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文庫版の解説文に選んでいただきました!


とてもびっくりするお知らせが届きました。
林伸次さんの小説「恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。」の文庫版の中におさめられる解説文として、先日投稿した文章を選んでいただきました。


林伸次さんは、渋谷でボサノヴァとワインのバー "bar bossa" を営むマスターであり、長年noteでも毎日記事を投稿されている、私なんかが説明せずともみなさんよくご存知であろういわばnoteの重鎮のような方です。

そしてここから生まれた「恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。」は2018年に出版された小説で、今年の夏にその文庫版が発売されるとのこと。そこに入る解説文を募集されていました。


解説文というのは本編の後ろに入っているものですが、中にはそれを一番最初に読む人もいるなんて話を聞いて、これは責任重大だ!なんて任されてもいないのに勝手に責任感を感じながらも、"書いてみたい"と思った私。

先に読む人にも、後に読む人にも気持ちよく入っていくような、林さんの小説を少しでも彩れるような文章を書くことができたらと思い、「解説」になっているか不安になりながらも、自分とこの本の間に流れた時間や気持ちを綴って、応募させていただきました。



恥ずかしながら私は、普段「本」を読むことがあまりありません。
本屋さんも、雰囲気はとても好きなのですが、足を運ぶ機会も少ないです。

幼い頃は絵本や物語が好きな方だったはずなのに、いつしか私は本との距離があいてしまいました。

雑誌を開いておしゃれな服を眺めていても、田舎に住んでいた私には無縁の世界。活字が並ぶ長編小説を読むと、たちまち睡魔が襲ってきてしまい、重たい本が頭に降ってきたり。
昔はよく読んでいた漫画も、大学に進学する際に「漫画が部屋にいっぱいあるのは景観的に何か違う気がするな...」なんて、例によって謎の「かっこいい一人暮らし」を妄想(暴走)していた私は「本」というものから段々と疎遠になっていきました。


本棚のない暮らしを始めて数年後、私は一つだけ小さな本棚を買います。
それは文庫本だけが入る高さの小さな本棚でした。

意味不明にかっこつけたがっていたくせに、やっぱり漫画が読みたくなった私は「この本棚に入る文庫本サイズになった漫画だけは買っていいことにする」という特別ルールを作り、そこにおさまるだけの量と決めて、漫画を買い始めたり、頭に降ってきても痛くないような、睡魔が来る前に読みきれそうな薄さの小説を買ってみたり。
少しずつ「本」との関係をまた取り戻していきました。
内容ではなく質量重視という訳のわからない本の選び方です。


そして2021年にnoteを始めた私は、携帯やPCから様々な文章に触れ、日々手軽に読める新しいツールとして、再び文字に親しみを持つようになりました。それが活字へのリハビリとなったのか、そこから「読む」こととの距離がまた一歩縮まっていきました。


今、私の家には本棚が1つあります。
そこには3つの段があり、一番上は文庫本が入る高さの段、一番下は雑誌やA4の書類が立てられる大きな段、そしてその間には、その間くらいの高さのものが入る段。(アバウト...)


この本棚には、大枠で言うと「大事なものたち」が入っています。
その多くは、ふと度々眺めたくなるもの、またはずっと傍に置いておきたいものです。
何度も読み返したい漫画や小説、もうプレーヤーを持っていないのに手放せないCD、大切な人がくれた本や、友達に借りたままの本(返します、すいません)、激務を奮闘していた頃の日誌や、思い出のアルバム。
人から見ると雑多な棚ですが、私の"今まで"が色々詰まっている空間です。


つい先日購入した「恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。」は、変な呪いにかかっていた私が、おそらく初めて自分で買ったであろう文庫本以外の小説。
「真ん中の段」にぴったりおさまる、思い出の本になりました。
(ちなみにその隣には「カクテル1000&マティーニ100」とか「初めてのインテリア 名作・定番チェアの本」とか、かっこつけたかっただけの高校生の頃に勢いで買ったあちゃーな本が並んでいます。内緒です。)


そしてこの夏。
一番上の文庫本の段には、2冊目の「恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。」がきっとおさまるはずです。


こんな嬉しい体験をしてしまっては、これからこの本棚はもしかすると、どんどん大きくなっていってしまうかもしれません。

私と本をもう一度仲良しにしてくれた今回の解説文募集に、改めて感謝しています。


文庫版の発売、とても楽しみです。
林さん、竹村さん、そしてnoteで読んで頂いたみなさん、ありがとうございました!

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