前回の『シンカ論』では、性的アプローチをめぐる女性のジレンマ、すなわち「経済力を持った男性を求めている」ことと「その欲望を隠すことを強いられる」こととの葛藤について述べた。

　そのうえで、男性の生活史のなかでそれに近い状況が「就職活動において【給与・待遇】を求めていることを隠し、精神論的な志望動機を語（騙）らなければならない」場合であることを指摘することで、女性の葛藤に対する筆者なりの理解と同情を示した。が、にもかかわらず、男性は「男性の本音を明らかにする広告」について炎上させたりしない。したとしてそれは正当でもなんでもない。

　やはり着物広告に女性が「放火」する正当性などはない。ではなぜ彼女らはそうしたのだろうか。女性は精神的に男性よりも弱く、広告から受ける不快感のショックが甚大なために余裕がなく「放火」に及んだのだろうか。

　これはいわゆる「性表現（ポルノ）」にも言えることである。ポルノ排除を叫ぶ女性（現代のフェミニストのうち相当多数）はしばしば「男が裸にされている表紙の雑誌がそこらにあったらどう思う！」と叫ぶ。いや本当に叫ぶのである。もちろん男性にとって、そうなったとしても構わない。そもそも現実にゲイ雑誌もボーイズラブ漫画も売られているわけだが、そういうものは欲しい人が買えばいいのであって、自分が興味がなくともその排除を叫んだりはしない。

　そもそも、フェミニスト女性が排除を叫ぶのは、ポルノとは到底呼べないような少年漫画のお色気シーンや、お色気シーンとすら呼べない単なるアニメ風の美女の絵であったりする。例をあげよう、以下の画像が、本当に「炎上」したのである。

　もはや脱いですらいない。ちなみに何がいけなかったとかというと、炎上させた側の言い分では、彼女の「困り顔の表情がいけない」「胸のラインが出ている」「スカートが透けている（単に布に脚の形が浮き出ているだけの絵であり、現実の不透明なスカートでも同じ事が起こる）「内股なポーズが小便を我慢しているように見える」というのである。もちろん、そんなことをを多くの女性が信じていたわけではないだろう。次の画像を挙げよう。