見出し画像

"店員嫌い"ではなく、私はモノと会話をしていた


私は店員さんがこわい。
昔からずっとそうだ。
コンビニで「レシートいりますか?」と聞かれても、咄嗟に声が出ず、首をぶんぶんと振ってしまったり、ファミレスも、美容院も、自分が「客」として行く場所で人と話さなければならない場面がどうも苦手だ。

単純に人見知りで心の中でスイッチを入れないと人と話すのが苦手ということもある。
そしてその中でも、上記のものとは一線を画すくらい一番苦手なのは、服屋での接客である。


彼らも購入につなげるため、話しかけなければいけないのが仕事なのは十分わかっているのだが、人見知りもあってじっくり服を見ているところにすすすっと忍び寄る店員さんは私にとって、とても恐怖の存在だ。

「これかわいいですよね~、残り1点なんですよ!」
と言われても、それじゃあ買わなければ!とは私はならないし(あくまで私はだ。人気商品やトレンドを知りたい人もいるからそう声かけをしているのもわかる)、
「それ、私も色違い持ってます♡」
と言われても、正直知り合いでもなんでもない店員さんとイロチ♡になったところで知らんがなという感じである。


そんなわけで、大抵店員さんにロックオンされたのを察知した時点で、私は静かに服を置き、逃げるように店を出てしまう。でもその店員さんが嫌いなわけでも、店が嫌いなわけでも服が嫌いなわけでもない。
もっとゆっくり服を見たいし、なんなら試着だってしたい。

何度か勇気を出して、「ごめんなさい、ゆっくり見たいので(ついてこなくて)大丈夫です」などと柔らかく言ったこともある。
しかし、その店のカラーや接客スタイルにもよるのだろうが、そう言ったとしても諦めて私を野放しにしてくれる店員さんは割と少ない。
違うものを手に取ると、ふりだしに戻るという場合もある。


入店する時に、カゴなのかカードなのか、示すアウトプットはわからないが「接客ノーサンキュー」を提示する何かがあれば、私はゆっくり服が見られて、店員さんもその分他の仕事ができるだろうし、お互い幸せなのではないかなんて思ったりもする。
実際、何年か前にいくつかのアパレル店で、買い物バッグやリストバンド、首から掛けるカードなどを使って接客不要の意思を客が示すことができるようなアイテムを導入した店もあったそうだが、それが定着している様子はあまりない。

私は是非それがもっと色々な店で広まってほしいと思ったが、やはり売上の結果的によくなかったのか、それともあえてそれを使ってまで意思を示したいと思う客が少なかったのか、世の中には浸透していないようだ。


もっとスマートに、ナチュラルに、楽しく店員さんと話しながら買い物を楽しめれば、と思うこともあったが、そもそも友人や家族など、人と買い物をするのも、苦手な私。

知り合いや身内との買い物ですらこれなんだから、知らない店員さんと和やかに話すなんてハードルが高すぎる。



そんなことを考えている時に、ある記事が目に入った。


同じ「接客」について書かれているこちらの記事は、タイトルの通り私たちは本来、接客『されたい』生き物である。ということが綴られている。

<引用>
私たちは本来、接客『されたい』生き物である。
ただそのコミュニケーションのかたちが時代によって変化しているだけなのだ。


私はこの記事を読んでなるほどな、と思い、とても勉強になった。
確かにその通りだと感じたことがたくさんあった。

その通りだと思ったのは思想や仕組み、ブランドの思いやこだわりを聞いて、そのブランドやその人自体に魅力を感じ、結果的にその物自体にも興味が湧いて、欲しいという気持ちになるという点。
確かに自分で見ただけではわからないこともある。
電化製品など、専門知識があった方がより商品を吟味できる場合は、私も店員さんに商品の違いや特徴を聞くこともある。

もう1つは、

<引用>
相手が販売員か顧客かに関わらず、接客という名のコミュニケーションを楽しんでいるのだ。

という点。

単純にものを買うというだけでなく、そこで起こるコミュニケーションを求めている人もいるし、それも含めて「買い物」の楽しみだと感じる人もいるだろう。
そして店員やそこにいる人達とのコミュニケーションによって商品をより吟味することもできる。


そこで私は、気がついた。
どうして私は「接客」が苦手だったのか。

ここから先は

748字

サポート、嬉しいです。小躍りして喜びます^^ いただいたサポートで銭湯と周辺にある居酒屋さんに行って、素敵なお店を紹介する記事を書きます。♨🍺♨