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読了『白夜に沈む死』&『レイクサイド』

お友達から頂いた和紙の栞(♥)と共に

昨日に読了した3冊です。

【白夜に沈む死 上&下】オリヴィエ・トリュック 著 久山葉子 訳
スウェーデン在住のフランス人作家によるミステリ。前作「影のない四十日間」はタイトルが示すように、陽の出ない40日の真冬が舞台でしたが、二作目は真逆の春〜夏。太陽がほぼ沈まない白夜の時期に起こる、謎の恐ろしい事故から始まります。そう、事故、から始まるのです。事故なのになぜミステリ? 

それは読んでからのお楽しみ。

このシリーズは通称トナカイ警察が活躍するシリーズ。このトナカイ警察というのはトナカイを使って地域をパトロールをしている警察ではなく、トナカイを放牧して生活をしているサーミ人(スカンジナビア半島北部ラップランドに居住する先住民族)がスムーズに作業ができるのを助けたりする警察のこと。

スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国境が重なるラップランド地域が舞台です。一応「北欧」なのですが、わたしが住んでる北欧とは文化も何もかも違うもう一つの北欧、とでもいいましょうか。その地域の生活様式などを知ることもできて、そこも面白いです。

(ちなみにこのミステリを読み始めたとき、旦那に地図を見せたら『ノルウェーとフィンランドって国境で繋がっているところがあるんだ、知らなかった』と驚いていました。意外と知られていない事実なのかも?)

そんなトナカイ警察シリーズの二作目となる『白夜に沈む死』
複雑に絡みに絡み合った人の欲が伝統と衝突する。一言で現すと、そんな感じでしょうか。人の欲ってとことん汚いよね、でも、需要があるからこそ→お金の流れができて→その欲も出てくるわけで、その欲が出てくるのは需要があるからであって仕方ないじゃないか、なんて正当化してしまう自分もいたりする。もちろん、人の存在を無視しての自己満足な欲はいけないのだけれど。はい。 

意味不明でしょう、きっとわたしが書いていることは。でもこの作品を読めば理解していただけるかもしれません。

今回は犠牲、もテーマなのかな。北海油田の開発に、多くのダイバーたちが関わっていたこともこの本を通して知ったのですが、彼らの生き方はかっこよくて … 同時に悲惨でもある。

たとえば今、私たちが使っている電気は多くの人たちの犠牲があっての電気だ、ということを思い出させてくれた、というか。

主人公クレメットの叔父さん、ニルスとその彼女がまた今回もいい味を出しています、笑。そう【笑】と文末につけたくなるほど、面白いカップルなんですよね。個人的に、彼らの生活についてもっと知りたかったりします。

あと文房具好きとしては、とある登場人物が使っているカード、が気になってしょうがなかったです、苦笑。このカードに色々な情報を書き込んでいるという設定なのですが、一体どんなカードなの!? ペンは何を使っているの!? とか、ずっと考えていました、はは。

それにしても、ここまで複雑なミステリを、それも専門用語が多く出てくる作品をまず訳したい、と思った翻訳家&友人である久山葉子さんにも頭が上がらない。そのような翻訳家さんたちのおかげで、海外の良質の作品が日本にも届けられるんですよね、改めて感謝。そして、それをうまくきれいな日本語で届ける。拍手です。

もう一冊は東野圭吾先生の『レイクサイド』
こちら、年末年始の日本帰省時に購入したのですが、読みはじめて数ページで気づきました。「あ、これ読んだことある … 」と。でも細かいことはすっかり忘れておりました、ので初読の気持ちで読めたことには感謝(感謝?なのかな、苦笑)

本の概要はアマゾン等を読んでいただけれわかるので割愛しますが、とある殺人事件が起こりますが、とにかく何かがおかしいのです。変。そこにいる皆の様子もどうもおかしい。それが一体何なのか、を知りたくて読みすすめるのだけれど、最後には、そっか。そうか。そういうことか、と。登場人物が多すぎて誰が誰だか途中でわからなくなってしまいましたが、まぁ、なんとかなります、苦笑。

ただ、なんだか消化不良の気分なんですよね。東野圭吾先生の本って。でもその理由が、解説を読んでわかりました。というのも、彼の作品には、登場人物の心理描写が書かれていない作品が多い。『白夜行』も2度読みましたが、どうもわたしには合わない。絶賛されている作品なので、わたしのテイストが悪いのかと思いましたが、ただ単に好みが違う、ということだけのよう。はい。

というのも、わたしは本を読む時、登場人物が考えていること、にとても興味があり、その部分を突っ込んで読み取ってみたいのです。一人称描写だと、その人の人生を自分も疑似体験しているようで、それがまた面白かったり。こんな考え方、気持ちになることもあるのか! といったように、自分の中にある価値観が打ち砕かれることもあり。それって大きな学びです。自分だけが正しいと思うなよ、と言われているみたいで。そしてそれは本だからこそ可能なこと。

だから、東野圭吾先生の心理描写がなく淡々と出来事が書かれている作品というのは好みじゃないのかもしれません。もちろん、心理描写がないことによっての効果はあるわけで、それらは解説で説明されています。深いな〜と思いました。

やっぱり読書っていいね。

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