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フリーランスの時に学んだことが、会社員の魅力を教えてくれた。

初めて社会人になった時、私は会社員ではなくフリーランスだった。

その当時は、会社員とそうでない場合の違いも正直よくわかっておらず「仕事をしてお給料をもらう」というのが「働く」ことだと思っていたし、それ以外のパターンなんて想像したこともなかった。
そんな無知100%の状態でフリーランスとして働き、その中で学んだこともたくさんあったが、私はその後転職し長らく会社員として働いている。
そして今の私は、会社員という働き方が自分にはなかなか合っているなと感じている。

会社の規模や年齢、これまで経験してきたことによっても変わると思うが、今の職場で働いている中で、私にとって「会社」は働く場所というよりもだんだんとそこが家のような感覚になっていった。
いや、家はちょっと言い過ぎかな...。もっとフィットする例えがある気がする。たとえば船...みたいな感じだろうか。

家族ほど近くはないけれど一緒に船を動かすための仲間がいて、全く違う仕事をしている人もいれば考え方や価値観が違う人もいる。
その中で時には部署や分野を飛び越えて協力し合ったり、どうするべきかと意見をぶつけ合ったりもする。

友達とも家族とも分かり合えないことを深く語り合えたり、趣味や性格は全く合わないけれど信頼して頼れる人がいたり、今までの人生では避けて来たようなタイプだけど、なるほどこういう人とはこう話したらうまくコミュニケーションが取れるのか、なんて学べたりもする。
運命共同体とまでは言わないけれど、自分の人生で深く関わる不思議なつながり。
そこで一緒に働いているという意味では同じなのに、フリーランスだった時にはこの「船」の感覚はなかったし、昔の私には考えすら及ばないことだった。


どんな船にしたいか、どの航路に行くべきか、今この船には何が足りていなくて何が必要なのか。それぞれの持ち場や個人的価値観は違くとも、同じ方向を見て話ができる。
もちろん全く違う方向を見ている人がいたり、そもそもあまり関心がなかったり、そんな風に会社のことを考えたことはないという人も中にはいる。
けれど、自分がやるべきことをやるという以外に、その場や会社そのものに対して色々なビジョンを描き共有できるというのが、会社員の特徴なのかな、なんて思う。

そしてこれは、今の会社の規模感だったり一緒に働いている人たちなど、いろいろな要素が私にマッチしているからこそ思えた私の中での「会社員の醍醐味、魅力」だとも感じている。


しかし、そもそもこの「会社について自分ごとのように考える」という意識を根付かせてくれたのは、実はここの会社の人や社風などではなく、フリーランス時代の職場を統括していた人のおかげだった。

その人は、全員がフリーランスというちょっと特殊な職場のトップに立つ身として「ここがどうあるべきか」「どうしていきたいか」を常に考えていたし、フリーランスであるメンバーの面々にもあえてそれを問い、考えることを求めていた。

その方針に対して感じることは人それぞれだったと思うが、彼女はそれを問うことで、これから会社に属したりすでに個人事業主という自分の会社を持つ人たちに、ビジョンを描くというのはどういうことなのかという心構えのようなものを示してくれていたのかもしれないとも思う。


あの頃の私は、フリーランスのくせに社会人としてできないことだらけでとにかく自分のことに必死だった。
同じような境遇の人が周りにいなかったため孤独を感じることもあった。
だからこそ、当時は彼女の言っていることの本質がよくわかっていなかったし、いまいちピンと来ないことも多かった。
フリーランスで働きながら、働く場所に対してどんなビジョンを描くかというのがその時の私にとってはハイブリット過ぎて心も体も追いついていなかったのだ。

しかし、そこで社会経験を積んだのち会社員になって、彼女の言っていたことが「あぁ、こういうことだったのか」と実感することがたくさんあった。
そしてその頭で何かを思い描いた時に、今の職場は話を聞いてくれたり「いいね!それやってみよう!」と、船を動かす一員として私を受け入れてくれるようなところだった。


1人では叶えられなかったことが大きな動きとしてできたり「どうしていきたい」を一緒に考える人たちがいて、各々の持ち場でそれを実現するために仕事をする。それが楽しかったし、私のやりがいになった。

もちろん、楽しいことばかりではない。
会社員ならではのしがらみやめんどくさいこと、苦悩もたくさんある。ビジョンを描くなんて立派なことを言っても、会社だからこそ思い通りにはいかないことも数え切れないくらいある。

でも私は、会社員になったことで仕事のことを、そして自分が働く場所のことを、より「自分ごと」として捉えられるようになった気がするし、やっぱり船友というか戦友というか、そういう存在がいることがすごくありがたいことだなと感じている。


これから先、自分はずっと会社員として働くのか、はたまた違う道を選ぶのかはわからないけれど、今のところ私は会社員が自分に合っているなぁと思っている。


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