「奇跡の海」

買い置きしてあったDVDは
「奇跡の海」という映画だった。
驚くことにこの映画の監督は
ラース・フォン・トリアーだった。
僕が二度と見たくないと思った
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や
「メランコリア」と同じ監督だ。

「奇跡の海」はスコットランドの
片田舎の港町で「よそ者」の
北欧人と結婚する地元娘の話。
幸せな結婚生活、彼の単身赴任、
工事現場の事故と全身不随、
愛する妻とセックスもできなくなり、
「他の男と寝た話をしてくれ」と頼む。

真実の愛とは何か、神様はいるのか、
教会と牧師とは、村社会とは、
など様々な問題を投げかけてくる。
真実の愛は偉大だといいながら、
その愛によって死ぬ運命となる。
不条理を描きたかったのだろうが、
その展開にはいささか無理がある。

海が人を救ったのかはわからない。
反吐が出る映画ではなかったが、
気持ちの良い映画ではなかった。
心に宿ったモヤモヤは消えず
憂鬱な日を過ごすことになった。
カンヌ国際映画祭審査員賞や
批評家協会賞を受賞するが、
僕はこの映画が好きではない。
いや、とても嫌いな映画である。