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サッカーの神様『ペレ』のメッセージ ~3つの革新的プレーを分析~

神様「ペレ」が残したもの

 世界のペレ、サッカーの神様ペレが亡くなりました。
 でも、そのプレーは永遠です。
 プレーの画像は、常にサッカーのファン、いや、一般のテレビ視聴者にも印象を残し、刻印されていることでしょう。
 私が新聞でペレが亡くなったと知った時、昔見たワールドカップのペレの映像がよみがえりました。
 サッカーも知らず、どちらかというと野球派の私でも、ペレは別格でした。
 一体何が、別格なのか。
 当時どころか今日でも、少なくとも『3つのプレー』において、革新的だったのではないでしょうか。
 なぜなら、この異次元のプレーは、対戦相手にとって、対策の立てようもないものだからです。
 主観的な分析ではありますが、解き明かしてみたいと思います。

第一のプレー 自在な三次元ドリブル

 サッカーは『グランド』でパスをしてシュートをする。
 グランドという『大地』の上で、二次元の世界で競い合うもの。
 ドリブルは、足でボールを扱うのですから、二次元は当然だろう。高いボールも下に落として、コントロールするのが基本。
 ところが、二次元の意識を持った選手の中に、三次元でドリブルする発想の選手がいたとしたら、どうでしょうか。
 極端な言い方をすれば、三次元発想のペレの周りを、二次元発想の相手選手がいくら囲んだとしても、ペレなら三次元に空間を生かして、ボールを浮かしたまま『地面を使わずに』かわしていけるということです。
 二次元の技術世界に、三次元の技術が導入されたら、旧来の発想の選手は戸惑うばかりで、ペレの仕掛ける空中戦に翻弄されることになります。
 では、対戦するなら、そんなペレへの対策は何か。
 対策は一つだけ。
 対戦する選手も、ペレ並に三次元の技術を、身に着けるしかない。
 でも、それは困難です。
 ペレの天才といわれる所以は、従来のサッカースタイルの中で育ちながらせ、こんな発想をどうして身に着けることができたのか、ということではないでしょうか。
 従来の常識を超えたペレの工夫によって、ペレはまそにグランドのアーティストになったのです。
 クリエイティブなサッカーをする、17歳の新人選手ペレ。ワールドカップに登場したときは、まさに衝撃的であったことでしょう。
 サッカーをよく知らない私には、この三次元ドリブルを中心にしたプレーこそ、ペレの真骨頂と思えてならないのです。
 ボールを膝や頭で連続的に操るペレ。
 相手選手の足の届かぬところで、ボールをコントロールするペレ。
 相手はもう、手を使うしかない。
 そんなプレッシャーを与えるのが、ペレではないでしょうか。 

第二のプレー 360度周辺視野のパス

 目力(メジカラ)トレーニングという言葉があります。
 私も空手の稽古で、随分練習しました。
 『周辺視野、瞬間視、動体視力』
 一度鍛えると、終生衰えることはないとのこと。
 パソコンゲーム型のトレーニングアプリで、毎日練習したものです。
 ペレのプレーを見ていると、360度、見えているのではないかという、凄いプレーが随所にみられます。
 ペレにとって、見えるはずのない死角の味方選手へのパス。まるで見えてるように、正確にボールを送り込む。
 正面から来るボールを蹴るふりをして、わざと空振り。真後ろの選手にボールを譲る。
 そんな予想外なプレーは、ユーモラスでさえあります。
 ペレには、死角がないのか。
 周囲のどこにでも、パスを出せる。単に周辺視野が広いだけでは説明できないプレーの数々。
 おそらく、サッカーのIQが、途方もなく高いのでしょう。
 全体の選手の動きが、常時頭の中で、映像としてシミュレーションされている。その仮想映像の選手に対して、自然に周辺視野の能力を超えたプレーが連発できる。
 これでは、相手の選手はたまりません。
 常人の視野の範囲内で、ペレのパスを妨害しても、穴だらけということになってしまいます。
 ペレの攻撃を抑えるためには、ペレの死角まで計算して、四方八方にディフェンスの選手を配置する必要があるわけです。これでは、何人いても足りません。
 既存データを超えた常識外のパスプレー。
 見えないところが見えている。
 武道でいえば、剣の達人と同じです。四方八方から敵が襲ってきても、軽くかわして反撃できる。
 時代小説の読みすぎか。
 360度の空間を、ホームグランドにしてしまう選手。どこにでもパスが出せる。
 そんな選手が、ペレなのではないでしょうか。

第三のプレー 左右、二刀流のシュート

 通常、どんな選手でも、右利き左利きのために、左右の技量には差があるものです。
 右利きなら、右は一流、左は二流。
 そんな弱点をカバーして、自分のプレースタイルを構築していくのが普通でしょう。
 シュートなどは、利き足で決めたいのは、なかば本能的なものでしょう。
 ところが、ここに、二刀流。
 左右両刀使い。
 左右ともに技量が超一流。いや、どちらも天才的な選手がいたとしたら、どうなるのでしょうか。
 右の天才と左の天才。
 右でも左でも、利き足同然の高度なシュートが自在に蹴りだせる、そんな選手がペレ。
 守る側は、左右両面から警戒するも、守る選手の大半は自身の左右の技量に差があるために、ペレはその技量の低い側を突いて抜いていく。
 相手の左側が二流なら、その左側を攻め、右側が二流なら、その右側を攻めていく。
 そんな動きが、ペレほどの両刀使いなら、可能になるのです。
 しかし、そんなことが、どうして、できるのでしょうか。
 たいていは、子供の頃から、ナイフやフォーク、生活の中で、利き手中心に使う習慣が身についているものです。それは、足も同じでしょう。
 野球選手のスイッチヒッターは、後で意図的に練習して作るわけです。超一流のスイッチピッチャーや、スイッチ内外野手は、聞いたことがありません。
 ペレは一体どうやって、両刀使いになれたのか。ぜひ知りたいものですが、もうその機会はありません。

ガンバレ日本、ペレのメッセージ 

 今回のワールドカップの感動。
 心技体の素晴らしさの先にあるのは、ペレのスーパープレーを連想する三要素が随所に観られたことです。
 ゴール近くの攻防は、実に見ごたえがありました。
 ペレがワールドカップの終了後に息を引き取ったとしたら、それは偶然ではないのではないか。
 ペレはきっと、後輩たちのスーパープレーに微笑みを浮かべて見届け、試合終了後に息を引き取ったように思えてなりません。
 私には詳細は分かりませんが。
 でも、ワールドカップが終了してから、本当にペレが亡くなったとしたら、これこそは『最後のスーパープレー』でしょう。
 ペレはきっと、この大試合を見終わるまでは死ぬものかと、病と闘ったように思えるのです。
 まさにベッドの上で、ゴール前の死闘を。
 今、もし、あの世からペレがメッセージを送ってくれているとしたら、それは次の一言だけ。
『俺を超えろ』
 超える方法は三つ。
『三次元ドリブル、360度周辺視野のパス、二刀流シュート』
 そのすべてで、世界一のプレーヤーを目指すことではないでしょうか。
 ペレの笑顔を目標に。
 ガンバレ、日本。 

追伸ーあなたに届いたペレのメッセージを、コメントにお寄せください。


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