石川 聖(Ishikawa Satoshi)

保育者/園長/講師。略歴:仙台市内の幼稚園で 9年勤務した後、 2017 年に保育士起…

石川 聖(Ishikawa Satoshi)

保育者/園長/講師。略歴:仙台市内の幼稚園で 9年勤務した後、 2017 年に保育士起業家として独立。保育アドバイザーとして現場の課題解決に取り組む。保育園の新規開園準備期間に子育て支援事業「とびだす保育園」、保育者の学ぶ場づくり「Hoiku Studio.」 などの事業を展開。

マガジン

  • 保育は人生そのものだ!

    私にとっての「保育」という存在にも向き合っていきたい。子どもにとっての「保育」も、保護者や社会にとっての「保育」も考えていきたい。その営みも生活の一部であり、自分らしい人生の一部なように感じています。 主に、保育におけるさまざまなことを探究する視点を軸に書いていきます。 【探究|物事の本質やあり方を探り、その物事を明らかにしようとする営み】

  • 保育スタジオ-Hoiku Studio-

    • 5本

    2019年7月にスタートした「ほいくスタジオ」。 子どもと関わる大人の学ぶ場づくりをしています。

  • BOOK LIST

    保育者におすすめしたい本のリスト。自分にとってもメモがわりにマガジンにまとめています。

記事一覧

固定された記事

「ごめんね」「いいよ」をルールにしない。

「ごめんね」 「いいよ」 このやりとりで納得できることもあれば、大人が子どもの想いや事実の橋渡し役となることで、自然とこの言葉が出てくることもあるでしょう。 し…

#58 保育における「自由」

新年度が始まり、講師をしている保育士養成校にも新入生が入学しました。 学生たちは、さっそく保育士として必要な知識や技術を各科目で学んでいます。 しかし、ふだん子…

#57 7年越しの卒園式

保育園の立ち上げに向けて動き出した2017年。 保育園の立ち上げが始まった2018年。 保育園が開園した2021年。 そして、2024年3月、第一回 卒園式を迎えることができました…

#56 イヤイヤするっていうことは…

自我が芽生えてくると、「イヤ!」という表現を始めとして、大人にNOを突きつける主張が出てきます。 子どもの育ちにとっては大事、大人にとっては大変だったり、一筋縄で…

#55 「安心」と「信頼」と保育

保育では、安心・安心感、信頼・信頼感・信頼関係という言葉がよく使われます。 それだけ大切で、必要だということですよね。 ところで、「安心」とは何か?「信頼」とは…

保育者におすすめしたい本8選-2023年発行版-

ここ数年は、年100冊ペースで読み進めていまして、今年もたくさんの本との出会いがありました。 このnoteでは、読んだことのある【2023年に発行された本】の中から、個人…

保育日記|006|他者からもらった肯定で自分を肯定することができる

自己肯定は高ければいいというものでもないし、低いことが悪いわけではない。 大切なのは、自分の自己肯定の状態を許容したり許可を出したりすること。 「自己肯定を高め…

保育日記|005|子どもの権利を保障する対話的な保育実践

子どもの権利を保障する。 子どもの主体を尊重する。 そのような保育の営みを支えるのは「対話」になることを対話的な保育実践に取り組んできて実感しています。 対話的…

保育日記|004|「主体性」を取り扱う視点

自分で考えて判断して行動しようとする態度ではなく、「関係の状態」主体性をみる。そうすると、どんなに未熟な赤ちゃんでも主体性を認めることができる。 主体性は「無」…

保育日記|003|「慣れる」でまとめられることへの違和感

ここ数年、子どもが園生活や新しい環境に「慣れる」という表現にどこか引っかかりを感じています。もちろんよく使いますが、その分注意が必要な言葉だとも思うからです。 …

ほいくスタジオのXはじめました

ほいくスタジオのXアカウントを始めました! 保育者の学び、保育の実践や理論を主に発信していきます。 フォローしていただけると嬉しいです!

