」とも「必ず秘密にしておくべき」とも言いません。「伝えない方がよい」場面もあると言います。また,伝えるときにも,注意してほしいことが2つあると言います。

  • 1,伝えるべき相手を自分で見抜くこと

たとえ優しく,思慮深く,明確に話しても,特定の人との会話が自分にとって安心にも癒しにもつながらないと認識することは,積極的な決断である。(p.285)」

伝えないことを選ぶとは,相手に分かってもらえないことでもあるが,これ以上傷つかないことでもある。それが癒しとなることもある。(p.285)」

  • 2,破壊的コミュニケーションスタイルを選択しないようにする

「破壊的なスタイルのコミュニケーションをとってしまうと,また傷口を開き,衝突を繰り返すだけだろう。(p.286)」

わたしは愛情をこめてこう言いたい。口を開く前にやるべきことは,自分が本当に伝えたいことは何かと考えることだ。(p.286)」


 今回はキリが良いので,一旦ここまでにしておきましょう。

 次回は,「Chapter9 コミュニケーション」の中編を読んでいきます。


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