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走っていいよ!よーいどん!

園庭や公園到着後、「走っていいよ!よーいどん!」と言って、走り出す。

子どもを追い越して、そこそこのスピードで端まで走って、ちょっと上がった息で「おいでー!」と呼ぶ。

風を切って走るのは気持ちいい。

大人が率先して走ることに意味があると思っている。




先日、平日の夕方、ショッピングセンターに行った。

トイレに行って、出てくると、
男性用トイレから小学生の男の子が飛び出してきたところだった。

「走っちゃダメ!」

待っていた親の大きな声が響く。

男の子はすぐに速度をゆるめて、歩きになった。

距離は5メートルあったかどうか。

男の子が走ってもぶつからない場所に私はいたし、
私以外に他の人はいなかった。

もちろん、車も自転車も通らない。




その前日、子どもが保育室内を走っていた。

他の子とぶつかりそうになるし、落ち着いて遊んでいる子の遊びを邪魔してしまう。

「 あ る い て ね  ! 」と感情的に言う同僚を横目に
「”キュウリができた”するよー、おいでー」とふれあい遊びに誘った。

子どもを床に寝そべらせ、歌を歌って体に触れていく遊びだ。

最初に誘ったのは1人だったけど、他の子も”やって”と来て、私の前には7本ものキュウリが並んだ。


本当は走りたい子どもの気持ちをより魅力的な遊びを提案するという大人の力ですり替えた

せっかく他の遊びを楽しんでいた子どもも、つられて来てしまった。

保育士のテクニックと言われればそうかもしれないけれど、

子どもが本当にやりたかったことは何だろうと考えると、もやもやが残る。




走った原因の一つは、その時のその部屋に子どもが遊びたいと思うおもちゃがなかったことだと思う。

簡単に言うと、おもちゃはあるにはあったが、遊び飽きていた。

これは保育者側の環境設定ミスだ。


でも、それを差し引いても、「走らないで」「歩いて」って言われることが多いと思う。
ショッピングセンターのトイレ前のように。

そして、「走っていいよ」と言われることはほとんどない。

走ってもいい場所に来ても走らない子、
むしろ走れない子を作ってしまっているのではないかと気になる。


そのバランスをとるために、私は、
安全の確保された園庭や公園で「走っていいよ!」を必ず使う。

災害や防犯などの危機管理の面から、
いざという時、即座に全力を出して走れる子になってほしいという思いもある。


子どもには、思いっきり走る気持ちよさをたくさん味わってほしい。









おしまい









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