保育日記|002|「保育って難しい!けど…」

学生から出てきた一言です。 10月から保育士養成校で後期の講義が始まりました。 後期は2年生の講義を担当します。 昨年の前期(4月〜8月)に「保育のキャリアマインド1…

加藤繁美先生の新刊(10/20発行)を読み始めました。

2023年発行の本で、個人的ベスト3に入りそうな予感。

年末近くになったら保育関連の今年のおすすめまとめてみようかな。

保育日記|001|「自分らしさと”向き合える”」

誰もが【自分らしさ】に向き合える保育園。 この言葉が生まれてから5年が経ちました。 自分らしく「いられる」ではなく、自分らしさに「向き合える」を選んだところにも…

天の瞳 幼年編1 (灰谷健次郎|角川文庫)
https://amzn.to/48uURYa

夢中で読んでます。心が動かされまくるなかで、保育の本質や保育者の葛藤や成長について考えさせられています。

#54 「保育日記」が始まります

昨日の中秋の名月、きれいでしたね。 たくさんの人が空を見上げているかと思うと、それだけで意味がある日なんだなと思えます。 私は、帰り道に地下鉄の駅から出ると、幻…

固定された記事

「ごめんね」「いいよ」をルールにしない。

「ごめんね」 「いいよ」 このやりとりで納得できることもあれば、大人が子どもの想いや事実の橋渡し役となることで、自然とこの言葉が出てくることもあるでしょう。 しかし、大人が形式的に言わせたやりとりでは、‟仲直りさせた風”の包み紙にくるまれているだけで、肝心の中身は ‟当事者の子どもたちが納得していない” というケースに出会うことがあります。 また、そうさせることが先生のスキルのように扱われている環境にいて、モヤモヤを抱えている方もいるでしょう。 スムーズに解決したそ

#58 保育における「自由」

新年度が始まり、講師をしている保育士養成校にも新入生が入学しました。 学生たちは、さっそく保育士として必要な知識や技術を各科目で学んでいます。 しかし、ふだん子どもとの関わりがなかなか得られない人は、2年生になって実習が始まるまで実際に子どもと関わる機会が少なかったり、実習だけになると経験の量としては十分とは言えなかったりというのが養成段階の課題でもあります。(改善の一手としてはデュアル教育があります。) そうすると、実際の子どもの姿をうまく思い浮かべられなかったり、関

#57 7年越しの卒園式

保育園の立ち上げに向けて動き出した2017年。 保育園の立ち上げが始まった2018年。 保育園が開園した2021年。 そして、2024年3月、第一回 卒園式を迎えることができました。 7年かけてたどり着いた卒園式。 私の中にあった卒園式の「当たり前」が更新され続けた3月でした。 年長児は、3歳児クラスで入園した頃から自分たちが一番上の年齢でした。 年中の頃から、小学校へ期待を持っていた子たちです。 自分でランドセルを作ったり、学校ごっこ(自分が先生で、保育士が生徒

#56 イヤイヤするっていうことは…

自我が芽生えてくると、「イヤ!」という表現を始めとして、大人にNOを突きつける主張が出てきます。 子どもの育ちにとっては大事、大人にとっては大変だったり、一筋縄ではいかない時期にも感じられたりしますね。 今回は、自我の芽生えとは何かをきっかけに、通称「イヤイヤ期」について書いていきます。 およそ1歳頃より、自我が芽生える時期になります。 自我が芽生えるというのは 「自分のやりたいことがわかる」自分に子どもがなっていく時期 とも言えます。 およそ1歳半頃か

#55 「安心」と「信頼」と保育

保育では、安心・安心感、信頼・信頼感・信頼関係という言葉がよく使われます。 それだけ大切で、必要だということですよね。 ところで、「安心」とは何か?「信頼」とは何か?と聞かれたらどのように答えるでしょうか? 感覚的には分かっていても、あらためて言葉にしようとすると、どんな表現になるでしょうか? 研修等で問いかけると、「安心」は【ほっとする、心が落ち着く、心地よい感じ】などが挙がります。 信頼の方はより感覚的な概念なようで【信じて頼る】など、あらためて言葉にしようとす

保育者におすすめしたい本8選-2023年発行版-

ここ数年は、年100冊ペースで読み進めていまして、今年もたくさんの本との出会いがありました。 このnoteでは、読んだことのある【2023年に発行された本】の中から、個人的に保育者へおすすめしたい本を8冊選びました。 1.『保育の中の子どもの声』10月20日に発行されて、もうボロボロになるほど読み込んでいます。 加藤繁美先生の書いた本をこれまで何冊も何度も読み返してきましたが、これまで書かれてきたことがぎゅっとまとまってさらに洗練されたような濃密な一冊でした。 この本

