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百物語27話目「あの橋でのこと」(実話怪談)

福岡の事件として有名なのは3人もの幼子が亡くなった飲酒運転事件だろう。あれから随分法律は改正され、福岡の飲み会も変わった。福岡だけでなく、それは全国的にもそうだろう。それが、せめてもの、だと思う。

実はあの車が落ちた橋は近くにある。

最初、この事件を聞いたときに子供3人というのに、オカルトマニアの私は

「生贄みたいだ」

と思った。子供って、子を供えるって書くからね。

それにあの橋があるところは巨大な埋め立て地につながるものなんだけど、前の会社にいた見える人によると、二匹の龍が住んでるところだったらしい。

あんな埋め立てをされて、怒らないわけはないだろうと思ってたからだ。

そんなある日、保育園のママ友の家に遊びに行く。

その前日、実は事故の起こった橋の同じ場所で人が溺死したとニュースになっていた。

「また、あそこやん。これで二度目やろ?」

すると、キッチンでお茶を淹れてくれていたママ友が振り返りながら告げる。

「ううん。三度目だよ」

聞けば、彼女の親戚が大阪から余生を過ごそうとここに移住してきたそうだ。

けれど、ある日、叔母さんがいなくなり、探しまわっていると、

「あの事故の場所から身を投げてた」

だから、三度目なのだそう。

それ以来、その橋を通るときは、家族を魔に取られないように、私は気を張るようにしている。単に手足を突っ張るだけだけどね。

三度目から、あの橋で死んだ人の話は聞かない――。

ただ、終わったかはわからない。

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