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翻訳者になりたいと思ったら、まずするべきこと

翻訳者になりたいと思っているあなたに

この記事の結論は、「なりたいと思っているなら、案外簡単にはじめられるから、恐れずやってみて」というものだ。

翻訳者と作家の共通性

翻訳者になることは、作家になることとすごく似ている。

「翻訳者」を名乗るためのハードルは、ものすごく低い。なぜなら、オンラインで完結する単発の仕事は結構あるからだ。作家になろうと思ってもそれは同じだ。「小説家になろう」などのサイトが世の中にはたくさんあるから、作家になる、つまりなにかを書いてそれを公開するためのハードルはものすごく低い。

極端な話、賃金を得ていなくてもなにかを翻訳した経験があればあなたは翻訳者だし、誰かに見せていなくてもなにか小説なり詩なりエッセイなりを書いていたら、あなたは作家だ。

ただ、世の中のひとが「翻訳者」あるいは「作家」というとき、求められているのはそういうことじゃない。

賃金を貰う、そしてそれを安定させるということが大事になってくる。

翻訳で賃金を貰うことは案外簡単にできるという話をここではしたいと思っている。ただ、それを安定させられるか、そしてそれで食べていけるかはまた別の話だ。ただ、はじめないことには、安定も食っていけるかもわかったもんじゃない。だから、とにかくはじめるしかない。

AIと機械翻訳があるような時代に、翻訳者に求められているもの

基本的に、翻訳者というのは誰でも名乗れるし、正直に言ってしまえば翻訳するということ自体は案外誰でもできる。極端な話、Google翻訳にかけてしまってそれを手直しすれば、まともな文章にはならないけれども、「翻訳した日本語らしい言葉の文章」は出来上がる。ただ、当然ながらそんなものは仕事とは呼べないし、質を精査するひとがいるので「それではだめだ、やり直し」と言われるに決まっている。機械翻訳やAIによる翻訳を人力で手直しするMTPEという分野が翻訳にはあるが、それはいったん置いておく。

つまり、「私は翻訳者です!」と言ってしまうのは、誰にもできてしまう。そしてGoogle翻訳にかけるだけの「自称翻訳者」だって仕事には応募できてしまう。だったら、求められるのは質だ。

翻訳者として生計を立てていく、少なくとも安定した収入を受け取るためにできること

翻訳者になるためには、どこかの会社に(フリーランス、単発、長期案件などいろいろなものがあるが)契約されなければいけない。そしてその契約には当然審査がある。誰でもWelcomeとはできないのは、先ほど述べたように、翻訳者を名乗ることは誰でもできてしまうことだからだ。

通訳とは違って、目の前にあるアイルランド語の文章を日本語に訳してくださいと言われたときに、何人かはGoogle翻訳をかけるし、何人かは辞書をちゃんと使って調べるし、何人かはそれこそ何日もかけて手動で丁寧に訳すし、何人かは仕事なんか忘れて遊びまくって気が付いたら納期を1週間過ぎているといったことがあるかもしれないし、何人かはChatGPTに丸投げするかもしれない。

ただ、仕事としてお金という対価を貰う以上、当然ながら機械翻訳やAIに丸投げすることはできない。そして、それで済むものなら最初から顧客は翻訳会社にわざわざお金を払ってまで仕事を依頼したりなんかしない。自分でGoogle翻訳にかけりゃ済む話だからだ。だから、求められている翻訳は、質がどうしても上がる。

だから、質をちゃんと守れる翻訳者にならないといけない。

翻訳者になりたいなら、「いますぐ」「この瞬間に」はじめたほうがいい理由

私が通っている大学にある英文学部やスペイン語学部、あるいは中国語学部のような言語に関わる学部では、割と「翻訳のバイトをしている」と言うと「すごいね、私も翻訳者に憧れるんだけど、どうしたらいい?」と言われることがある。

そのときに私が言うのは、「大卒なんて待たなくていいから、とにかくいますぐやりなさい」ということだ。

私が急いでいるのには訳がある。

「年数稼ぎ」をするためだ。

翻訳者の勤務年数が大事な理由

なぜなら、翻訳がほぼ未経験のひとと、翻訳を10年やっているひとでは、どうしても翻訳の質に差が出てくる。そうすると、どちらを採用するかといわれると当然実績があるほうになる。

慣れがかなり大きな分野において、とにかくいろいろな文章を訳せば、そのうちわかってくることが割と多い。「全く自信がないんです」と言っているひとが、だんだん素敵な訳ができるようになっているのを私は見てきた。

実際、履歴書を送るときには、決まって「あなたはこの分野の翻訳を何年していましたか」と聞かれる欄がある。たとえば、「MTPEを3年以上経験しているひと」を対象とした仕事というのは結構ある。どんなにあなたの翻訳がうまいと思っていても、あるいは実際にうまくても、その年数だけではじかれることは多い。MTPEに絶対の自信があっても、あなたが未経験なら応募できない仕事もかなり多い。

翻訳者には学歴フィルターはあまりないが、「年数フィルター」はかなりある。どんなに優秀でも、年数がモノを言うことも多い。

だから、「2024年4月1日からはじめました」と言えることは「2027年4月1日からはじめました」と言うよりもはるかに良い。3年ものアドバンテージがある。

具体的なはじめ方: 憧れの翻訳者になるには

まず、この記事はフリーランスなどで、家から働くことを対象としている。そうでない場合も応用できる部分が多いと思うので、ここからの話をぜひ聞いてほしい。

まず、LinkedInというSNSに登録する。

次に、プロフィールを可能な限り丁寧に埋める。

そうして、仕事を検索する場面で、「翻訳者 大阪」あるいは「翻訳者 オンライン」と検索してみる。

そうして、片っ端から履歴書を送りまくる。

片っ端から送るのが良いのは、採用を決めるのは採用担当者であり、あなたではないからだ。あなたが不適格かどうかを決めるのは、あなたではなく、採用担当者になる。だから、とにかく送ればいい。送る数に制限などないのだから。運が良ければ、「あなたはこの仕事には不適格だったけれど、次あなたに適格な仕事があればあなたを採用します」という可能性があるからだ。

ここまでを全て無料でできる。それがSNS時代のすごいところだ。

そうしたら、あとは結果を待つことだけだ。

恐れなくていい。次第にこの仕事には慣れていく。それは私が保証する。

あなたを翻訳の世界で見られる日が来ますように。

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