保育日記|006|他者からもらった肯定で自分を肯定することができる

自己肯定は高ければいいというものでもないし、低いことが悪いわけではない。 大切なのは、自分の自己肯定の状態を許容したり許可を出したりすること。 「自己肯定を高めよう」として自分で上げようとするのは難しい。しかし、他者からもらった肯定は自分を肯定することにつながりやすい。 だからこそ、できるかできないか、やったかやらなかったかの視点ではなく、「一人一人ちがうその子だけの物語」をとらえていく営みが保育にはある。 この「一人一人ちがうその子だけの物語」には、他者との関わり、

保育日記|005|子どもの権利を保障する対話的な保育実践

子どもの権利を保障する。 子どもの主体を尊重する。 そのような保育の営みを支えるのは「対話」になることを対話的な保育実践に取り組んできて実感しています。 対話的な保育実践でまず求められるものは、保育者の対話能力です。 対話能力の中身の例としては、対話する技術と、それを扱う感性と身体性などが挙げられます。 〈対話に必要な技術・感性・身体性〉 機能する問いを扱う技術 「間」に持ち出す感性と身体性 判断保留の意識と身体性 「違いがある」を基盤にしたコミュニケーション

保育日記|004|「主体性」を取り扱う視点

自分で考えて判断して行動しようとする態度ではなく、「関係の状態」主体性をみる。そうすると、どんなに未熟な赤ちゃんでも主体性を認めることができる。 主体性は「無」から「有」に向かうのではなく、最初から「ある」を起点にして発達していくもの。 人間の主体性の発達は、一見「受け身」のような姿から始まる。「他者からのはたらきかけ」を起点として、主体性の発達を描いていくことができ、「してもらう」主体性から「する・してあげる」主体性が統合されていき、「させてあげる」主体性へと発達してい

保育日記|003|「慣れる」でまとめられることへの違和感

ここ数年、子どもが園生活や新しい環境に「慣れる」という表現にどこか引っかかりを感じています。もちろんよく使いますが、その分注意が必要な言葉だとも思うからです。 3年前には保育園の開園に向けて、「慣らし保育」を「慣れ保育」と呼ぼうか、それは意味があるのかなど悩んでいました。子どもがただ園の生活に慣れる期間ではなく、私たち保育者もその子を知り関係を築いていく、保護者の方にとっても新たに通園が加わる生活をゆっくり無理なく築いていく、それぞれが慣れていく期間として、結果として「慣れ

ほいくスタジオのXはじめました

ほいくスタジオのXアカウントを始めました! 保育者の学び、保育の実践や理論を主に発信していきます。 フォローしていただけると嬉しいです!

保育日記|002|「保育って難しい!けど…」

学生から出てきた一言です。 10月から保育士養成校で後期の講義が始まりました。 後期は2年生の講義を担当します。 昨年の前期(4月〜8月)に「保育のキャリアマインド1」でご一緒した学生たち。 「保育のキャリアマインド2」として、保育者として働くことを通した生き方をより踏み込んだ内容で学んでいきます。特に、保育者としての根っこの部分を濃く扱います。 幼稚園や保育園での実習を乗り越えて、保育者の1人としての深まりを見せる学生たちとの講義はまた一段とおもしろくなるのです。

加藤繁美先生の新刊(10/20発行)を読み始めました。 2023年発行の本で、個人的ベスト3に入りそうな予感。 年末近くになったら保育関連の今年のおすすめまとめてみようかな。

保育日記|001|「自分らしさと”向き合える”」

誰もが【自分らしさ】に向き合える保育園。 この言葉が生まれてから5年が経ちました。 自分らしく「いられる」ではなく、自分らしさに「向き合える」を選んだところにも、当時の自分たちの想いや願いが現れている言葉になります。 以下の画像は、のいえ保育園の開園に向けたプロジェクトの発足当初の資料です。

天の瞳 幼年編1 (灰谷健次郎|角川文庫) https://amzn.to/48uURYa 夢中で読んでます。心が動かされまくるなかで、保育の本質や保育者の葛藤や成長について考えさせられています。

#54 「保育日記」が始まります

昨日の中秋の名月、きれいでしたね。 たくさんの人が空を見上げているかと思うと、それだけで意味がある日なんだなと思えます。 私は、帰り道に地下鉄の駅から出ると、幻想的な空が広がっていて、思わず撮影しました。 子どもたちとも、お月見についてたくさん話したり文化を味わったりする日が続いていたので、来週に話を聞くのが楽しみです。 さて、話は変わりまして、来月からこのマガジンの更新頻度を上げたいと思っています。 そのために、短い文章の記事を増やしていく予定です。 主な内容は