皆勤賞
今振り返ると、なぜあれほど頑張れたのか、純粋に喜べたのか、判然としない物事がいくつもある。
その原因の中心には、その物事自体を疑わなかった、ということがある。つまり、良いものである、と信じてやまなかったわけだ。
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上記の物事の具体例として、私が真っ先に思い浮かぶのは「皆勤賞」である。
皆さんは「皆勤賞」にこだわりがあっただろうか。私には、なぜか、あった。「学校」という空間そのものが嫌いだったのにである。
薄らとではあるが、体育館で表彰されたことを覚えている。同日、家族も祝ってくれた。どこか外食に出かけた記憶もある。
いい思い出だった、といって幕を下ろすのは簡単だが、今となっては引っかかる。何のために「皆勤賞」というシステムは存在しているのだろう。
引いたのは、教育学者・保坂亨による「皆勤賞」分析。
言われてみれば、確かにそうだ。自分自身、何回熱がありながら、無理をして通学したか分からない。「学校を休むのはいけないこと」という刷り込みが、「皆勤賞」によって強化されていたことはまず間違いないだろう。
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保坂が「皆勤賞」に注目した背景には、2020年に始まった感染症の流行があった。流行下では、むしろ積極的に休むことが推奨され、体調が悪いのに無理に登校することは、感染を拡大させる行為として認識されるようになる。
保坂によると、感染症の流行を一つの契機として、実際に「皆勤賞」をやめた学校もあるという。2020年以前から「皆勤賞」を廃止する動きは見られたが、それがさらに広がる形となった。
休むべきときには、きちんと休む。この体調管理の基本原則が、今後の学校現場では守られるようになることを望む。
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